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江戸東京ぶらり旅
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東京にはまだたくさんの銭湯があります。麻布十番の「越の湯」は天然の黒湯,南青山の「清水湯」は地下鉄の表参道駅からすぐ,狭い風呂からたまには解放されて,大きなお風呂で温泉気分なんておつなものですよ。気分も爽快,小さな悩みなど吹っ飛んでしまいます。
江戸時代の銭湯,水や燃料が貴重であったし,何しろ火の用心にはことさらうるさかったから,お風呂のある家は少なかったのです。それで皆さん公衆浴場,つまり湯屋を利用していたのですね。
銭湯で湯船に入るとき,あなたは何と言って入りますか。何も言わない? そうですよね。ところが江戸時代の常識は・・・
「
田舎者でござい
」
湯屋はまだ不慣れだから,失礼があったら勘弁してくださいね,という意味です。
「
ひえもんでござる
」
今湯屋に来たばかりで,私の体は冷えています。せっかくお楽しみの所,ちょっと失礼して入らせてもらいますよ,という意味。
「
枝がさわります
」
体が触れるかもしれませんが,触れたらごめんなさい,という意味。
湯船は,天井から垂れ下がったような壁でさえぎられ,人は下にあいている空間(ざくろ口)からくぐるようにして入りました。だから,湯気は湯船の上にモウモウとたまって保温の役目を果たしましたが,何しろこの空間は暗い。そんなこともあって,湯船に入る時には一言断って入ったのです。これが江戸の銭湯の常識,エチケットだったのですね。
江戸は埃っぽく,じめじめする季節も長く,一風呂浴びずにいられない気候風土でした。仕事の前後,最低でも一日に二回は入ります。だから江戸の人はいつも「あか抜け」していました。銭湯には男性用の毛切りが備え付けてありました。陰毛がふんどしからはみ出さないように,石にはさんでカチカチと毛を切るのですね。
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