トカトントン 2.1

トカトントン 2.1

2007/06/19
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カテゴリ: 音楽
issyokusokuhatsu

2. 空と雲
3. おまつり (やっぱりおまつりのある街へ行ったら泣いてしまった)
4. 一触即発
5. ピンポン玉の嘆き

■現在流通しているCDの方ではどうなっているのか知らないけど、わたしの持っているアナログLPの中袋には "This Record Should Be Played Loud!" というクレジットが載っていた。たしかにボリュームを10時近くまでもっていって大音量で聞くこのアルバムは格別だった。

■四人囃子というネーミングがよい。もし彼らが三人でバンドを組んでいたら三人官女、二人だったら二人羽織という名前をつけていたのかもしれない。じゃあ、一人だったら、・・・それはそもそもバンドとは言えない。ともあれ、和風なバンド名にもかかわらず、出している音は当時のピンク・フロイド、ディープ・パープルに何ら遜色なかった。ボーカルパートさえなかったらそれこそ洋楽だと言われても違和感なく受け入れることができたと思う。

■今回あらためて聴き直したこのアルバムは、ひどく懐かしいという感想の他に、意外に森園勝敏のボーカルが良いじゃないかという印象があった。仮に専業としてのボーカリストがこのバンドに存在していたと仮定すると、もっと洋風なイエス、ツェッペリン、クイーン的なクリアなサウンドに傾斜していたのではないかと思う。

■しかし、ギタリスト兼ボーカリストである森園の気怠そうな声質は末松康生氏の書く幻想的な詞の世界を表現するのにとても適している。おまえの黄色いうち、おろしたてのばら色のシャツ、あの青い空、キンピカの時計、みかん色の雲。色彩を示す描写はこのように全曲に表出しているが、のんべんだらりとした彼の声にはある一定の色しか浮かんでこないというギャップが良い。



■やっぱりB面のほとんどを費やすM4がいいな。まるでイエスの「燃える朝焼け」か、パープルの「紫の炎」かと思わせるような爆裂イントロがいつ聞いてもかっこいい。まだ10代だったメンバーの演奏技術の達者なことこの上ない。彼らは当時、いつどこでどんな風に練習を重ねていたんだろう。スタジオだって機材だって今みたいに簡単に手に入らなかった74年の話だ。

■その他にもM2で聞ける森園のギタープレイや坂下秀美のエレピの音色はいつまでもそこに浸っていたいような至福の音だし、全編を通して岡井大二のドラムスは抜群の安定感だ。ちなみにM3の終盤のサンタナばりのパーカッションは頭脳警察のトシの客演。たしかにできれば大きな音で聴くべき音源である。

■一触即発とはよく言ったものだ。ジャケットの一見ナマケモノのように見える木にぶら下がっている得体の知れない動物は凡庸そうに見えて、実はものすごく鋭い爪をしている。たかが黎明期の日本のロックの夜明け前だと思ってこのアルバムを聞くと、きっと火傷するぜ。





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Last updated  2007/06/19 10:18:49 PM
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ミリオン@ Re:「北の国から」を友達にすすめてみる(01/02) こんばんは。 嬉しいです。頑張って下さい…
Dehe@ Re[1]:カルトQ 2005 北の国から(10/18) adventさんへ ご指摘の通りです。例によ…
advent@ Re:カルトQ 2005 北の国から(10/18) 五郎が読んだ大江健三郎> 開口健ではなく…
しょうゆ@ Re:家庭教師 / 岡村靖幸(09/09) …最後まで岡村靖幸はわからなかったのでは…
背番号のないエース0829 @ Re:ヒトラー 映画〈ジョジョ・ラビット〉に上記の内容…
Dehe @ Re[1]:センチメンタル通り / はちみつぱい(04/17) Mr.Zokuさんへ 情報ありがとうございまし…

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