光の御子☆のホームページ

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プロローグ――錯覚魔法

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西暦2020年。
関東のとある場所に位置する、ここ、深緑(しんりょく)町。
その南。
新木(あたらき)町の森の中に、突然、大きな『魔方陣』が出現した。
森の中だったため、いつ出現したのかなど、詳しいことは定かではなかったが、
森を定期的に調査しているところからの報告では、
発見されたのは、出現してから比較的早いほうだったという。
それが、春の話。
そして、それとほぼ同時期から、その近辺に住む人々に変わったことが起きた。
それは、『魔法』を 一つだけ ・・・・ 使えるようになったということ。
しかし、その大半が使えても使えなくても、特にこれといって変わらない、
どうでもいいような『魔法』ばかりだった。
最初のうちは、この『魔法』に、人々は戸惑ったものだが、
やがてこの異端な現状も人々が理解し出し、
今まで通りと何ら変わりない生活がまた始まった。
要は、『慣れ』た、言わば、これは『錯覚』だ。
本来あり得ないもののはずなのに、何事もないかのように生活する。
周りが同じなら、自分もまた同じであることに何故か納得してしまう。
傍から見れば『異常』なことが、ここに住む人にとっては『普通』であり、
『通常』でありつつ、『正常』なのである。
――故に、『錯覚』。
極論になるだろうが、
人間とは常に『錯覚』の中で生きているようなものなのかも知れない。
人は、生まれたときは、誰だって『変』に感じたはずだ。
ただ、それを覚えていないだけだろう。
だが、その『変』は、今や『普通』という感覚になっているだろう。
言い換えれば、『適応』。
つまりは、そういうこと。
その中で――秋。
夏が過ぎ、秋が来た。
――ここに、一人の少年がいる。
この少年の周りで起こる、不思議な出来事。
数奇にして崇高な、この運命の中では何が繰り広げられるのか。
『錯覚』の中で、人はどう生きているのか。
これを――。

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