トカトントン 2.1

トカトントン 2.1

2017/08/22
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カテゴリ: ひよっこ
■漫画の中の登場人物の表情が回が進むにつれて、段々と(男性の場合は)たくましく、(女性の場合は)美しく変化していくことってよくある。私は主に少年誌のみの読者だったが、「巨人の星」の星飛雄馬、「あしたのジョー」の矢吹丈、そして「一二の三四郎」の東三四郎、みんな新連載時の顔と最終話の顔とは大きく違っていた。

■実はよーく見るとあの二人が描いた「恋のひよっこ」の主人公もまた、例の彼が去っていった後の表情には憂いが含まれ、それまでになかった色気みたいなものが滲み出ているのがわかる。何も起こらないように見える日常も回を重ねるたび知らぬ間に人に変化を与えているということ。

■漫画が面白くならないのは私が面白くないから、私が中だるみしているからかもしれないというみね子の感想はドラマ内批評ともとれる。ジャガーズの歌詞の「わ」を「バ」に代えてみたように、彼女が言う「私」をこの「ドラマ」という言葉に代えてみれば、先週あたりからの先に進まない展開を暗示しているかのようにも聞こえる。

■しかし何度でも書くが、特にこのところのあらすじを追っていくだけならいくらでもカットできてしまえるような一話一話が毎回ものすごく愛おしいと感じる。たとえば自分の経験に置き換えても、重大なことは出来事に過ぎず、今でもはっきり思い出すことができることは月時計みたいな店やあかね荘みたいな部屋でその時一緒にいた人たちと交わした会話の内容だったりする。

■特に今週あかね荘の彼らの部屋で女性たちが集まって彼らの描いた漫画を見ながら、あれやこれやを語り出す場面はきっと誰かが吹き出してしまうかもしれないという変な緊張感が画面から伝わってきた。その中心にいるのは間違いなく怪優、白石加代子であり、彼女の仕草、発声、表情ひとつひとつが場を引き締め、ぐっと和まず。

■そして今夜の富さんはあの若者ふたりを一喝したと思ったら、子犬よりも先にたこ焼きの匂いを嗅ぎつけ、誰よりも多くそれを頬張っていた。すずふり亭には宮本信子がいて、あかね荘にはこの白石加代子がいる。やすらぎの郷にふたりを持っていかれなくて本当に良かった。

■さて「恋のひよっこ」の残りの空白部分はあと数頁しか残っていない。その余白の余韻を残したまま、画面はみね子とヒデのツーショットに変わる。そうなったとしても、ならなかったとしても、間違いなく主人公の女の子は最初の頃よりもずっと美しく描かれているはずだ。





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Last updated  2017/08/23 08:48:06 PM
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ミリオン@ Re:「北の国から」を友達にすすめてみる(01/02) こんばんは。 嬉しいです。頑張って下さい…
Dehe@ Re[1]:カルトQ 2005 北の国から(10/18) adventさんへ ご指摘の通りです。例によ…
advent@ Re:カルトQ 2005 北の国から(10/18) 五郎が読んだ大江健三郎> 開口健ではなく…
しょうゆ@ Re:家庭教師 / 岡村靖幸(09/09) …最後まで岡村靖幸はわからなかったのでは…
背番号のないエース0829 @ Re:ヒトラー 映画〈ジョジョ・ラビット〉に上記の内容…
Dehe @ Re[1]:センチメンタル通り / はちみつぱい(04/17) Mr.Zokuさんへ 情報ありがとうございまし…

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