で、実際の勉強。授業編


はっきり言って、日本の大学がどんなシステムなのか、これっぱかりも分かりません。
看護学校では、すべてが必須科目で、
一科目でも落としたら、即留年。
自分の好きに選べる科目なんてのはございませんでした。
とにかく、3年間で全ての内容を詰め込み詰め込み・・・。
って言うか、実際のところ2年生の1/3は病院実習で、
3年生はもうほとんど全てが実習なので、
実質2年に満たないくらいの時間ですべて詰め込まれるわけですよ。
たーいーへーんー。
でも、はっきり言って、ポイントさえ押さえれば後は芋づる式につながってくるので
一度波に乗っちゃえば、楽といえば楽。
2年生の最後の時点で、国家試験に合格できるくらいの知識は
すでに詰め込まれている、と言っても過言ではないでしょうね。
実際、自分が2年生の最後で上の学年がほんとに受けた問題をやったら
すでに合格圏内の点数取れてましたし。
そのくらい、詰め込みなんです。

では、それに比べてこちらがどうかと言うと・・・
まったく逆!
詰め込みません。
て言うか、うちの大学のせいかもしれませんが
講義は「はぁ?」って言いたくなるくらいのラクチンペース。
て言うか、何がほんとに重要なの?って聞きたくなるくらいに
何だかサクサク進められてしまい、
気を抜いてると「はぁ、そうですか」くらいの勢いで
何もしないままに終わってしまう。
けど、実はこれが、罠なんです。




こっちの授業の形態は、
基本的にLectureとTutorialから構成されます。
講義と、後はちっちゃなグループ授業。
グループ授業の中で、プレゼンやったり、ディスカッションしてみたりして
生徒の中での知識の交換が行われます。
当然、その為には、学生は自分で自分の考えや意見を持ってる事が必要なわけで。
で、自分の考えや意見を持つには、
事前に自分で情報を調べ、何が重要化を判断し、
皆に伝える能力が無いといけません。
ぬひー、大変!
では、その元になる知識はどこからくるのか、というと
講義からではないんだな。
前にも言ったように自分の経験上、先生は講義の中では最低限の事しか言いません。
でも、実はその下には膨大な知識が隠れていて、
授業でそれを「ちらっ」としか見せないくせに
テストやTutorialになるとその膨大な知識の方を要求してくる。
そう、学生達は、その「ちらっ」の下に隠れる
膨大な知識の方を自分で引っ張り出してこなければいけないのです。
これが、詰め込み教育に慣れた日本人には至難のわざ。
こっちでの大学の講義、というのは
ボケーっとしていればどこまでも楽。
でも、日本での詰め込み教育と違って、
自分で積極的に動いて物事を探して覚えていくという
どこまでも違った資質が大学生には求められているのです。
そこに気付かないと、エラい騒ぎになるわけですよ。
気が付いたら、何もしないままにセメスターが終わっちゃう、何て事にもなりかねない。
こっちの大学で勉強する目的は講義に着いていく事ではなく、
自分でその分野の勉強をして、自分で必要な知識をつかみ、
自分で考えて自分なりの答えを手に入れる所にあるのです。
そのために求められるのは、
どこにその情報が隠れているかを探し出す情報収集能力であり、
授業中に教師が言った事と自分の知識を比較検討し、正しいか確認する能力であり、
さらに、日本で詰め込んだのと同じレベルでの記憶能力なんです。
大変よ、これ。




日本の勉強の仕方が
教師から与えられた種をしっかり自分の中に植え付けて伸ばして、
知識を自分のものにしていく受容型、もしくは農耕型のものだとしたら、
こちらの勉強は、自分で獲物を探して捕らえてかみ砕く
まさに狩猟型もしくは探索型。
どこまでも自主性と貪欲さとが要求されるスタイル。
しっかり与えられる事に慣れている自分からすると、
先生が100%教えずに、それでいいの?と
正直不満に思う事もありました。
でも、それはこっちでは通用しない話。
教えてもらうんじゃなくて、
自分が納得いくまで勉強して、
そしてそのレベルが試験やエッセイで教官の認める合格レベルまで達していないといけない。
本当に、これ、ハードです。
日本での勉強が情報理解と記憶、という言うなれば二回転で済んでいた頭の回転が
こっちの勉強になると
自力で情報収集、情報理解、その可否の判断、記憶という、四回転が要求されるわけ。
その仕事量は、はっきり言って二倍どころじゃありません。
隙を見せるとあっという間に時間は過ぎて、
何もしないor出来ないままにセメスターが終わってしまいます。
ヤバイ!ヤバイYO!!
ついでに言うと、
留学生にとっては第二言語である英語での授業。
当たり前ですね。
で、そのせいで、先ほどの日本に比べたら2倍の仕事量の上に
全ての作業に「英語」という枷がかかる。
もう、ほんとに死ぬから。
ご愁傷様です。
ちーん。




はっきり言いましょう。
無駄な思い入れとか、甘い幻想でこっちで勉強するのは間違いです。
あなたが本当に勉強したい事があって、
どんなに辛くてもついていく覚悟があって、
そんな辛い中でも
自分で知識を増やし、考えて、何かを学んでいく事に喜びを覚えられるあなたこそ
海外で勉強する資格があるのだと思います。
そしてこの勉強スタイルは、時にとても面白い。
自分で知識を増やしていく事の喜びと同時に、
自分にも他人にもそれがほんとに正しいのかを問う批判的な視点を持つ事の難しさと大切さや
自分が何故にこれを勉強するのか、と時に生き方までも考えさせられる
そんな勉強法。
向いている人にはとことん向いていると思う。

日本での勉強に飽きたあなた、
もっと自分にチャレンジしたいあなた、
ぜひ、海外での勉強を!
あなたも今日から知識の原野の狩人に!!

25, 8, 04

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