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お気に入り度:戦後すぐの東京に現れた「青銅の魔人」。その正体は―言わずと知れた二代目・二十面相。師匠の遺志を継いだ平吉の、やはり二代目・明智小五郎との宿命の対決は、クライマックスのどんでん返しへ。平吉を密かに応援するのは太宰治。その太宰の入水の報に、玉川上水に駆け付けた平吉は…。怪盗の側から綴る、奇想天外のニュー・冒険小説。 (「BOOK」データベースより)明智小五郎と怪人二十面相の対決を二十面相からの視点で描いている『怪人二十面相・伝』の続編です。前回のレビューでも書きましたが、このシリーズでは怪人二十面相は、人情のあるちょっとお茶目な怪盗として、明智小五郎と小林少年は、自己顕示欲が強く打算的な人間として描かれています。前作のラストで、明智小五郎に乗っていたボートを爆破され生死不明となってしまった怪人二十面相・丈吉。それから数年後。様々な辛い経験を経て大人になった平吉は、丈吉の行方をつかむため、丈吉の後を継ぎ怪人二十面相となることを決心した。そんな平吉の元に、年老いた明智小五郎が現れた。病に蝕まれ余命幾ばくもない明智は、二十面相となるため修行を積む平吉の後押しをするかのように丈吉が残したというノートを平吉に託して去っていく。やがて明智小五郎は亡くなり、小林少年(今は青年)が明智小五郎の名を継ぎ、2代目明智小五郎となる。初代二十面相の丈吉をさか恨みしていた2代目明智。その恨みの矛先は2代目二十面相・平吉に向けられ、また新たな「明智小五郎対怪人二十面相」の戦いが始まる。平吉、2代目明智、共に孤児の少年達に協力を仰ぐ訳ですが平吉が愛情を持って少年達と接しているのに対し、明智は少年達を汚いものとして、まるで虫けらのように扱います。前作での「小林少年」時代もかなりムカつく小僧でしたが、2代目明智小五郎となってから、さらにその感じ悪さに磨きがかかっていて、ある意味「あっぱれ」という感じ(笑)この作品、二十面相と明智の対決が盛りあがったところで終わってしまうんですよね。しかも、続編はなし。たぶんこの終わり方が一番しっくりくるんだとは思うけれどできればもう少しこの2人の対決を見てみたかったなぁ、とちょっと残念に思いました。いわゆる「オマージュ作品」ですから、本家の江戸川乱歩作品に通じる雰囲気が上手いこと醸し出されています。子供の頃に読んだ本家作品を思い出して楽しかったです。でも、なぜに太宰治が登場?その部分がちょっと謎でした。映画『怪人二十面相・伝』では、平吉=金城武さん明智=仲村トオルさんというキャスティングなんですよね。映画は見ていないのですが、テレビCMなどを何度も目にしたせいか、平吉=金城武さんのイメージで読んでいました。これがなかなかはまっていていい感じなんですよ。でも、性格が歪みまくりの2代目明智=仲村トオルさんというイメージは、仲村トオルさんのファンの私としてはちょっといただけなかったので、別の人をイメージして読みました(笑)
2009年03月04日
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お気に入り度:大学入学のため引っ越してきたアパートで、最初に出会ったのは黒猫、次が悪魔めいた長身の美青年。初対面だというのに、彼はいきなり「一緒に本屋を襲わないか」と持ち掛けてきた。標的は―たった一冊の広辞苑。僕は訪問販売の口車に乗せられ、危うく数十万円の教材を買いそうになった実績を持っているが、書店強盗は訪問販売とは訳が違う。しかし決行の夜、あろうことか僕はモデルガンを持って、書店の裏口に立ってしまったのだ!四散した断片が描き出す物語の全体像は?注目の気鋭による清冽なミステリ。 (本書作品紹介より)すごーく久しぶりの伊坂さん作品。伊坂さんってほんとに、篭城とか銀行強盗とか襲撃とかそういうネタ多いんですよね(笑)作品紹介を読んで、ポップでコミカルな感じのものを想像していたんですが、予想外の切ないストーリーでした。時間軸が交差していくというのも伊坂さんの得意技ですがこの作品も現在と2年前が交互に描かれてきます。「現在」は、引っ越してきた当日、アパートの隣の部屋に住む河崎という男に本屋襲撃の手伝いを頼まれ、断りきれずに片棒を担ぐ羽目になってしまった大学生・椎名の視点で描かれている。「2年前」は、世間を騒がせている「ペット殺し」事件に恋人のブータン人・ドルジと共に巻き込まれてしまうペットショップ店員・琴美の視点で描かれている。そして、このふたつの時間軸が次第に交錯していきます。2年前の物語はしょっぱなから「悲劇」の予感がして現在の物語とリンクしながらストーリーが進んでいくうちに予感が確信に変わっていく。どんでん返しで、その「確信」を覆して欲しいと願いながら読んでいると、まったく別の思いもよらないどんでん返しが終盤に用意されていて、すっかり騙されてしまいました。やりきれないような切ない物語なんだけれど、伊坂さん独特の乾いた感じの文体によって、不思議な雰囲気を醸し出しています。この作品は、ストーリーの流れ(どんでん返し)を考えると映像化は困難な気がするんだけど、映画化されてるんですよね。どういう手法で描いているのか、興味深いところです。
2009年03月01日
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お気に入り度:借金をかかえた青年・文哉の前に現れた無頼な風体の男。「百万円払うから一緒に散歩しろ」という奇妙な提案を受け、文哉は男と共に歩き出す。井の頭公園から出発し、東京を東へと横断してゆく二人。現実の歩みはいつしか記憶の中の風景と重なり、文哉は今までの人生で失ったものを取り戻そうとするが、短い旅の終わりには衝撃の結末が。夢と孤独が交錯する哀愁ロード・ミステリー。 (「BOOK」データベースより) 三木聡監督の映画の中で一番好きな『転々』の原作。大まかなストーリーはほとんど同じだったんですが、登場人物の設定の違いによって、ラストが全く違いました。映画の方はちょっと切ないけどあたたかいラストでしたが原作の方は終盤まではそこそこ楽しめていたのですがいきなりバッサリと切りつけられたような痛みを感じるラストがどうにも救いがなく、後味が悪かったです。原作は読まなくてもよかったかなー、とちょっと後悔。私としては断然映画のほうが好みです。
2009年03月01日
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大変ご無沙汰しております。みなさんお元気でしょうか?呆れることに、2月になって初めての更新です(汗)息子の水疱瘡以来、身内が具合が悪くなったり自分も体調を崩したりで、心身ともに不安定な状態が続きPCに向かう気力が出ませんでした。やっと精神的にも落ちついてきたと思ったら、今度は右手の薬指がひょう疽(化膿性爪囲炎。細菌感染症の一種)になってしまい、ひどく化膿しちゃいまして。病院でもらった抗生剤と痛み止めを飲んでいるんですがわりと強い薬らしく、胃壁を保護する薬も同時に飲んでいるにもかかわらず胃がキリキリ痛むんですよね。指は痛いわ胃は痛いわで、ほんと困ったもんです(汗)包帯グルグル巻きの右手の薬指を庇いつつキーボード操作をしていると指がつりそうなるし、打ち間違いが多くなって文字入力がめちゃめちゃ遅いけどどうにか頑張ってます(笑)20日くらいまったくPCに触れていなかったので自分のブログの更新はもちろん、みなさんのブログを拝見させていただくこともなかったので、すっかり浦島太郎状態に陥ってしまいました。これから少しづつみなさんのブログを覗かせていただこうと思っていますので、「今更?」みたいなタイミングのずれたコメントをしてしまうかも知れませんがお許しくださいm( __ __ )m気持ちが落ちこんではいたんですが、気分転換というか現実逃避というか、とにかく本だけはけっこう読んでました。この20日くらいで読んだ本は以下の通りです。【小説】『転々』藤田 宜永『火天風神』若竹七海『海神の晩餐』若竹七海『切れない糸』坂木 司『塩の街(単行本)』有川 浩『スタバトマーテル』近藤史恵『誘拐ラブソディー』荻原 浩『東京バンドワゴン』小路幸也『ぶたぶたのいる場所』矢崎存美『高く遠く空へ歌ううた』小路幸也『ぼくのミステリな日常』若竹七海『アヒルと鴨のコインロッカー』伊坂幸太郎『怪人二十面相・伝 青銅の魔人』北村 想【漫画】文庫版『マジシャン』(全13巻)高階良子『Petshop of Horrors』(全7巻)秋乃茉莉『家族ごっこ』遠藤淑子『王室スキャンダル騒動』遠藤淑子『だからパパには敵わない』遠藤淑子『狼には気をつけて』(全2巻)遠藤淑子『女の子は余裕』ひかわきょうこ『白い窓の向こう側』ひかわきょうこ『笑う大天使』(全2巻)川原 泉『メイプル戦記』(全2巻)川原 泉漫画の方までは手が回りそうにありませんが小説の方は地道にレビューを書いていくつもりですのでこれからもよろしくお願いいたします♪
2009年02月18日
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あらゆる不幸を立て続けに体験した相澤真琴は、全てを投げ出し、葉崎市の海岸に辿り着いた。ところが、なんと身元不明の死体をみつけてしまう!所持品から、その死体は葉崎の名門・前田家の失踪中の御曹司・前田秀春である可能性が浮かぶ。しかし、秀春の失踪には、きな臭い背景が……。そんな中、ロマンス小説専門の古書店アゼリアを経営する前田紅子と知り合った真琴は、紅子が入院する間、アゼリアの店番を頼まれたのだが……。真琴は次なる死体と遭遇することに!絶妙な語り口と濃厚なミステリの味付け!芳醇なるコージー・ミステリの絶品、好評書下ろし第二弾! (本書内容紹介より)会社をクビになり、宿泊したホテルで火災にあい挙句の果てにストーカーばりの宗教勧誘に追われ…。不幸続きの相澤真琴は、海に向かって「バカヤロー!」と叫びたい一心で、葉崎市の海岸にやってきた。念願叶って、海に向かって「バカヤロー!」と叫んだところ仕返しとばかりに海は、真琴の目の前に「若い男の溺死体」というとんでもないものを運んできた。さらなる不幸に見舞われた真琴だったが、ひょんなことから「古書店アゼリア」を経営している前田紅子と知り合い紅子の入院中、破格の待遇で店番として雇われることとなった。仕事も住みかもなくし不幸の連続だった真琴にようやく運が向いてきたかと思いきや、店番の初日に泥棒に入られ、中華鍋で殴られ、さらに、新たな死体と対面する羽目になり…。その他、棺桶に閉じ込められるわ、首を締められるわ、「どんだけ~?!」ってくらいにノンストップ状態の真琴の不幸っぷりが、可哀想とは思うんだけどつい笑っちゃいます。事件の裏には、遺産狙いだの、逆恨みだの、出生の秘密だの葉崎の名門・前田家のお家騒動が隠されていて、さらにはしょうもない男の野心や、切ない恋心なんかがが絡んできてなんだかグッチャグチャのゴッチャゴチャです(笑)事件の捜査にあたるのは、お馴染み(?)の駒持警部補。相変わらず、すっとぼけたオヤジです。どんでん返しにつぐどんでん返し。意外な事実。駒持警部補の推理で、真相は明かされたかと思いきや隠された真相がいくつもあったりするんですね、これが。ラストはちょっと寒くなるような毒のあるオチなんだけどなぜか読後感は悪くないんですよね。若竹七海さんの作風って本当に不思議。けっこうクセになってしまいます。
2009年01月28日
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今月の15日に4歳になった我が息子。ここ1年ほどは、病院のお世話になることもなく平穏無事な毎日で、「今年もそうだといいねえ」と夫としみじみと話していたんですが、それからわずか1週間後……。お風呂上りに息子の体を拭いてやっていると、背中に3ヶ所ほど水疱を発見。よくよく見てみると、お腹や手足にも数ヶ所の発疹が。「ダニに刺されたのかな~?」と思っていたんですが、なんとなく体が熱いので、熱を測ってみると38度。「もしかして水疱瘡?」と思ったものの、息子はまだ幼稚園に行っている訳ではないので、他の子供と接する機会がほとんどないし、感染源が全く思い当たらない。翌朝にはすっかり熱も下がり、本人はいたって元気。発疹も増えている様子がないので、「やっぱりダニ?」ととりあえず1日様子を見てみることにしました。でも、昼を過ぎた頃にじわじわと発疹が増殖。勘違いを覚悟で、病院に連絡を入れ、隔離診察してもらったところ、やっぱり水疱瘡とのこと。近頃インフルエンザが大流行しているのでかなり警戒していたんですが、思わぬところに伏兵がいた、って感じです。病院で処方されたのは飲み薬(粒状)と塗り薬。「飲み薬は何かと混ぜてもいいですよ。 なんならアイスとかでもOKですから」と薬剤師さんに言われたので、飲み薬はヨーグルトに混ぜてみたところ、まんまと完食。大成功です。さて、次は塗り薬を…と、丸裸にしてみたところ発疹の数はざっと100個以上。軽く目眩がしました…(汗)この塗り薬、俗称「カチリ」というらしいんですが正常な皮膚につくとあまりよくないとのことなので綿棒を使い、発疹1ヶ所づつにピンポイントでつけるという地道な作業をすることに。発疹や水疱は基本的にかゆいようなんですが時々、痛いのもあるらしくて、暴れる暴れる。中でも頭皮にできている発疹は塗るのが大変!しかもこの薬、えもいわれぬ臭さなんですよね。「いたい!」「くさい!」と大騒ぎの息子。塗ってる私の方が、数倍臭いっつうの!全部に塗り終るまでに、軽く30分が経過。それを朝晩1回づつやるわけです。発疹が一番少ない背中の写真です。だんだん、かゆいところより痛いところのほうが増えてきたらしく、しかも臭いのを嫌がって今朝は薬を塗るための説得に1時間かかりました。1ヶ所ずつ薬を塗っていくたびに、「いたい!」と大泣きするんで、すごくかわいそうなんですけど…。水疱瘡ってどれくらい痛いんでしょうかね。私は6年前に帯状疱疹になったんですが、その時の痛みといったらハンパじゃなくて、今でも忘れられないくらい。そもそも帯状疱疹って、水疱瘡ウィルスが原因の病気だから、大元の水疱瘡も相当痛いのかなと。薬を塗るとき以外は、そんなに痛みは強くないみたいだし誰もがかかる病気で別に重病ってわけではないんだけど子供が痛がってるのを見るのは、やっぱり親としては辛いです。熱もなく元気があるのは幸いではあるんですがほんと、早く治ってほしいなあ…(〃´o`)=3
2009年01月25日
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海に臨む瀟洒な邸宅、十棟が並ぶ「ヴィラ・葉崎マグノリア」。その一棟、密室状況の空家で死体が発見された。所持品も無く、顔と手が潰され、身元の特定は困難。聞き込みに懸ける葉崎署員だが、ヴィラの住人は皆、一癖も二癖もある人間ばかり……。聞き込みのたびに、担当の一ツ橋巡査部長と駒持警部補の眉間の縦皺が増えていく。そんなおり、さらにヴィラ内である人物が殺害される!連続殺人により、住人たちの秘められた事実が次々と明らかになり……!?洒脱な語り口で、ミステリーの縦糸とユーモアの横糸とで織りあげる、著者会心の書下ろしミステリー傑作! (本書内容紹介より)海が見える閑静な住宅地「ヴィラ・マグノリア」。さぞやおしゃれで洗練された人が住んでいるかと思いきや、変わり者や下世話な人たちばかりで日々住人同士のトラブルが絶えない。そんな中、突然ふって湧いたように発見された死体に住人たちは浮き足立ち、お互いを疑い、足を引っ張り合う。さらにトラブルメーカーの住人が殺されて…。なんだかもう、胡散臭い人たちばかり。だから、誰も彼もが怪しく見えちゃいます(笑)若竹さんは「ごく普通の人」の心の奥底にある、ズルさ、身勝手さ、意地悪さなどを描くのが本当にうまいと思う。「人間臭さ」たっぷりのキャラクターたちはある意味、魅力的といえるかもしれません。でも、身近にいたら絶対好きになれないと思うけど…(笑)毒がかなりあって、一歩間違えれば「救われない話」になりかねないのに、独特の「乾いたユーモア」で妙におかしい雰囲気に仕上げています。事件を捜査する駒持警部補のすっとぼけたキャラが物語にさらに味わいを出しています。様々な人間の思惑が交錯し、事件の行方は二転三転。そしてさらにラストで大どんでん返し。最後の最後まで目が離せません♪
2009年01月22日
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明日はきっと、いいことあるよ。小学生にして「教主さま」。ふしぎな力をもつ少女、彩乃ちゃんがひきおこす3つの奇蹟の物語。注目の著者が描く優しいファンタジック・ストーリー「誰かの人生にかかわって、ちょっとだけ方向を変える。それでみんな、少し幸せになる」素朴で真面目で礼儀正しくて、一見ふつうの5年生だけど彩乃ちゃんには、見えている。周りの人のちょっとした未来。うまくいかない相手と仲良くする方法。幸運をよぶ少女と迷える人たちのひと夏のできごと。ほんの小さなきっかけで世界はたしかに、変わってく。 (講談社HPより)ある新興宗教の教祖の孫、彩乃ちゃんは小学5年生にして「教主さま」。病を患う教祖の容態が悪化したことから、後継者争いが勃発し、危うい立場に追い込まれた彩乃ちゃんは、身を隠さざるをえなくなった。彩乃ちゃんが身を寄せることになった3つの場所。そこで出会った人達と彩乃ちゃんの交流が3編の連作短編集の形で描かれています。アルバイトをしながら、ただなんとなく日々を過ごし、恋人との将来に迷いを感じている智佳子。大学受験への焦りや迷いから逃避するかのように里山再生のボランティアに明け暮れ、たった1人で石階段の修復を続ける辻村。東京から田舎町に引っ越してきたため、なかなか周囲にとけ込むことができず、両親の小競り合いに悩まされ、不満だらけの小学5年生の佳奈。「教主さま」として、がんじがらめの生活を強いられていた彩乃ちゃんは、色々な人たちとの交流で、これまでにない様々な体験をします。とはいっても、トマトを手掴みで食べるとか、夜遅くにファミレスに行くとか、夏祭りにいくとか本当にささやかなことなんですが、彩乃ちゃんにとっては、どれもこれも新鮮なことばかり。遠慮深く礼儀正しく、大人びたところはあるけれど小学5年生の少女らしい好奇心もいっぱいの彩乃ちゃんがとってもキュートです。彩乃ちゃんは、物事の先を見とおすことができる不思議な「力」を持っている。悩みや鬱屈を抱えていたそれぞれの人たちが、彩乃ちゃんの「力」によって、ほんの一歩前に進むことができるようになる。彩乃ちゃんの「力」は、霊能力とかそんな大げさなものではなく、ちょっとした助言や行動で身近にあるのに気付いていなかった大切なことに気付かせてくれるという、やさしい「力」。「ほんの少しだけ誰かが幸せになる」ということに関わることができることが、彩乃ちゃんの幸せ。ひと夏が終わり、自分の本来の居場所に帰っていくことになった彩乃ちゃん。その姿は、神々しいまでの「教主さま」だけど彩乃ちゃんのポケットには、出会った人たちからもらった、マニキュアとペンダントとビーズの指輪とたくさんの思い出が詰まっている。心がふんわりと温かくなる優しい物語でした。
2009年01月21日
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異形の壁に閉じこめられた高校生たち。だがその壁からは逃げ出すわけにはいかない。その壁に触れると、姿形、記憶や考え方まで完璧に同じコピー人間ができてしまうからだ。そんな密空間での殺人事件。犯人は誰?オリジナル人間か、それともコピー人間か!? 西澤保彦が、またまた新たな物語の世界へ読者を誘う。 (「BOOK」データベースより) 西澤さんのSF系ミステリ。今回のネタは「クローン人間」です。世界各国の至るところに、空から七色に輝く円柱型の「壁」が降りてくるという現象が起こる。その「壁」は形状から「ストロー」と呼ばれるようになった。「ストロー」に触れると、その人間の姿形・記憶・考え方までもすべてそっくりコピーしたような「クローン人間」ができてしまう。「ストロー」の中に閉じ込められた数名の男女の高校生たちはたまたま「ストロー」の範囲内に自宅がある担任の女性教師と合流することができ、一時は落ちつきを取り戻すが、隣家での殺人事件、正体不明の男など、様々な出来事により次第に極限状態に追い詰められていく。その結果、次々と「クローン人間」が生まれていき、とうとう連続殺人が起きてしまう。「壁」とはいっても、光の壁であるから通りぬけることはいたって簡単なんだけど、「オリジナル」の人間は外に出られても壁の内側には「クローン人間」が残されてしまうわけです。「クローン人間」といっても、心も体も「オリジナル」とまったく同じ人間なので、傍から見ても差がわからないし本人にさえ「クローン人間」という自覚はまったくない。「同じ人間が2人いるんだから、1人死んだってかまわない」いつの間にかそんな考えが蔓延し、平気で「自分自身」を殺したり、コピーを使ってアリバイ作りをして、誰かを殺そうとしたり。どうにもやりきれない展開の連続です。人の心の中には、相反する感情が存在していることがあり、その時の状況によって、どんな行動をとるかわからない。最終的には、ある意味「元通り」という感じになるんですが単純に割りきることのできないラストでした。考えれば考えるほど、「怖さ」を感じる作品です。
2009年01月18日
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十七年間勤めた警察を辞めた大道寺圭は、最後に手がけた事件で出会った幼なじみの編集者・彦坂夏見の強引な勧めで、本を出版する事になった。タイトルは『死んでも治らない』。大道寺が出会ったとぼけた事件を書きつづったものだが、その本がきっかけで、大道寺の前に次々と、まぬけな犯罪者が現れ、事件に巻き込まれていく!“トレイシー・ローズ”と名乗るスキンヘッドの大男。通称“お猿のジョージ”と呼ばれる、もっとも犯罪者にむかない男。二人組の女泥棒“マーメイド”…。ユーモアのなかに、ブラックなテイストを織り込んだコージー・ハードボイルドの傑作、登場。 (「BOOK」データベースより)目次 『大道寺圭の最後の事件1』 『死んでも治らない』 『大道寺圭の最後の事件2』 『猿には向かない職業』 『大道寺圭の最後の事件3』 『殺しても死なない』 『大道寺圭の最後の事件4』 『転落と崩壊』 『大道寺圭の最後の事件5』 『泥棒の逆恨み』 『大道寺圭の最後の事件6』作品紹介文にある「まぬけな犯罪者」というのを見てコミカルな感じのストーリーを想像していたんですがちょっと予想外なブラックさのある作品でした。よくよく考えて見るとけっこう重い内容だったりするのに軽いタッチで描かれているせいか、あまり重く感じません。この作品は連作短編集で、「まぬけな犯罪者」のせいで事件に巻き込まれてしまう主人公・大道寺圭の「現在」が描かれる5つの短編の合間に、大道寺圭が刑事として携わった最後の事件という「過去」の物語が細切れに挿入されています。(目次参照)なぜ「過去」の事件がぶつ切りになっているんだろう、と不思議に思っていましたが、読み進んでいくうちにバラバラだった「現在」と「過去」が複雑に絡み合ってきて最終的には「なるほど…」と、納得してしまう構成でした。「コミカル」と「シニカル」のバランスの絶妙さと構成の面白さ。若竹さんの作風がすっかりお気に入りになってしまいました。しばらく「若竹七海祭り」が続いてしまいそうです(笑)
2009年01月17日
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三億円をふんだくれ!ノスタルジック・タイムトラベル小説1968年―――。三億円強奪事件をきっかけに、一家心中で亡くなったクラスのアイドル里美ちゃん。寝て起きたら過去と現代を行き来する《ぼくら》は、彼女を救えるのか?火事にあった担任の先生、売れっ子少女漫画家の姉、浮気相手の女性・・・・・・。過去を変えることで生じる「歪み」に翻弄されながら、それでも救いたい、過去のあの子と現代の家族。 (ポプラ社HPより)ブログを参考にさせていただいた方:なみへい500さん同じ大学に勤務する教授の三都充と事務局長の安斎武。二人は小中学校の同級生で共に48歳。ある朝目覚めると、二人は1968年にタイムスリップしていた。体は小学5年生、心は48歳というアンバランスな状態で。それ以降二人は、寝て起きる度に2006年と1968年を1日おきに行き来するという不思議な日々を過ごす。いくつかの試みにより、「過去」を変えることができると確信した二人は、ふたつの目的のために動き出す。ひとつは、「三億円事件」がきっかけで、一家心中の犠牲となってしまったクラスメートの里美ちゃんの命を救うこと。そしてもうひとつは、2006年での安斎のある事情のため「三億円事件」で強奪された三億円を横取りすること―。これまでに読んできた「タイムスリップもの」では複数の人間が同時にタイムスリップするというのはいくつかありましたが、心(精神)だけが1日おきに過去と現在を行き来するという設定はかなり斬新でした。とはいえ、もちろんお約束の「タイムパラドックス」というものはあり、二人が過去を変えたことによって未来が様々な形で変化してしまいます。過去を変えることにより、未来の自分たちに大きな影響がでることを覚悟しつつ、二人は三億円奪取と里美ちゃん救出を試みます。設定が面白いし、テンポよく展開していくのでかなり引きこまれていきました。でもそれだけに、肝心の三億円事件と一家心中阻止のエピソードがあまりにも短かったのが、なんだか肩透かしを食らったようで、ちょっと残念な気がしました。でも、ラストまで読んでみて、重要なのは二人の「大仕事」そのものではなく、そこに至るまでの過程だったのかなという風に解釈することができました。タイムスリップものには、なんらかの形の「別れ」というものがつきものなんですが、この作品にもやはりそれがありました。そこにいるのに、もう二度と会えない…。お互いを思いやる二人の気持ちがすごくあたたかくてそれが本当に切なくて、でも悲しいばかりではなくどこか清清しさも感じられるようなラストでした。読み終わった後にも、ホワッとした優しい気持ちが心に残る、とっても魅力的な作品でした。小路さんの他の作品もぜひ読んでみたいと思います♪
2009年01月14日
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これまで自分が縛りつけられていた世界というのは一体何だったのだろう。慎治は思った。それがすべてだった。そこから逃げ出すことなど考えたこともなかった。学校は校則と成績で縛る。親は、子供を塾に通わせようとする。そこには、いじめがある。暴力や恐喝がまかり通っているが、それを誰も管理できない。慎治は、死ぬしかないと本気で考えていた。14歳、少年は心を奪われた。新・青春小説の誕生。 (「BOOK」データベースより)中学生の慎治は、クラスメート三人からいじめを受けていた。万引きを強要された慎治はビデオショップで万引きをするが店に設置されていたセンサーにひっかかってしまう。気付いた店員に追いかけられるがどうにか逃げきった。たまたまそのビデオショップにいた慎治の担任・古池はその様子を見ていたが、面倒なことを嫌い見てみぬフリをした。万引きが見つかり、この先も続くであろうイジメに耐えられなくなった慎治は「死ぬしかない」と思い詰めるようになっていた。万引きの現場を目撃して以来、慎治のことが気にかかっていた古池が学校内でそれとなく慎治の様子をうかがってみるとどうやらイジメを受けているらしいことに気付く。追い詰められ自殺まで考えている慎治に対して、古市は「自分が死ぬくらいなら、相手を殺せばいい。戦え」といった。「それはできない」という慎治に、「ならば、逃げろ」という。「学校に通う限り、逃げ場なんてない」という慎治の言葉に「死ぬか生きるかの瀬戸際なんだから学校なんて来なくていい。親に怒られるのが嫌なら行ってるフリをしろ」と古池はおよそ教師らしからぬ提案をする。慎治が本当に死にたいわけではなく、別の世界に逃げたいと思っているだけだと悟った古市は慎治を自宅に招き入れる。そこには、慎治がまったく知らなかった世界が広がっていた…。それはもう、めくるめくガンダムワールドが!(笑)古池先生は筋金入りのガンダムおたくだったんです。フィギュア・プラモデル・LDなど、ガンダムだらけ。ガンダムシリーズの歴史について、語る語る…。大抵の人は「ドン引き」になることうけあいなんですが慎治はジワジワとガンダムの魅力に取り付かれていき何もかもを忘れ、プラモデル作りに没頭していきます。そしてある事情から、大掛かりなサバイバルゲームに参加せざるをえなくなった慎治は、チームのメンバーから中国拳法を習うことになります。様々な人達と出会い、色々な経験をしていくうちに慎治は少しずつ自信を取り戻していく。そして、ついにイジメに立ち向かう決意をする―。この作品は、「思いきりオタクな話を書きませんか?」という今野さんの担当者の一言がきっかけで書かれたものだとか。というわけで、この作品にぎっしり詰め込まれているガンダム・プラモデル・サバイバルゲーム・拳銃・拳法などぜーんぶ今野さんの趣味なんだそうです。ですから、あまりにもオタク…いえ、専門的な描写の連続でなんだかすごいことになってます…(笑)つまり、ストーリーは後付けってことなんですねー。そんなわけで、展開はやや強引なところもありますがこれだけのオタクネタを盛り込みながらも、それを「少年の成長の物語」に仕上げた手腕は素晴らしい!という気がしないでもない、かな…(笑)とはいえ、ただのオタク小説とあなどってはいけません。慎治の担任教師の古市のセリフのひとつひとつにけっこう考えさせられるものがあったりしますから。ちなみに本の表紙のガンプラ(ガンダムのプラモデル)は今野さんご自身が作成されたものだそうです。うーん、筋金入りだ…(笑)
2009年01月09日
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東城大学医学部付属病院・小児科病棟に勤務する浜田小夜。担当は、眼球に発生する癌―網膜芽腫(レティノブラストーマ)の子供たち。眼球を摘出されてしまう彼らの運命に心を痛めた小夜は子供たちのメンタルサポートを不定愁訴外来・田口公平に依頼する。その渦中に患児の父親が殺され、警察庁から派遣された加納警視正は院内捜査を開始する。小児科病棟や救急センターのスタッフ、大量吐血で緊急入院した伝説の歌姫、そこに厚生労働省の変人・白鳥圭輔も加わり、事件は思いもかけない展開を見せていく…。 (「BOOK」データベースより)「田口&白鳥コンビ」シリーズ第2弾。『チーム・バチスタの栄光』の続編です。前作の『チーム・バチスタの栄光』は医療系ミステリという枠でしたが、この作品はまったく別ものです。共通するのは、病院が主な舞台であるということとトンデモ役人・白鳥の登場が遅いということくらいかも(笑)この作品に対するレビューをいくつか見かけましたが「期待ハズレ」という意見が多かったです。殺人事件は発生するものの、ミステリというよりもSFというかオカルト系の要素が色濃い内容なので前作のような路線を期待していた人がこの作品を読んでがっかりするというのもわかるような気もします。私の場合、「医療ミステリ」というものにこだわりはなかったし続編というより、「同一キャラクターが登場するまったく別の話」として読んだので、特にがっかり感はありませんでした。内容的にはかなり「好き・嫌い」が分かれそうな作品だと思いますが、私はこの作品好きです。この作品の鍵となるのは「歌」。ある人の「歌」は、聞いている人の心の中の悪意や憎悪を喚起し、それを増幅させたり、浄化したりする。ある人の「歌」は、聞いている人の頭の中に「映像」を浮かび上がらせることができる。そんなことが実際にあり得るのかはわからないけれどかなり興味深い設定でした。殺人事件の捜査にあたる加納警視正のマイペースさや強引さが「どことなく白鳥を彷彿とさせるなー」と思っていたら、案の定、白鳥の大学時代の同級生だったりするんですが、それはさておきこの加納さんの捜査方法っていうのが、とっても科学的。「デジタル・ムービー・アナリシス」というらしいんですがデジタルビデオなどで現場の隅から隅まで撮影し、現場環境をすべてデジタルデータ化して、それをコンピューターで様々な解析にかけることにより、犯行時の状況や、身長や利き腕など犯人の特徴を分析できるという、加納さん独自の特殊な手法。ゆえに、加納さんのあだ名は「デジタル・ハウンドドッグ」(笑)小児病棟の患者の瑞人くんは、どうしようもない父親からネグレクト(育児放棄)されていて、常に斜に構えている。中学3年生とは思えないようなクールさが痛々しくて悲しい。「~であります」が口癖の5歳のアツシくんは、ヒーローもの『ハイパーマン・バッカス』のシトロン星人が大好きな男の子。二人は共に、網膜芽腫という病気で眼球摘出を余儀なくされている。二人の担当看護師・小夜は悲しい過去を持つ「歌姫」。やりきれない展開をみせていくストーリーの中で、可愛くて健気なアツシくんの存在がすごく救いになりました。ちなみに、アツシくんが好きな『ハイパーマン・バッカス』というのは『ウルトラマン』のパチものっぽいやつなんですが主人公は不正をして地球防衛軍をリストラされたためお金がなく、無賃乗車やヒッチハイクをして怪獣の出現場所まで辿り着き、しかも、酒を飲んで酔っ払わないと変身できないらしいんです。あまりにもシュールな設定がかなり笑えました。
2009年01月08日
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あけましておめでとうございます。今年もよろしくお願いいたします。みなさんはどんな元旦をお迎えになられましたか?我が家は、夫の実家は徒歩3分、私の実家はバスで30分とどちらもすごく近いので、「帰省」というものに縁がなく自宅でのんびりまったりと過ごしました。私は毎年年末に気合を入れておせち料理を作るんですがその動機としては一応「古き良き日本の風習を大切に」というしおらしい気持ちもあるんですが、結局のところただ単におせち料理が好物というだけだったりします(笑)今まではおせち料理は大皿に盛りつけていたんですが先日、実家で眠っていた重箱をもらいうけたので今年は初めて重箱に詰めてみました。たぶん30年物と思われる重箱です。そして、中身はこちら。重箱に詰めただけで、かなりそれっぽく見える気がします。今回自分で作ったのは、栗きんとん・伊達巻・紅白なます・黒豆・いくら(11月仕込)・田作り・松前漬け・蕗の煮物・七福煮とお赤飯・お雑煮です。我ながらナイスファイト!(笑)そして、なによりも楽しみにしていたのが、お正月用のお酒♪色々と吟味して用意しておいた一升瓶のお酒2本(←多すぎ?)『天明 純米無濾過生中取り槽しぼり』 「無濾過」というだけあって、うっすらと澱(濁り)があってちょっとフルーティな感じでまろやかなお酒。『上喜元 お燗純米酒』 贅沢にも山田錦100%で、お燗用に作られたというお酒。もちろん常温でも十分いけますが、お燗をするやいなや香りがすごくたって、最高においしいお酒になります。日本酒好きの方には、この2本はすごくお奨めです♪そんなこんなで、1日中ダラダラとおせち料理をつまみながらおいしいお酒を飲むという、至福の時を過ごしました。そんなまったり気分はほんの束の間で、今日(1/2)はお年賀のお菓子の買い出しや、料理の仕込などで1日中バタバタ。それらを持参して、明日(1/3)に夫の実家の集まりに参加してきます。ちなみに夫は仕事で不参加ですが…(^_^;)私は「酒呑みの嫁」という称号をいただいているので夫の実家でおいしいお酒をたくさん飲ませてもらってきます!(笑)
2009年01月01日
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ブログをはじめた今年の4月から今日までに読んだ作品は合計89冊。けっして多い数ではないというのに、新しく出会った作家さんが、なんと23人!こんな短期間の間にこれだけの人数の作家さんの作品を読んだのは生まれてはじめてだと思います。色々な方のブログにお邪魔してレビューを拝見したりお奨め作品を教えていただいたりして、読みたい作品が次から次へと増えてしまったんですねー。本当にたくさんの作家さんや作品に出会えて幸せでした♪そんな中から、自分なりのベスト作品を選出しようと思ったんですが、これが本当にむずかしくて…(^_^;)作家部門/長編部門/中編部門/短編部門/アンソロジー部門という感じで、とりあえず5つの部門にわけてみました。【作家部門】 辻村深月 瀬尾まいこ 長嶋 有【短編部門】 『阪急電車』 有川 浩 『終末のフール』 伊坂幸太郎 『映画篇』 金城一紀【中編部門】 『卵の緒』 瀬尾まいこ 『ジャージの二人』 長嶋 有 『西の魔女が死んだ』 梨木香歩【長編部門】 『スロウハイツの神様』 辻村深月 『隠蔽捜査』 今野 敏 『愛しの座敷わらし』 荻原 浩 『重力ピエロ』(単行本) 伊坂幸太郎 『でかい月だな』 水森サトリ【アンソロジー部門】 『小説こちら葛飾区亀有公園前派出所』 大沢在昌/石田衣良/今野敏/柴田よしき/ 京極夏彦/逢坂 剛/東野圭吾番外編として【殿堂入り】 『ぶたぶた』 矢崎存美 【衝撃大賞】(今年一番衝撃を受けた作品) 『噂』 荻原 浩なんだかんだ、作品数が多くなってしまいました。計14作品。89作品中14作品って…。結局、全然絞り込めてないわけですねー(笑)でも、どうにか選出できてよかったです。今年一番はまったのは、辻村深月さんの作品でした。年末にきて、はまりかけているのが若竹七海さん。たぶん、来年読みまくりだと思います(笑)「読みたい本リスト」がどんどん増えているので来年はもう少し読書ペースをあげたいです。今年の4月にブログをはじめて、はや9ヶ月。ペースは遅めでしたが、どうにか続けてこられたのはご訪問やコメントをくださる皆様のお陰です。本当にありがとうございました!また、来年もよろしくお願いします♪それではみなさん、よいお年を!(^O^)/
2008年12月30日
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葉崎半島の先、三十人ほどの人間と百匹を超える猫が暮らす通称・猫島。民宿・猫島ハウスの娘・杉浦響子は夏休みを迎え、家業の手伝いに精を出す日々を送っている。そんなある日、ナンパに勤しむ響子の同級生・菅野虎鉄が見つけてしまったのはナイフの突き立った猫の死体、いや、はく製だった!? 奇妙な「猫とナイフ」事件の三日後、マリンバイクで海の上を暴走中の男に人間が降ってきて衝突した、という不可解な通報が!降ったきた男は「猫とナイフ」事件にかかわりがあるようだが…。のどかな「猫の楽園」でいったい何が!?真夏の猫島を暴風雨と大騒動が直撃する!奇妙な事件に奇矯な人々、そして猫・猫・猫…ユーモアとシニカルを絶妙にブレンド。コージー・ミステリの名手、若竹七海の真骨頂。 (「BOOK」データベースより)以前から気になっていた作家、若竹七海さん。どれから読んだらいいかと考えあぐねておりましたが「猫がたくさん出てくるミステリ」を書いていると知り思わず飛びついてしまいました。(猫好きなもんで…)猫だらけの島、通称・猫島。たくさんの猫達がのんびり暮らしている「猫の楽園」マスコミ効果で、猫好きの人が次々と観光に訪れる。そんな猫島で、次々と奇妙な事件が発生する。捜査にあたる警部補は不幸にもひどい猫アレルギーで怪しげなガスマスクを装着しながら聞き込みをするし同行する警官はなぜか災難に遭いまくりで怪我が絶えず。対する島の人々も妙な人達ばかり。特に、島唯一の神社である「猫島神社」の宮司さんがかなりすっとぼけたキャラで、いい味だしてます。自分の猫を身勝手な理由で猫島神社に捨て、しかも「餌代よ!」と偉そうに置いていった大入袋の中身はなんと10円!という強烈な中年の太ったご婦人に向かって「くそババァ、猫に祟られてしまえ!」なんてことを言っちゃうんです、宮司さん。神に仕えてるってのに…(笑)まあ、気持ちはよ~くわかりますが。ちなみに、宮司さんの呪いが効いたのか、中年の太ったご婦人この数分後に本当に「猫の祟り」に遭ってしまいます。といっても、人為的なものですが…(笑)チョイ役から主役まで、魅力的なキャラクターがいっぱい。もちろん、ミステリとしてもすごく面白いんだけど、セリフや細かい描写の中にもちょっとした小ネタがちらほら。ガスマスクを装着しているの刑事さんのセリフの合間合間に「(スーッ、パーッ)」っていう呼吸音が入っているのがかなりツボにはまってしまいました(笑)すごく楽しい作品でした。若竹さんにはまっちゃいそうです♪余談ですが、この作品に登場する猫の8割くらいは、映画や小説に登場した猫の名前を使っているそうです。その中に「トマシーナ」という名前を見つけたときは、思わずニヤリとしてしまいました。柴田よしきさんの「猫探偵・正太郎」が好きな方はたぶんおわかりになるのではないかと…(*^-^)
2008年12月26日
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毎年クリスマスは「いかにお金をかけずに準備をするか」というしみったれたチャレンジに闘志を燃やしてます。今回は料理やケーキなどの材料費をあわせても1500円程度。うーん…。今年も安くあがりましたまずは、「お菓子の家」。これは息子と夫が担当。最初のうちはメルヘンチックでかわいらしかったのに息子の手によって「怪奇の館」になってしまいました…(笑)料理とケーキは私の担当。クリスマスソングかかりまくりのFMラジオを聞きながらの準備はなかなか楽しかったです♪「トマト風味のポトフとパン」が我が家のクリスマスの定番でいつもはパンを手作りするんですが、つい最近安くておいしいパン屋さんをみつけたので、今年はそこでパンを購入しました。息子の好物のミートボールを積み重ねた怪しいツリー(もどき)ケーキは、去年までは安いロールケーキをそれっぽくデコレーションして「インチキ・ブッシュドノエル」を作っていたのですが、今年は丸いスポンジ台を使って「インチキ・イチゴショート」を作ってみました。あまりにもセンスのないデコレーションになってしまったので小道具を総動員してごまかしました(笑)アルコール系は、懸賞で当たった赤&白ワインで済んだし本当に笑っちゃうくらい安上がりなクリスマスでした。次は「いかにお金をかけずにおせち料理を作るか」というまたまたしみったれたチャレンジに闘志を燃やそうと思います(笑)
2008年12月24日
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「私、結婚するかもしれないから」「すごいね」。小六の慎は結婚をほのめかす母を冷静に見つめ、恋人らしき男とも適度にうまくやっていく。現実に立ち向う母を子供の皮膚感覚で描いた芥川賞受賞作と、大胆でかっこいい父の愛人・洋子さんとの共同生活を爽やかに綴った文学界新人賞受賞作「サイドカーに犬」を収録。 【目次】サイドカーに犬/猛スピードで母は (「BOOK」データベースより)最近、長嶋有さん独特のゆるゆるな「脱力系ワールド」にすっかりはまってしまっています。この作品は長嶋さんのデビュー作だそうなんですが『ジャージの2人』や『夕子ちゃんの近道』のような「終始ゆるみっぱなし」という感じはありません。でも、「起承転結」をあまり意識していない展開は近年の作品の原点となっているような気がします。「サイドカーに犬」「猛スピードで母は」の2作はいずれも子供の視点で描かれています。両作品とも、主人公はけっこうハードな家庭環境に置かれているにも関わらず、すごく淡々としています。ヘタしたら、悲惨な話になっても不思議ではない設定なのに、なんともいえない不思議なムードがあって、ちょっと切ないんだけれどほんのりと温かさを感じるような作品となっています。どことなく、瀬尾まいこさんに通じるものを感じました。「サイドカーに犬」は、竹内結子さん主演で映画化されているようで、それもちょっと見てみたいです。
2008年12月22日
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怪人二十面相の正体は誰か。原作者の江戸川乱歩さえ触れることのなかった永遠の謎を劇作家でもある著者が大胆な想像力と緻密な構成で描く。父が自殺し母も行方不明となった平吉は、孤児院に行くことを拒否して、自らの意志でサーカス団に入門する。そこで平吉の面倒をみることになったのは、あらゆる芸を即座に自分のものにしてしまうサーカスの天才・武井丈吉だった。芸の師匠でもある丈吉を父のように慕う平吉だったが、突然、丈吉はサーカス団から姿を消してしまう。「世間をあっといわせる泥棒になる」という言葉を平吉に残して。話題の映画「K‐20」原作。 (「BOOK」データベースより)小学生の頃、夢中で明智小五郎シリーズを読みました。颯爽と事件を解決する明智探偵や溌剌とした小林少年よりもなんだか憎めないところのある「怪人二十面相」の方が好きという、ちょっとひねくれた子供だった私。映画「K-20」の宣伝でこの作品の存在を知りまして「二十面相側から見た物語」というのがすごく魅力的で速攻で図書館に予約してしまいました。昭和の初期、両親を失い、自らサーカス団に入団した平吉とその師匠であるサーカス団の花形スターの丈吉。物語は平吉と丈吉、2人の視点で描かれていきます。江戸川乱歩氏の原作では、「怪人二十面相」の正体は元サーカス団員の遠藤平吉ということなんだそうですが、この作品では、遠藤平吉の師匠の丈吉が「怪人二十面相」の正体ということになっています。「サーカスで磨いた華麗な技を駆使して世の中をあっと驚かすような大掛かりなショーがしたい」というような理由から泥棒になる事を選んだ丈吉。別に金目当てで泥棒をする訳ではないけれど、世の中を騒がすためには、価値のある物を盗まなくてはならない。技術には自信はあったが、美術品などに関する知識が皆無な丈吉は、よりよいものを盗むため、必死に勉強をするなど涙ぐましい努力の末、晴れて「怪人二十面相」となります。「怪人二十面相」である丈吉が人情があり、ちょっぴりコミカルな感じのキャラクターとして描かれている反面、「正義の味方」であるはずの明智小五郎と小林少年が自己顕示欲が強く打算的で、かなり「感じ悪っ!」というキャラクターとして描かれています。明智小五郎&小林少年ファンの方にとっては、噴飯ものな設定だと思いますので、読む前には心の準備を…(笑)「怪人二十面相」ファンの方にとっては、かなり楽しめる作品となっていると思います。ラストには2代目明智小五郎と2代目二十面相の誕生を臭わせるようなくだりがありまして「なるほど、世襲制か~!それもありだね~」と妙に楽しくなってしまいました。続編では2代目同士の戦いが繰り広げられるようです。というわけで、速攻で続編を図書館に予約してしまいました(笑)ちなみに映画「K-20」は、この作品が原作ということになってますが、内容はかなり違ったものになっているようです。
2008年12月20日
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春の近づくある日、僕・坂木司と鳥井真一のもとを二人の老人が訪ねてきた。僕らの年上の友人でもある木村栄三郎さんと、その幼馴染みの高田安次朗さんだ。高田さんがボランティアとして働く動物園で、野良猫の虐待事件が頻発しているという。動物園で鳥井が掴んだ真実は、自身がひきこもりとなった出来事とどうつながるのか――。はたして鳥井は外の世界に飛び立てるのか、感動のシリーズ完結編。鳥井家を彩る数々の家庭料理をご自宅で作れる、簡単レシピ集「鳥井家の食卓」など、文庫版おまけ付き。 『青空の卵』『仔羊の巣』に続く三部作の完結編。前2作は連作短編集でしたが、今回は長編となっています。動物園で起きた野良猫の虐待事件を調べていた鳥井と坂木。そこで坂木は、人生の中で唯一「存在を消したい」とまで考えたことのある中学の同級生・谷越と再会してしまう。鳥井の引きこもりの原因となった中学時代の出来事が明らかになり、鳥井と坂木それぞれが心の中にあった過去の傷と改めて対面することになります。前2作同様、根っからの悪人は登場しません。いまいち好きになれないなーと思う人や超嫌なヤツなどどの人物も鳥井に情け容赦なく「引導」を渡されることで毒気を抜かれてしまい、「そんなに嫌じゃない人」に変わっちゃうんですよね。まるで呪いが解けたみたいに。今回は、最終的に鳥井本人が「引導」を渡される側となり坂木と鳥井の関係にも大きな変化が訪れます。ミステリというにはあまりにも人間関係に重きを置きすぎているので、純粋にミステリを楽しみたいという人には物足りないと感じるかもしれません。みんなが「いい人」で、きれいごとだらけだと言われればその通りだと思うし、ベタ甘な部分もたくさんあるのでかなり好き嫌いがはっきり別れる作品だと思います。でも私は、「成分の99%くらいが『やさしさ』でできている」って感じの「きれいごと」たちがとても好きでした。ラストはちょっと先が気になるような形で終わってしまいなんとなく消化不良というか、寂しいような気持ちになってしまったのですが、密かに隠されていたサプライズのお陰で、満ち足りた気持ちで読み終えることができました。消化不良で終わりたくない方は、あとがき以降も最後のページまで見逃さないようにしてくださいね♪
2008年12月20日
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またまた都営まるごときっぷという1日乗車券を利用して、都内をぶらぶらしてきました。この乗車券は、700円で都営地下鉄、都バス、都電荒川線、日暮里・舎人ライナーが乗り放題なので本当に便利でお得です♪今回すごくお世話になったのが「東京→夢の下町バス」という都営交通が運行している観光バス。東京駅~日本橋~秋葉原~上野~合羽橋~浅草~両国と下町中心の観光ポイントを巡ります。この日、夫が行きたかったのは秋葉原。私が行きたかったのは浅草寺、合羽橋、上野アメ横。なので、このバスで全部の場所に行けちゃうんです。ということで、浅草寺へ―。平日にも関わらず、混んでました~。でもめげずに仲見世で大好きな人形焼を買ってウキウキと歩いていたのですが、途中でなにやら変わったおもちゃを発見したらしい息子の「おもちゃかって~!」攻撃が…息子の「ダダこね」は、大泣きで地面に転がって大の字でジタバタという、めちゃめちゃベタな動きをするんですもうほんと、観光中の皆様ごめんなさいって感じでした…σ(^_^;)ちなみに我が家では「泣けば買ってもらえる」という甘い考えはまったく通用いたしません!(笑)というわけで、涙と鼻水垂らしまくりの息子を夫が抱えて前進。おみくじの所まで行くと、珍しもの好きの息子はおみくじに心を奪われたようで、ケロッと泣き止みました私はこれまで何度も浅草寺でおみくじを引きましたが見事なまでに全部「凶」だったんです。聞いたところによると、浅草寺は他のお寺などと比べるとかなり「凶」の比率が高いらしいんですよ。また凶を引くのはやだな~と思い、家族代表ってことで息子に引かせたところ「末吉」。なんか微妙でした…。お参りを済ませ、浅草寺を出ることになったのですがまた仲見世を通ってしまうと「ダダこねリターンズ」がありそうで嫌だったので、店があまりない別の道へ。息子の「ダダこね」ですっかり消耗してしまいしかもお昼を過ぎていておなかが減っていたのでぐったりしながら歩いていると、前方の歩道に職人風の白衣をきた数人の男の人が佇んでいました。その横を通りすぎようとすると、ガタイのでかい人がチラシを手渡してきて、唐突に「お腹すいてませんか?」と。「へ?いや、メチャメチャすいてますけど…」と思ったけれどどう返事をしていいものやらわからずに目を泳がせているとどうやらそこは『すしざんまい 浅草店』という二日後にオープン予定のチェーン店のお寿司屋さんだそうで従業員の接客訓練のために臨時オープンをしていて、無料でお寿司をサービスしているのでぜひ食べていって欲しいとのこと。あまりにもおいしい話すぎて、夫と顔を見合わせて戸惑っていたんですが「怪しい店じゃありませんから」という一言にちょっとウケてしまい、結局そのお店に入りました。テーブル席に案内され、「お飲み物のご注文を…」といわれいくらなんでも飲み物代はかかるよね?と思い尋ねてみると「飲み物も食べ物も全部無料です!」という素敵なお返事。周りを見渡してみると、結構生ビールを飲んでいる人がいたので私達もちゃっかりと生ビールを注文してしまいました…。このお店は、各テープルにタッチパネル式のモニターがありそれを操作して注文をする形式になっているんです。そのモニターは操作していないときには、お店の紹介の画像が出てくるんですが、「時には社長自ら鮪を釣ることも」というコメントとともに出てきた「鮪釣りあげシーン」の画像に写っていたのは、私達にチラシを渡し、店に誘ったお方…。「あの人、社長だったんか~い!」と、びっくり!社長なんだから、店の中でふんぞり返っていてもおかしくないのに白衣を着て店外に立ち、チラシを配りやお客様の送迎をするなんてなんだか素敵な社長さんだなーと感心してしまいました。↓この方が社長さんです♪最初は遠慮がちに注文していたのですが、周りを伺ってみると結構みんなガンガン注文してるもんだから、私達もつい…(汗)どれもこれもみんなおいしかったんだけど、特にあぶりトロとネギトロとウニのおいしさは半端じゃありませんでした。で、挙句の果てに、図々しくも日本酒まで頼んでしまいました。私が頼んだ日本酒は「村重 純米吟醸」という山口のお酒。これがもう、飲んだ瞬間「ネットで探して取り寄せしなきゃ!」と心に決めてしまったくらい、本当においしいお酒でした。帰りしなにタッチパネルで会計金額を確認してみると、なんと\8,000を超えていて、もうびっくり。アンケートとか書くんだろうなーと思っていたのでせめてものお礼にしっかり協力しようと思っていたのにそれすらもなく、従業員の人達は「ありがとうございました」と笑顔を向けてくるのみ。申し訳ない気分でいっぱいでお礼を言いまくりながらお店を出ると、ドアの外には社長さん他数名のアーチが…。社長さんに「すみません。たくさんいただいてしまいました」というと「いいんですよ」と笑って言ってくれたので、「すごくおいしかったです!ご馳走様でした」と言ったら「そうですか?良かったです!」と社長さんの顔に満面の笑みが。「また来てくださいね」と言われ、「ハイ!」と小学生ばりの元気な返事をしてお店を後にしました。「従業員の接客訓練のため」っていってたけど、どちらかというと「新しい店がオープンするお祝いだからガンガン食ってくれや!」みたいな感じの「大盤振る舞い」な雰囲気だったんですよね。考えてみたら社長さん、ずっと外に立ちっぱなしだったし。「あの社長さん、本当にいい人なんだろうねー」と夫と2人で感動してしまいました。『すしざんまい』は築地が本店で、その他都内で様々な店舗形態で20ヶ所以上もチェーン展開しているお店らしいんですがあの社長さんの経営しているお店ならどれも間違いないと思います。お礼の気持ちを込めて、「いつか自腹で行こう!」と思っています。
2008年12月15日
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一緒に迷って、一緒に泣いて――早く大人になりたい、と思った。『冷たい校舎の時は止まる』から生まれた珠玉の短編集 ほろ苦くも優しい辻村ワールドへようこそ。誰もが不安を抱えて歩き続ける、未来への“道”。子どもが感じる無力感、青春の生きにくさ、幼さゆえの不器用…。それぞれの物語を、優しく包み込んで真正面から描いた珠玉の三編を収録。涙がこぼれ落ちる感動の欠片が、私たちの背中をそっと押してくれます。はじめましての方にも、ずっと応援してくれた方にも。大好きな“彼ら”にも、きっとまた会えるはず。 (講談社HPより)収録作品『ロードムービー』『道の先』『雪の降る道』『ロードムービー』 小学5年生のトシとワタルの物語。 春休み、トシは親友のワタルと共に家出を決行した。 それは、家の事情で引越しを余儀なくされたワタルと 離れ離れにならずに済むためにトシが考えた作戦だった。 成績もよく運動もでき、常に委員長を務めるトシは クラスの人気者だったが、クラス内で幅を利かせている 女子生徒・アカリの「ワタルとは仲良くしない方がいい」 という言葉を無視してワタルと仲良くなったことから 執拗な嫌がらせを受けるようになった。 周りが敵だらけになっていく中、ワタルの協力の元 トシは以前から目指していた「児童会長」に立候補する。 物語は、春休みの家出の話、その少し前の学校内での出来事、 この二つの視点が入り組んだ形で進んでいきます。 中篇でありながらも、相変わらずあちこちに伏線があり 辻村さんならではの仕掛けが施されています。 何があっても「ぶれる」ことのないトシとワタルの友情が 痛々しくて、でもすごくあたたかくて胸に染みました。『道の先』 塾の講師のアルバイトをしているちょっと気弱な大学生と 気に入らない塾の講師次々に辞めさせるほどの影響力を持ち 女王様のように振舞う女子中学生の物語。『雪の降る道』 親友の死によって心を閉ざしてしまった小学生の「ヒロ」と その幼馴染の「みーちゃん」の物語。 ヒロに元気になってもらいたくて、あちこち歩き回って 探してきた「宝物」を毎日ヒロの元に届けるみーちゃん。 そんなみーちゃんに対してもヒロは心を開くことができず 暴言を吐き拒絶してしまう。 どんなに傷ついてもヒロの元を訪れるみーちゃんだったが ある雪の日、ヒロに「みーちゃんなんかいなくなっちゃえ!」 という言葉を投げかけられた後、行方不明になってしまう…。3篇とも、辻村さんのデビュー作『冷たい校舎の時は止まる』のキャラクター達がなんらかの形で登場します。時系列でいうと、未来、近い未来、過去にあたる物語ですがはっきり名前が出てくる訳ではないので、『冷たい校舎の~』の内容を忘れていると、誰が誰だかわからないまま終わる可能性も(笑)キャラクターを覚えていれば、かなり感慨深いものがありますが、未読の人でも十分楽しめる作品ではないかと思います。というか、この作品を読んでから『冷たい校舎の~』を読むっていうのも悪くないかもしれません。この作品のラストには「それもありだな」と思わせるようなちょっとした仕掛けが施されていますから。以下はネタバレになっていますので未読の方はスルーしてくださいね。『「ロードムービー」主人公「トシ」の両親は「冷たい校舎の~」の桐野景子と諏訪裕二(生徒会長)。「トシ」は、昔から男言葉で話していた景子の影響を受けて男言葉を使っているが、実は「慧恵(としえ)」という女の子。作品中に出てくる「タカノのおじさん」は鷹野博嗣。その部屋にいた「お姉さん」は辻村深月。物語のラストで、2人は結婚する。「道の先」塾の講師のアルバイトをしているちょっと気弱な大学生は「冷たい校舎の~」の片瀬充だと思われる。携帯で連絡を取った東大生の友人は、鷹野博嗣ではないかと…。ラストでは佐伯梨香と「榊くん」こと菅原榊の元へ向かう。「雪の降る道」ヒロは鷹野博嗣、みーちゃんは辻村深月、菅にいは菅原榊。「冷たい校舎の~」に登場した鷹野・深月・榊の過去のエピソードの補足のような形になっていて、この話によりなぜ鷹野があれほど深月を大事にしていたかがよくわかる。ラストに「エピローグ、またはプロローグ」というタイトルで「冷たい校舎の~」のプロローグの内容がそっくりそのまま使用されていて、「ここから物語が始まる」という感じの心憎い演出になっている。 』
2008年12月14日
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お江戸の片隅、お紅と清次の姉弟二人で切り盛りする、小さなお店「出雲屋」。鍋、釜、布団にふんどしまで、何でも貸し出す出雲屋ですが、よそにはないような、ちょっと妙な品も混じっているようで…。彼らは、生まれて百年を経て、つくもがみという妖怪に化した古道具。気位も高く、いたずら好きでおせっかいな妖怪たちは、今日もせっせと、出雲屋を引っ掻き回すのでありました。ほろりと切なく、ふんわり暖かい。畠中ワールド、待望の最新作。 (「BOOK」データベースより)『しゃばけ』シリーズでおなじみの畠中恵さんの時代物。『しゃばけ』同様、この作品にも妖(あやかし)が登場します。『しゃばけ』では、妖たちは主人公と仲睦まじい様子でしたがこの作品では、妖たちは「絶対に人間と会話をしない」というちょっと一線を引いたような関係になっています。とはいっても、間接的ではあるものの、つくもがみたちと主人公の清次やお紅達との意思の疎通はできています。なんだかんだ屁理屈をこねつつも、清次とお紅の作戦にまんまとのせられてしまうつくもがみの面々は、結局のところ清次とお紅の為に一肌脱いでしまうわけです。「人間ごときに使われるなんて…」と腹を立てる反面健気に店を切り盛りしている清次とお紅を心配する気持ちもあり、つくもがみたちはちょっと複雑な心境。「できの悪い孫を見守る偏屈なお年寄り」という感じですかね。その微妙な距離感がすごく微笑ましいです。物語の舞台となっている「出雲屋」は、古道具屋兼日用品から高級品まで様々な品を貸し出すという「レンタルショップ」のようなお店。江戸時代にもこんなお店があったとは知りませんでした。テレビの時代劇などではあまり窺い知ることができない江戸の庶民文化が散りばめられていてなかなか楽しいです。実の兄弟ではない、清次とお紅の関係にも注目です♪この作品も、「ほのぼのムードなんだけどちょっとせつない」という感じの、畠中さん独特のテイストがありました。
2008年12月11日
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僕、坂木司とひきこもりの友人、鳥井真一との間にも、変化の兆しはゆっくりと、だが確実に訪れていた。やがていつの日か、友が開かれた世界に向かって飛び立っていくのではないか、という予感が、僕の心を悩ませる。そんな僕の同僚、吉成から同期の佐久間恭子の様子が最近おかしい、と相談されたり、週に一回、木工教室の講師をするようになったという木村さんからの誘いで、浅草に通うことになった僕たちが、地下鉄の駅で駅員から相談を受けたり、と名探偵・鳥井真一の出番は絶えない。さらには、僕の身辺が俄に騒がしくなり、街で女の子から襲撃されることが相次ぐ。新しく仲間に加わった少年と父親との確執の裏にあるものとともに、鳥井が看破した真実とは…?『青空の卵』で衝撃のデビューを飾った坂木司の第二作品集。 (「BOOK」データベースより)以前読んだ『青空の卵』の続編。シリーズ三部作のうちの二作目にあたる作品です。主人公・坂木司の身の回りで起きる不思議な出来事や事件をひきこもりの名探偵・鳥井が解明していきます。前作と共通しているのは、登場人物がみんな優しいこと。といっても、最初から「いい人」な訳ではなく中には法に触れるような事をしていた人もいたりする。それが、鳥井の鋭い推理による情け容赦ない断罪と坂木の呆れるくらいのお人よしっぷりのおかげでいつのまにやら毒気を抜かれてしまうわけです。そして「坂木と鳥井を取り巻く人々」の一員に加わり鳥井の「精神の不安定さ」を理解し、見守るようになります。このシリーズは、登場人物の「使い捨て」がありません。一度登場した人物は、その後、別の話でも登場します。それも、私がこのシリーズを好きな要素のひとつです♪
2008年12月09日
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人生は冒険。そこに、詩(うた)が生まれる。彼の名は、Zed(ゼッド)。この主人公が旅するのは、天と地のまったく異なる2つの世界。旅の途中、彼は大いなる女神、愚かな者たち、スフィンクス、サテュロスといった、色々な登場人物に出会います。彼が出会った世界とそこに息づく生命たちは、どれもバイタリティに満ち溢れ、Zed(ゼッド)に様々なインスピレーションを与えていきます。これらの経験を通して彼自身が成長すると同時に、彼を通して天と地という異なる2つの世界がひとつに結ばれようとします。 ――ショーを見る人すべてが、Zed(ゼッド)の旅を通じて人生の本質に触れることができるでしょう。 (コブス オンラインより)ありがたいことに、12/5指定のチケットをいただいたので東京ディズニーリゾート内に10月にオープンした「シルク・ドゥ・ソレイユ シアター東京」に行ってきました。 建物の全景。ライトアップされていてすごくきれいでした。建物の入り口。上演されていたのは『ZED』というショーです。「シルク・ドゥ・ソレイユ」とは、フランス語で「太陽のサーカス」という意味なんだそうです。サーカスというだけあって、素晴らしい技の数々。バンジー状態でグルグル回る人。上から垂れ下がった二本の長い布を手足に巻きつけることだけで体を支え、空中で演技をする人。片手一本だけで縄を掴み、空中を浮遊する人。綱渡りや空中ブランコもありました。綱渡りは、命綱なしで綱の上を飛び回るし空中ブランコは、下に網が張ってあるもののそこにワザと落ちてみたりするので、高所恐怖症の私は、見ているだけでも心臓バクバク、体が強張りっぱなしでした。とにかくアクロバティックな演技が目白押し。「人間ってこんなことまでできちゃうんだ…」と出演者達のパワーに感動しまくりでした。合間合間に、張り詰めた空気を和らげるかのように登場する2人のクラウンのコミカルな演技も楽しかったです。ラストでは会場内が興奮と感動の熱気に包まれほとんどの人がスタンディングオべーション。そんな大歓声の中、平然と爆睡している息子にひざの上をベッド代わりに使われていた私と夫は立ち上がることができず、ちょっと残念でした…。登場人物達の演技はもちろんのこと、舞台の設備や演出も素晴らしいショーでした。見る前は、¥7,800~\18,000というチケット料金を見て「うわぁ~、高すぎ~!」と思っていたんですがそれくらいの価値は十分にあるのではないかと思います。(私達はタダで見れたので偉そうなことは言えませんが…)12/4が私の誕生日だったということもあって、今週は「東京ディズニリゾートウィーク」状態でして12/1(月)は、ディズニーランドにも行ってきました。(ちなみに、こちらもタダ券です…)クリスマスシーズンなので、平日とはいえども混雑していましたが、とても楽しかったです。パーク内のデコレーションがすごくきれいでした。最後にディズニーランドのツリーの写真を♪また1歳年をとり、「おばさん街道」ばく進中です(笑)
2008年12月06日
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東城大学医学部付属病院は、米国の心臓専門病院から心臓移植の権威、桐生恭一を臓器制御外科助教授として招聘した。彼が構築した外科チームは、心臓移植の代替手術であるバチスタ手術の専門の、通称“チーム・バチスタ”として、成功率100%を誇り、その勇名を轟かせている。ところが、3例立て続けに術中死が発生。原因不明の術中死と、メディアの注目を集める手術が重なる事態に危機感を抱いた病院長・高階は、神経内科教室の万年講師で、不定愁訴外来責任者・田口公平に内部調査を依頼しようと動いていた。壊滅寸前の大学病院の現状。医療現場の危機的状況。そしてチーム・バチスタ・メンバーの相克と因縁。医療過誤か、殺人か。遺体は何を語るのか…。栄光のチーム・バチスタの裏側に隠されたもう一つの顔とは。第4回『このミステリーがすごい!』大賞受賞作。 (「BOOK」データベースより)かなり前から、図書館に予約していたのですが予約がいっぱいで順番がぜんぜん回ってこなくて、そうこうしているうちにドラマが始まってしまい「こうなったら、ドラマが終わってから原作を読みたい」と思っていたのに、無情にも、ドラマ放送の真っ最中に順番が回ってきてしまい・・・。「タイミング最悪じゃん!」と思っていたんですが、ちょうど、ドラマの方が原作にないオリジナルのストーリーに突入したあとだったので、結果的にはそう悪いタイミングではなかったようです。そもそも、「バチスタ手術」というものに対して「心臓の手術・・・だよね?」くらいの知識しかなかったのでいきなり原作を読んでも、「バチスタ手術とはなんぞや」をおそらく理解することができなかったと思うのですが、ドラマの方の映像により予備知識を身につけていたので、ストーリーに入り込みやすかったです。ドラマと原作では、登場人物のキャラクター設定がかなり違うんですよね。特に、メインキャラのグッチーこと田口先生と厚生省のトンデモ役人・白鳥のキャラが全然違うかなと。ドラマのグッチーは伊藤淳史くんが演じていて素直で優しくて一生懸命って感じのキャラなんだけど原作のグッチーは年齢設定が40歳くらいでわりとゆるい感じでちょっとひねたところもあって。ドラマの白鳥は仲村トオルさんが演じているのでかなりかっこよくて(あくまでも私の好みですが・・・)図々しくて皮肉屋で、でもちょっとお茶目な感じ。原作の白鳥は仲村トオルさんとは似ても似つかない小太りのオッサンで、人を「イラッ」とさせるオーラを出しつつ、理論武装で相手をメッタ切りという感じ。どちらの白鳥にも共通するのは、掴み所がないんだけどなんだか妙に笑える憎めないキャラということでしょうか。他のキャラクター達も、かなり違うんですよね。ドラマで城田優くんが演じていた繊細な感じの氷室も原作ではただ単に自己中で嫌なヤツだし。そんな感じで、キャラクター設定が原作とドラマではガラっと変わっていて、まるでまったく別の話を読んでいるような感じで、けっこう楽しめました。原作の白鳥は、奥田英朗さん作品のキャラクターであるトンデモ精神科医・伊良部に負けず劣らずの変人っぷり。こういうキャラクターは大好きです♪続編が出ているそうなので、そちらも読むのが楽しみです。
2008年12月03日
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アンティーク店フラココ屋の二階で居候暮らしをはじめた「僕」。どうにも捉えどころのない彼と、のんきでしたたかな店長、大家の八木さん、その二人の孫娘、朝子ちゃんと夕子ちゃん、初代居候の瑞枝さん、相撲好きのフランソワーズら、フラココ屋周辺の面々。その繋がりは、淡彩をかさねるようにして、しだいに深まってゆく。だがやがて、めいめいがめいめい勝手に旅立つときがやってきて―。誰もが必要とする人生の一休みの時間。7つの連作短篇。 (「BOOK」データベースより) 長嶋有さん作品は『ジャージの2人』とこの作品とまだたった2作品しか読んでいないのですが、独特の絶妙な作風にすっかり魅せられています。この作品の主人公である「僕」は、最後まで名前が出てこないし過去に何かあったらしいけれど、それも明かされない。他の登場人物にしても、それぞれ何かを抱えているらしいけどそれらについては最小限のことしか描かれていなくて、「背景によるキャラクター作り」ってものをまるでしていない。だから、なんだか掴み所のないキャラクター達ばかり。でもみんな、すごく個性的だし魅力的なんですよね。人物背景はわからなくても、物語の中での言動によって各キャラクターの個性が活き活きと描かれていてなんかもう、「これで十分」って思えてしまう。あと、長嶋さんの作品って、小説の骨組みであるはずの「起承転結」をまるで意識していないみたいなんですよね。特に「結」の部分に関しては、見事なまでに無視。だから、それぞれの短編のラストも作品全体のラストも「終わってねーじゃん!」って感じで(笑)ストーリーにしても、よく考えてみたら、ほんとになんでもないようなことがツラツラ描かれているし。でも、その「ゆるゆる・ダラダラ・グダグダ」な感じがなんだか妙に心の琴線に触れてくるんですよね。いい感じに力が抜けていて、すごく和みます。「よーし!やるぞー!」ってほど力強いものじゃないけど「さて、明日もちょっくらがんばってみますか」みたいな力みすぎない程よい元気をもらえる作品でした。
2008年11月28日
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あれほど憧れ続けた兄貴の背中を追いかけて、十八歳の夏休み、僕は何もかもを放りだして街を出た。兄貴の残した年代物のキャデラックに免許証、抜けるような夏空、ミニスカートにタンクトップの謎の美女・杏子ちゃんが、旅の相棒。個性あふれるヒッチハイカーたちとの一瞬の出会いを繰り返しながら、僕は、ひたすら南を目指す! (新潮社HPより)橋本紡さん。まったく知らない作家さんだったんですが装丁に一目ボレして、思わず借りてしまいました。軽々と東大法学部に入学し、国家一種試験をパスした4歳上の英才の兄・修一を常に目標にしていた修二。ところが修一は、あっさりと修二の前から消えてしまった。目標を見失った修二は、受験の追い込みには不可欠の塾の夏季講習を放りだし、無茶な行動に出る。兄の残した1959年製のキャデラックに乗り込みある場所を目指すための旅に出た―。お兄さんから運転方法をしっかり仕込まれているとはいえ、なんと修二くん、無免許です・・・(^_^;)といっても、グレて暴走行為をしちゃうとか、そういう荒っぽいストーリーではありません。スタートして早々に、一人旅に飽きてしまった修二の脳裏に浮かんだアイデア。「そうだ、ヒッチハイカーを拾おう。できれば女の子がいいな。可愛くて髪が長ければ最高だ」・・・って、なんか、能天気な感じで可愛いんですよね(笑)幸運なことに?若くて可愛くて髪が長いという、外見的には理想通り(だけどかなり気が強くて口が悪い)杏子と出会います。杏子を助手席に乗せ、様々な年代のヒッチハイカー達との出会いと別れを繰り返し、道に迷ったり喧嘩したりしながら修二の気ままな旅は続いていきます。修二の目指す場所はどこなのか?目的はなんなのか・・・?若かりし頃のケビン・コスナー主演の「ファンダンゴ」という映画がこの物語の鍵となっています。終盤で登場する、ある町の祭りの余興「イチゴ飛ばし競技」。冷凍したイチゴを口に含み、どれだけ遠くに飛ばせるかを大の男達が真剣に競う様には、ちょっと笑ってしまいました♪全体的にのんびりまったりとした、やさしい雰囲気の作品です。
2008年11月26日
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番匠警部…R特捜班班長、背広はヨレヨレだが統率力◎。数馬主任…古神道伝承者、細身だが眼光鋭く迫力満点。鹿毛巡査…実家は密教系の寺、皮肉屋のパンクロッカー。比謝巡査…沖縄出身のノロ、桁外れにマイペース、紅一点。そして、岩切大悟…県警刑事総務課所属で、R特捜班との連絡係だが恐がり。神奈川県警R特捜班、別名『心霊特捜班』。心霊現象が絡む事件を担当する特別捜査班。山本周五郎賞・日本推理作家協会賞W受賞後第一作、クールでちょっと切ない警察小説。 (「BOOK」データベースより)なんとなく、今野敏さんの『ST 警視庁科学特捜班』シリーズを彷彿とさせるものがありました。『ST 警視庁科学特捜班』シリーズを既読の方にしかわからない説明になってしまうのですが・・・。数馬と赤城、鹿毛と青山、ちょっと雰囲気が似てる気がします。まあ、数馬は(自称)一匹狼ではないし、女嫌いでもないし、鹿毛は、「ねえ、もう帰ってもいい?」とは言わないし(笑)本作のキャラクター達の方が、人情味もあるし性格はマイルドかも。「R特捜班」の「R」は、「霊」の「R」らしいです。かなりベタですね・・・(笑)数馬、鹿毛、比謝はそれぞれ、かなりの霊能力を持っているんですが、特筆すべきは比謝の能力。沖縄出身の「ノロ」と呼ばれるシャーマンなんですが自分の体にひき入れる(乗り移らせる)ことによって、どんなに強い霊や魔も、すべて無力化させることができる。沖縄のシャーマンといえば「ユタ」というのは知っていたんですが、「ノロ」は初めて知りました。本作は連作短編集なので、いくつかの事件が登場しますが基本的に、犯人は霊ではなく生身の人間。なので、「事件を起した霊を退治」という話ではありません。どちらかというと、事件に巻き込まれたり、犯人の濡れ衣を着せられてしまった霊を解放してあげる、という感じですかね。ちょっと切ないラストがけっこうありました。一体誰が作ったのか、謎がいっぱいの「R特捜班」ですが特にボスの番匠警部が謎だらけの人物。霊能力がある訳でもなく、見た目はパッとしないオッサンでいつも飄々としているのに、なぜか統率力がある。どうも何かありそうな雰囲気なんだけど、結局正体不明。シリーズ化されたら、正体が明らかになるのかなあ・・・。
2008年11月21日
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大学8年生と借金取りの、可笑しくて切ない東京お散歩ムービー大学8年生の文哉は、家族もなく、孤独で自堕落な生活を送っていた。いつの間にか作った借金は84万円。返済期限まで残すところ3日という時に、借金取りの男、福原がやってきて、吉祥寺から霞ヶ関まで歩くのに付き合ったら、借金をチャラにすると提案される。返すあてのない文哉は福原の条件を呑むしかなかった。井の頭公園の橋から、男二人の奇妙な旅が始まった。調布の飛行場に着いた時、福原は妻を殺したことを告白する…。 (goo映画より)【スタッフ】 監督・脚本:三木聡 原作:藤田宜永【キャスト】 竹村文哉:オダギリジョー 福原愛一郎:三浦友和 麻紀子:小泉今日子 ふふみ:吉高由里子 国松:岩松了 仙台:ふせえり 友部:松重豊 愛玉子店のおばさん:鷲尾真知子 愛玉子店の息子:石原良純 岸部一徳:岸部一徳 鏑木:広田レオナ ドラマ「時効警察」でおなじみの三木聡監督の作品です。私、三木聡さんの作品、大好きなんですよね。「くだらない小ネタ満載のゆるゆるワールド」にがっちりハートを鷲掴みにされてます。本作はのメインストーリーは、オダギリジョーさん演じる天涯孤独の青年・文哉と、三浦友和さん演じる借金取り・福原愛一郎(笑)の奇妙な「東京散歩」。そして、三木聡作品の常連、ふせえりさん&岩松了さんと松重豊さんの3人が演じる、福原の妻が勤めるスーパーの同僚たちのやり取りが、サイドストーリーとなっています。福原が提案した「東京散歩」の最終目的地は霞ヶ関の桜田門。誤って妻を殺してしまった福原は、自首をするつもりでいた。大学で法律を学んでいる文哉は、福原の犯した罪は殺人ではなく傷害致死であること、第三者に遺体を発見される前に警察に出頭しなければ「自首」にならず、罪が重くなってしまうことを説明し、早々の出頭を奨めるが、福原はまったく動じることなく「別に構わない。罪を軽くするために自首する訳ではない」と飄々と東京の町を歩き続けていく。文哉と福原の間に流れるムードが次第にあたたかいものになっていき、見ているこっちは「遺体が発見されないで欲しい」と切実に思ってしまいます。そんな中、スーパーでは、福原の妻の無断欠勤を不審に思った3人が電話をかけようとしたり、家を訪ねようとしたりする。「ヤバイ!見つかっちゃう!」と思わずドキドキするんですが、くだらないことで脱線しまくりで話がなかなか先に進まない(笑)今回、「三木聡ワールドの真骨頂」である、くだらない小ネタ合戦はスーパーで繰り広げられるサイドストーリーの方に集約されていてメインストーリーはかなり「まとも」だった気がします。(たぶん・・・)とはいっても、メインストーリーの方にも小ネタはちらほら。福原が妻との想い出の場所だといって訪れた神社ののぼりが・・・「呪い祭り」「放蕩祭り」って・・・(爆)「変な名前シリーズ」も盛りだくさん。「アワヤマンション」「正確時計店」「スナック時効」などなど。私がツボにはまってしまったのは「あぶどら肉店」アブドラ・ザ・ブッチャーが由来・・・だと思います。たぶん。あと、作品中「街で岸部一徳を見かけるといいことがある」という都市伝説がまことしやかに囁かれていて、岸部一徳さんあちこちに現れては、登場人物達に目撃されまくります。ある意味、キーパーソンといえるかも(笑)終盤では、小泉今日子演じる場末のバーのママ・麻紀子と吉高由里子演じる麻紀子の姪・ふふみも絡んできてそれぞれに孤独を抱えている、福原、文哉、麻紀子、ふふみが束の間「4人家族」として過ごしていきます。ふふみが超不思議キャラで、いい味出してました(笑)吉高由里子さん、「只者じゃない」って感じのオーラ出てましたよ。素晴らしい役者さんが揃っていて、最高のキャスティング。中でも、三浦友和さんの曲者っぷりががすごくよかったです。本当に素敵な役者さんだなーと思いました。ちなみに、ラストは「え、ここで終わり?」って感じのあっけなさ。まあでも、これでいいのかも・・・と思いながらエンドロールを見つめていたら、締めにスーパーの三人の小ネタが。あまりのくだらなさに、最後の最後でひと笑い。でも、ふと気付いたら、なんだか涙が出てました。ラストの、文哉を見つめる福原の優しい目が印象的でした。くだらなくて、おかしくて、切なくて、あったかい作品です。私も街に出たら、岸部一徳さんを探そうと思います(笑)
2008年11月18日
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かつて宇宙からの放射線の影響で死体がゾンビとなり人々を襲う事態が発生。しかしゾムコム社が開発したゾンビを従順にする首輪によって、地球に平和が戻った。それから数年後の小さな街ウィラード。ティミーの家でもペットとして最近流行のゾンビを飼うことに。いじめっ子から助けられたのをきっかけにゾンビと仲良くなったティミーは、ゾンビに「ファイド」と名を付ける。しかしファイドが近所のお婆さんを食べてしまい……。 (goo映画より)バカバカしさ全開のB級映画が大好きな私。でもここ数年は、「B級映画の匂いがする!」と思ってレンタルした作品が、期待ハズレというパターンばかりでした。しかーし!!この『ゾンビーノ』は、久々の大ヒットでした~!このブラックさ。シュールさ。もう、たまりません♪なんてったって、ゾンビが「ペット」ですもん!(笑)まあ、実際にはペットというより、召使いっていう扱いでしたが。ゾンビが新聞配達したり、牛乳配達したり、芝刈りしたり、洗車したり・・・・。ゾンビったら、働く働く!(笑)タバコも吸っちゃうし、ジュースも飲んじゃうし。ゾンビ達は首輪をしている時は、おとなしくて従順。でも、首輪が壊れたり外れたりしちゃうと・・・。本来の凶暴なゾンビに戻って、人間を食べちゃいます。人間を食べるっていっても、手1本とかなんですけどね。で、ゾンビに食べられた人間は、ゾンビになってしまう。ゾンビを倒す方法は一つだけ。頭(脳)を破壊すること。ピストルで「バン!」って、頭を撃たれるとあんがい簡単に成仏?してしまうものだからそんなに怖くないじゃん!って感じでした。ちなみに、病気や事故などで普通に死んだ人間も頭と体を切り離して埋葬しないとゾンビになっちゃうらしいです。ラストの方でゾンビと人間達の乱闘があるんですがその時のBGMがあまりにものどかな曲なもんだから壮絶さが感じられず、思わず笑っちゃうんですよね。いい感じにブラックなラストのオチも最高でした。見終わった後は、爽快感でいっぱい!(笑)B級映画好きの方にはお奨めな映画ですよ~♪
2008年11月17日
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帝銀事件が世を騒がせた昭和23年。希望に満ちた安城清二の警察官人生が始まった。配属は上野警察署。戦災孤児、愚連隊、浮浪者、ヒロポン中毒。不可解な「男娼殺害事件」と「国鉄職員殺害事件」。ある夜、谷中の天王寺駐在所長だった清二は、跨線橋から転落死する。父の志を胸に、息子民雄も警察官の道を選ぶ。だが、命じられたのは北大過激派への潜入捜査だった。ブント、赤軍派、佐藤首相訪米阻止闘争、そして大菩薩峠事件―。騒然たる世相と警察官人生の陰影を描く、大河小説の力作。 (上巻あらすじ「BOOK」データベースより)過激派潜入の任務を果たした民雄は、念願の制服警官となる。勤務は、父と同じ谷中の天王寺駐在所。折にふれ、胸に浮かんでくる父の死の謎。迷宮入りになった二つの事件。遺されたのは、十冊の手帳と、錆びの浮いたホイッスル。真相を掴みかけた民雄に、銃口が向けられる…。殉職、二階級特進。そして、三代目警視庁警察官、和也もまた特命を受ける。疑惑の剛腕刑事加賀谷との緊迫した捜査、追込み、取引、裏切り、摘発。半世紀を経て、和也が辿りついた祖父と父の、死の真実とは―。 (下巻あらすじ「BOOK」データベースより)昭和23年、憲法の改正により機構が変わった警察は警察官の大量採用を執り行った。妻と生まれてくる子供を養うため、安定した職に就きたいという理由から、安城清二は警察官を志願した―。この作品は、清二、清二の息子の民雄、民雄の息子の和也の安城家の親・子・孫の3代に渡る、警視庁の警察官の物語です。清二は戦後の混乱期、民雄は安保闘争時代、和也は現代とそれぞれが主人公となる3部構成になっています。実際に起きた事件についての記載もあり、各時代の背景が綿密に描かれているため、かなりの臨場感がありました。戦時中の「特高警察」、安保闘争時代や現代の警察官については小説・ドラマ・映画などでいくつか目にしたことがありますが終戦直後の警察官についてはまったく知らなかったので個人的には、清二の物語が一番興味深かったです。この時代の警察では、各警察官の自宅で拳銃を保管させていたそうで、これにはかなり驚きました。家族と共に暮らす家に拳銃を持ち込まなければならず常に暴発事故や盗難などの不安にさらされていた警察官達のストレスは並大抵のものではなかったようです。この時代の警察官の多くは復員兵で、中には戦乱の激しい戦地で人格が歪められるほどの深い傷を心に負った人達もいて戦争によって人格を壊され歪んだ心を持ってしまった人が心の傷を癒すことのないまま「歪んだ警察官」になってしまう。そしてそれが、結果的に悲劇を生む。これには本当にやりきれないものがありました。迷宮入りの事件の真相。清二の死の謎。民雄の死の真相。「3世代に渡る謎の解明」というミステリ的な一面もありますが全体的にはミステリ色はかなり薄いように思います。佐々木さんの警察小説で度々取り上げられる警察内部の裏金問題とそのしわ寄せで捜査費用を削られてしまったため、違法な手段で費用を捻出せざるを得なくなってしまう警察官も登場します。公安部の潜入捜査や警務部による内偵捜査をはじめ警察内部の不祥事の隠蔽工作など、警察組織の内部事情や時代ごとの世相などに翻弄されながらも警察官としての誇りと自分なりの正義を貫こうとする3人の警察官のそれぞれの生き様が描かれています。時代背景も性格も異なる3世代の男達の間に脈々と受け継がれていく「警官の血」―。まさに「警察小説」と呼ぶにふさわしいと思えるような重厚で読み応えのある作品でした。
2008年11月16日
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またまた、お酒のプレゼントに当選しちゃいました~まずは、三和酒造さんの『さつま鶴亀』という芋焼酎。しかも嬉しいことに、一升瓶なんです~♪数日前に当選メールが届き、「いつ来るのかな~」と楽しみにしていたところ、昨日の朝、ピンポン♪とチャイムが。ドアを開けたら、宅配便のお兄さんが大きめの細長い箱を持っていたので「よっしゃ~!来た~!!!」と心の中でガッツポーズしていると、お兄さんが「お荷物が二つあります」と。「ん?」と思って見てみると、もう1個の方もお酒っぽい。とりあえず受け取って開けてみたら、中身は日本酒の4合瓶。都美人酒造さんの『純米吟醸 若宮の雫』でした。「2ヶ所で当たっとったんか~い!」と髭男爵風に叫んだあと、かなり狂喜乱舞モードに(笑)いわゆる「盆と正月が一度に来たみたいな」というのはたぶん、こういう状態のことを言うんでしょうねー♪夕食の時に、早速飲んでみました。最初は焼酎の『さつま鶴亀』をまずはストレートで一口。飲んだあと、お芋のいい香りが鼻から抜けていくんです~♪それから、1:1の割合でお湯割りにしてみました。またまたお芋のいい香りがふわぁ~っとたってしかも味がまろやかに。もう、うっとり状態でした。次に日本酒の『純米吟醸 若宮の雫』。このお酒、原料米が合鴨農法で栽培された完全無農薬のもの。気合を入れて作っているだけあって、マジでうまいっす!度数が16度以上と高めなので、原酒並の強さがあって、それと、吟醸香が合わさって、最高の風味出ちゃってます!「ああ、幸せ~♪」と、ほろ酔い状態でメールチェックしていたら、なんと、さらにもう一件、お酒のプレゼントの当選メールが!末廣酒造さんの『本醸造 鬼羅』。今週末に届くそうです。あまりにも当たりすぎて、自分でも少々恐い気もするんですがでも、おいしいお酒がいっぱい飲めるのは嬉しいので素直に感謝することにします。お酒の神様、ありがとうございま~す!
2008年11月13日
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外資系の保険会社に勤める僕・坂木司には、一風変わった親友がいる。自称ひきこもりの鳥井真一だ。複雑な生い立ちの鳥井は外部との接触を極力避け、僕を通じて世界を見ている。そんな鳥井の関心を外の世界に向けるため、彼との食卓に僕が出会った身近な謎を披露していく。大人の視点で推理し、子供の純粋さで真実を語る鳥井は、果たして外の世界へとはばたくことができるのか。著者デビュー作にして人気の〈ひきこもり探偵〉シリーズ。すごく不思議な魅力を感じる作品でした。ジャンルで言えば「日常ミステリ」にあたるんですがミステリの部分よりも、どちらかというと私は、この作品の人間関係に強く惹かれるものがありました。主人公の坂木は、呆れるくらいのお人よしで不器用だけど本当に心の優しい青年。鳥井は中学生のころ、世の中の全てから拒絶されていると感じて、心を閉ざしかけた時に坂木に手を差し伸べられ、それ以来、鳥井にとっては坂木が世界の全てになった。普段は坂木に対して、強気でぞんざいな態度をとったりする鳥井だが、坂木が涙を流したり落ち込んでいたりするのを見ると、途端に感情がコントロールできなくなり、子供のような口調になって、泣きじゃくってしまったりする。鳥井に依存されている坂木もまた、鳥井の存在があるからこそ今の自分があると強く思っていて、肉親のように鳥井を守ろうとすることで鳥井に依存しているともいえる。いわゆる「共依存」のような関係なんですね。坂木は、鳥井の意識を外の世界に向けようと必死に努力しているんだけど、心の中には鳥井が自分を必要としなくなることを恐れている部分もあり、複雑な想いを抱えている。この作品の他の登場人物も、精神が不安定だったり心に何かを抱えている人達ばかり。だけどみんな、根本的には優しい。だから、それぞれの物語も優しいラストを迎える。「きれいごと」とも取れるエピソードも多くそれが鼻につく人もいるかもしれないけれど、私はこの作品の「きれいごと」も「優しさ」も登場人物達の不器用さもすごく好きです。この作品は、シリーズ3部作で完結となっています。残りの2作品で坂木と鳥井の2人はお互いに少しずつ成長していくようです。どんな結末を迎えるのしょうか?何かしらの変化がみられるのでしょうけれどどうかこの作品に流れる優しい空気だけは変わらないでいて欲しいな、と思います。
2008年11月11日
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戦前に上海の租界でイギリス人のためにつくられた、時代を経たもの特有の品格を漂わせる安楽椅子。骨董屋の店先から小学生・及川衛の家にやって来たその椅子が、あろうことか口をきいた!? しかもこの椅子、口を開いた途端シャーロック・ホームズばりの推理を披露し始めて――。安楽椅子アーチーと衛の出会い、そして衛の学校で起きた難事件を描いた『首なし宇宙人の謎』。片方の靴を置き去りにし、逃げるように改札へ消えていった男の謎と、天才少女バイオリニストのコサージュから花が消えた事件が結びつく『クリスマスの靴の謎』。横浜外国人墓地に残された暗号(?)の謎を推理するうち、意外な真相に辿りつく『外人墓地幽霊事件』。推理小説新人賞の最終候補作は、アーチーの存在をモデルにしたとしか思えない!?アーチー自身の謎が解明される『緑のひじ掛け椅子の謎』。紳士的な(?)安楽椅子と衛の交流、そして彼らが出合うさまざまな謎。謎解きの面白さと柔らかなユーモアが楽しめる、これぞ正真正銘の「安楽椅子探偵の事件簿」! (東京創元社HPより)「安楽椅子」が「安楽椅子探偵」って・・・(笑)こういう「ダジャレ感覚」っぽい設定って、なんか好きだなぁ♪小学5年生の衛(まもる)くんは、心の優しい素直な少年。一方、人と意思疎通ができる安楽椅子のアーチーは、紳士的だけど、ちょっと理屈っぽくて気分屋なところもあるおじいちゃまといった感じ。アーチーは、衛の身の回りに起きた不思議な出来事をいくつかの情報を元に見事な推理で解決していきます。アーチーと衛は、「年の離れた友人」という関係なんだけどどちらかというと「おじいちゃんと孫」という雰囲気。2人(?)のやり取りがすごく微笑ましくて、心が和みます。この作品、続編も出ているようなので、読むのが楽しみです♪
2008年11月08日
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突然の大地震で、ファーストフード店にいた6人が逃げ込んだ先は、人格を入れ替える実験施設だった。法則に沿って6人の人格が入れ替わり、脱出不能の隔絶された空間で連続殺人事件が起こる。犯人は誰の人格で、凶行の目的は何なのか?人格と論理が輪舞する奇想天外西沢マジック。寝不足覚悟の面白さ。(「BOOK」データベースより)アメリカ・カリフォルニア州の農地の下から偶然に発見された謎の円形の建物。その建物は、そこに入った複数の人間達の人格を入れ替えてしまうという、驚異の力を持っていた。「宇宙人」が作ったとしか考えられないような人知を超えたメカニズムを持ったその謎の建物を政府は『セカンドシティ(第二の都市)』と名づけ極秘に研究を進めていたが、成果が出ることはなくその研究は頓挫してしまう。そして、『セカンドシティ』を残したまま、その上の敷地にショッピングモールが建設された。それから数年後―。ショッピングモール内のさびれたハンバーガーショップで食事をしていた主人公・江利夫は、突然の大地震にみまわれ黒人の店員や様々な国籍の他の客らと共に地下に逃げ込んだ。江利夫たちは、何も知らずに『セカンドシティ』の建物内に足を踏み入れてしまい、意識を失ってしまう。見知らぬ部屋で目を覚ました江利夫は、自分が他人の姿に変わってしまっていることに気付き愕然とする。ある場所に隔離された江利夫を含む6人の男女達は『セカンドシティ』の研究に携わっていた博士らからそれぞれの人格が入れ替わってしまったこと、そして、その人格交替は、6人の間で玉突き式にズレていきながら永遠に繰り返されるということを聞かされる。次々と何の前触れもなく突然起こる人格交替。人格と身体がかみ合わない状態で、お互いを信頼できず6人の間には小競り合いが起き、険悪なムードに。そしてついに、連続殺人事件が発生してしまう・・・。西澤さんの十八番のSFミステリ。いや~、ほんと奇想天外です(笑)主人公は日本人だけど、後はほとんど外国人。差別意識が強くて下品で感じ悪いアメリカ人のおやじとか、高慢ちきで鼻持ちならないイギリス人の若い女とかちょっと性格に問題ありなキャラクターもいて。そんな面子の中で、人格がどんどん替わっていく。読んでいるうちに、なんだか訳がわからなくなってきて頭の中がぐちゃぐちゃになって整理するのに一苦労。伏線がしいてあったって、気付く余裕なんかありゃしない(^_^;)私のショボい脳みそでは、ついていくのが大変ではありましたが奇抜な設定がすごく面白くて、かなり楽しめました。この作品、脳トレに最適かもしれません(笑)
2008年11月06日
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電車は、人数分の人生を乗せて、どこまでもは続かない線路を走っていく―片道わずか15分。そのとき、物語が動き出す。 (「BOOK」データベースより)お気に入り登録させていただいているDODO1019さんから教えていただいた作品です。停車駅がたった8つしかない短い路線、阪急今津線の電車内が主な舞台の16篇からなる連作短編集です。・・というか、1作ごとのページ数の少なさを考えるとショートショート集、という感じかもしれません。阪急今津線の停車駅は、宝塚駅・宝塚南口駅・逆瀬川駅・小林駅・仁川駅・甲東園駅・門戸厄神駅・西宮北口駅。この作品は、上記の今津線の8つの駅名が、それぞれの短編のタイトルになっています。8駅なのになぜ16篇―? 答えは、往復するからです。まず、宝塚駅から西宮北駅までで8篇。そして折り返し、西宮北駅から宝塚駅までで8篇。1篇目「宝塚駅」は、暇さえあれば図書館に通いつめるほど本好きの男性の目線で語られています。今津線の車輌内で、いつも図書館で見かける名前も知らない女性が不意に自分の隣の席に座ったことから物語が始まります。2篇目の「宝塚南口駅」は、結婚目前に彼氏を友人に寝取られ、その二人の結婚式に、花嫁顔負けの純白のドレスを身にまとって「討ち入り」をした帰りの女性・翔子の目線で語られます。ちなみにこの女性、1篇目に登場する二人と同じ車輌に乗ってます。3篇目の「逆瀬川駅」は、孫娘とドッグガーデンに行った帰りの年配女性・時江の目線で語られます。電車に乗ると、純白のドレスを着て引き出物の紙袋を持った女性が。それを見た孫娘が「花嫁さん」と声をあげたことで、その女性が泣き出してしまったことから、ある程度の事情を察していた祖母は「討ち入りは成功したの?」と、その女性(翔子)に声をかける。と、こんな具合に、登場人物が少しづつリンクしていきます。その他の主な登場人物は・・・。顔はいいけれどちょっとしたことですぐにキレる暴力男の彼氏にいつも振りまわされている大学生・ミサ。社会人なのに「絹」という漢字が読めない、ちょっとおバカででも優しい彼氏を持つ、女子高校生・えっちゃん。見た目はパンク風なのに実は「軍事オタク」の大学生・圭一と子供の頃から「権田原」という苗字をからかわれ続けたことで男の子と話すのがちょっと苦手な大学生・美帆。これらの登場人物それぞれが、時には会話をしたり、遠くから見ているだけだったり、すれ違うだけだったり。何かしらの関わりを持って物語が進んでいきます。折り返し以降の8篇は、前半の8篇の半年後が描かれているため登場人物たちの置かれている状況が少し変化しています。後半になって新たに登場し、強烈な印象を与えるのは派手な服、派手なアクセサリー、高級ブランドを身にまとい、甲高い声でやかましく、マナーが最悪のオバちゃんグループ。その中にいて、周りのオバちゃん達の強烈さについていけず内心ではグループから抜けたいと思っている年配女性など。色々な形でリンクしていく様が本当に見事でした。この作品、関西の話だというのに、なぜか関西弁率が低くて主な登場人物で関西弁なのは、本好きの男性とミサくらい。関西弁が大好きな私としては、全部関西弁でもOK!って思うんですけど、たぶんたまにちらっと出てくるからこそ、関西弁のいい味が出てるような気もするんですよね。ちなみに無法者のオバちゃんグループも全員標準語なんですが、これは大正解!という気がします。関西の方には失礼かと思いますが、関西のオバちゃんならこれくらいのことはありかなーと妙に納得しちゃいそうで。しかも、ついつい笑っちゃう展開になりそうな気もするし。その点、標準語だと笑える要素ゼロなので、品の悪さが際立つ。関西の方からすれば、また違う感覚なのかもしれないけど作品全体の関西弁と標準語の配分は、本当に見事だと思いました。読みながら声を出して笑っちゃったり、ジーンときたり。ページをめくる毎に、どんどん幸せな気持ちになっていく。何度でも読み返したいと思える、本当に素敵な作品でした♪余談ですが、私ずっと有川浩さんを「ひろしさん(男性)」だと思い込んでたんですが、「ひろさん(女性)」だったんですねー。あとがきで知って、ちょっとびっくりしちゃいました(^_^;)
2008年11月03日
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歌舞伎町24時―うらぶれた『梨田診療所』の外科医・犬養和正のもとへ急患が運び込まれた。血まみれの下半身、大陸訛りのある日本語。銃弾が大腿骨で止まっていた。中国人マフィア同士の抗争か。銃弾を適出してベッドに横になっていると、古い患者で、今は地回りの赤城僚二が入ってきた。取り出した銃弾を渡せと言う。犬養は亡き妻の忘れ形見、一人息子の翔一のためにも面倒なことにまきこまれたくなかった。どうするべきか…。その頃事件現場では、捜査第四係の金森猛が不可解な行動を取っていた。 (徳間ノベルス作品紹介より) 今野さんの13年程前の作品。犬養は大学病院で将来を嘱望されたエリートだったが、今では、うらぶれた病院の医師を務めている。相手がヤクザだろうが不法滞在の外国人だろうがそれが患者であるならば、犬養は治療に全力を尽くす。時に治療費を踏み倒されても、動じることはない。数年前に妻を肝臓癌で亡くた犬養は、それ以来、一人息子の翔一を心の支えに生きてきた。犬養は一人息子の翔一を「子供」としてではなく「一人の人間」として対等な扱いをするよう努めている。そのためか翔一は、小学3年生とは思えないほどしっかりしていて、大人びた物言いをする。面倒な事件に巻き込まれてしまった犬養は、隠すことなく翔一に全てを打ち明ける。翔一の意見も聞き、迷いながらも、決して法や権力に屈することなく、自分が正しいと信じた行動をとっていく。犬養の職務に対しての一本筋の通った考え方や融通のきかなさなどは、近年の作品『隠蔽捜査』の竜崎を彷彿とさせるものがあります。父子二人で料理をする場面が何度か登場しましてそれが、映画「クレイマー・クレイマー」っぽくてちょっと微笑ましい感じでした。犬養は「キンキの煮つけ」「ビーフシチュー」などかなり凝った料理を作ったりするんですが、「もしかして今野さん料理好き?」と思うくらい材料から料理の行程まで詳しく描写されていてなんだか意外な一面を垣間見たような気がしました。この作品には、刑事、中国マフィア、ヤクザなどの蒼蒼たる面々(?)が登場しますが、よくよく考えてみると法的なことは別として、人としての善悪が立場的には逆転している状況になっていて、ちょっと面白いです。終盤は「ちょっと無茶かも」ってところもありましたが、全体的にはかなり楽しめる作品でした♪
2008年11月02日
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僕は戦闘機のパイロット。飛行機に乗るのが日常、人を殺すのが仕事。二人の人間を殺した手でボウリングもすれば、ハンバーガも食べる。戦争がショーとして成立する世界に生み出された大人にならない子供―戦争を仕事に永遠を生きる子供たちの寓話。 (「BOOK」データベースより)はじめての森博嗣さん作品。以前テレビ番組でこの映画の宣伝をやっていてちょっとストーリーに興味が湧いたので、原作であるこの作品を読んでみました。空中での戦闘シーンを読んでいると、飛行機がぬけるような青い空を浮遊するすごくキレイな情景が浮かんできました。全体的な印象としては、まるで美しい詩を読んでいるような感じでした。でも、あまりにもキレイ過ぎて、謎も多すぎて、どうしても作品の世界に入り込むことができないまま最後のページまでいってしまいました。森博嗣さんビギナーの私には、ちょっとばかりハードルが高かったのかもしれません。後で知ったんですが、この『スカイ・クロラ』は全5部作のシリーズものだったようです。この作品はシリーズ第1作目らしいので「この後も話が続くのかな?」と思ったんですが、どうやら、シリーズ内の時系列でいうとこの作品の内容は最終章にあたるみたいなんですね。つまり、この作品のラストがシリーズ全体のラストってことのようで・・・。シリーズ全部を読めば、この『スカイ・クロラ』の世界を堪能できるのかもしれないけれど全作読もうという気力が湧いてこなくて。時間をあけて、また別の機会に読んでみたら印象が変わるのかもしれないけれどどうも今の私には合わなかったみたいです。初読みでいきなりつまづいてしまいましたが森さんは以前から気になっていた作家さんなので近々違うジャンルの作品を読んでみようと思います。
2008年10月31日
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地元の市内にある動物園に行ってきました。小さい動物園なので、ゾウやキリンといった大きな動物もいないし、動物の種類も少ないです。でもね、一応レッサーパンダくんがいるんですよ~♪じゃれあって遊んでいて、すごくかわいかったですレッサーパンダのかわいい動きを見た後はボ~っと猿山を眺めること10分以上。猿山を見ていると、癒されるのはなぜなんでしょう・・・。園内には『ふれあいコーナー』というのがあってひよこやモルモットを抱っこすることができます。早速、息子がチャレンジ。落とさないように、つぶさないようにと一生懸命。満面の笑みを浮かべてひよこを抱きながら「あったかいね~」と言っていました。「その温かさをずっと忘れずに、動物を大切にする 優しい子に育ってね・・・」なんて、ちょっとしみじみした気分に浸っていたのですが・・・。ふと気付くと息子の手の平にひよこのフンが!(笑)息子の困り果てた顔を見て、夫と私は大爆笑。その報復なのか、息子はいきなり私の手に「えいっ!」とひよこのフンをなすりつけてきました( ̄□ ̄;)!!「お~の~れ~!」と私は、それをまた息子の手になすりつけて・・・。と、繰り返すこと数回―。とっとと、手洗えよ!って感じですよね・・・(汗)本当にバカ親子です(^_^;)そうそう。室内にも、数種類の生物がいまして。ちょっとインパクトの強い亀がいたので、思わずパチリなんとかクビナガカメ(←名前覚えてない・・・)わちゃわちゃ動くのでうまく撮れなかったんですがニュ~っと首が長くて、ものすごくヘン顔の亀でした。そんなこんなで(←どんなだ?)丸1日動物園を満喫しました。動物園って、のんびりまったりできて大好きです♪今度は上野動物園に行きたいなぁ・・・
2008年10月28日
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僕のクラスで連続消失事件が発生。僕は四番目の被害者に!といっても、なくなったのはもう授業でも使わないたて笛の一部。なぜこんなものが!?棟方くんの絵、ニワトリ、巨大な招き猫型募金箱、そしてたて笛が一日おきに姿を消すという奇妙な事件が五年三組にだけ起こっている。ニワトリなんか密室からの消失だ。この不可思議な事件を解決してみないかと江戸川乱歩好きの龍之介くんに誘われ、僕らは探偵活動を始めることにした。僕がちょっと気になっている女子も加わり事件を調べていくのだが…。そこにニワトリ惨殺目撃証言が!町内で起きた宝石泥棒との関連は?龍之介くんの名推理がすべてを明らかにする。 (「BOOK」データベースより)以前からちょっと気になっていた倉知淳さんの作品。この作品、字は大きめで漢字には全てふりがながふってあり、ページの角が丸いという、ジュニア向けの仕様になっていて思わず「いい年した大人が読んじゃってごめんなさい」と、ちょっとアウェイな気分になってしまいました(笑)でも、読み始めるとすぐに、すぅーっと吸い込まれるように小学生時代に戻ったような感覚になりました。主人公の高時くんとその友達の龍之介くんは、江戸川乱歩の本を読むのが大好きで、好奇心旺盛な小学校5年生。特に龍之介くんは、明智探偵でも少年探偵団でもなく悪役の怪人20面相が好き。これには「おお~!」という感じでした。私も小学5年生の頃、ジュニア向けの江戸川乱歩作品(黒っぽい色のハードカバーでちょっと表紙が恐かった・・・)をかなり読み漁ってたものですから。しかも、私も怪人20面相が一番のお気に入りだったので龍之介くんにすごく親近感が湧いてしまいました♪高時くんと龍之介くんは自分のクラスで起きた「不要物消失事件」の謎を解き明かそうと、放課後に探偵活動をはじめます。本当にどこにでもいそうなタイプの高時くんと、大人顔負けの推理を展開していく龍之介くんのコンビがとてもいいです。大雑把な担任の先生、校内をウロウロ徘徊する保健の先生、努力が報われずいつも空回りしている学級委員長などなど出てくるキャラクターも楽しくて。あと、「学校の裏門の前にある文具店の口うるさいばあちゃん」ってのが登場するんですが、まさにドンピシャという感じで私の学校の裏門の前の店のばあちゃんがこういう人だった。これってもしかして、全国共通だったりするんですかねー?(笑)教室、校庭、飼育小屋、図書室、職員室、保健室。懐かしいものばかりで、教室の床の質感とか木の机と椅子の手触りとか、そういった細かい記憶がどんどん蘇ってくる。木造校舎のトイレの入り口で転んで、敷居でみぞおちを強打してしばらく息ができなかった、なーんていういらないことまで思い出してしまいましたが・・・(汗)「そうそう。小学5年の頃ってこんな感じだったなー。」って、なんだかほっこりした気分になりました。「ジュニア向け」とはいえ、というか、だからこそ子供をナメたような作りにはなっていません。伏線もしっかり張ってあり、二転三転する展開など大人でも十分楽しめる推理小説だと思います。イラストがメチャメチャかわいいですよ~(*^-^)
2008年10月27日
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「今から、俺たちの学年の生徒が一人、死ぬ。―自殺、するんだ」「誰が、自殺なんて」「それが―きちんと覚えてないんだ。自殺の詳細」不可思議なタイムスリップで三ヵ月先から戻された依田いつかは、これから起こる“誰か”の自殺を止めるため、同級生の坂崎あすな達と“放課後の名前探し”をはじめる―。(上巻「BOOK」データベースより)「あいつだ。俺、思い出した」「あいつ?」「クリスマス・イヴの終業式の日の自殺者。あいつに間違いないよ。今日、全部、思い出した」“誰か”の自殺を止めるための“名前探し”も大詰めに。容疑者を見守る緊迫感、友だちと過ごす幸福感の両方に満ちたやさしい時間が過ぎ、ついに終業式の日がやってくる―。> (下巻「BOOK」データベースより)主人公・依田いつかは、何事に対しても熱くなることがないチャランポランな高校一年生。女の子に対してもいい加減で、モテるのをいいことに、次から次へと彼女を変えていく。親友の長尾秀人からは、常にその不誠実な態度を諌められている。ある日デパートの屋上で、突然、いつかは妙な違和感を感じた。何かがおかしい。「今日は一体、何月何日だ?!」携帯電話の画面に表示された日付は「10月11日」いつかは愕然とする。「これは、3ヶ月前の日付だ・・・」なぜか3ヶ月後の記憶がある。これは「タイムスリップ」なのか。3ヶ月間の記憶を辿っていたいつかは、ふいに思い出した。自分と同じ学年の生徒が自殺してしまったということを。翌日、いつかはクラスメートの坂崎あすなという女子生徒に「タイムスリップについて教えて欲しい」と話し掛けた。出身中学も同じだが、これまでほとんど話したことのないいつかの唐突な申し出に驚きを隠せないあすなだったが「タイムトラベル」に関して興味があり、多少の知識もあることから、いつかの相談を受けることになった。近い未来に、自分達と同じ学年の生徒が自殺する―。いつかの話を信じたあすなは、自殺を食い止めるため名前もわからない「誰か」を探す手助けをすることにした。その後、親友の秀人、秀人の小学校からの友人の天木、名門女子校に通う秀人の彼女・椿にも協力を仰ぎ、5人での「名前探し」が始まった。色々と探っていくうち、同じ学年の鉄道マニアの河野基が秀人と同じ陸上部の小瀬友春たちから「いじめ」を受けているらしいことが判明した。あすなが偶然見つけた河野のノートに自分の死亡記事や遺書らしきものが書かれていたことから、あすな達は12月24日のクリスマスイブに自殺を図るのは河野ではないかと思うようになった。ある日の夜、体育倉庫に閉じ込められていた河野を助け出したいつか達は、いじめの深刻さを痛感する。いつか達は、自殺を回避するための第一歩として、河野に自信をつけさせるための計画をスタートさせる・・・。辻村さんの最新作です。デビュー作の『冷たい校舎の時は止まる』はすでに自殺してしまった生徒の名前が思いだせず、それを突き止めていくという話。この作品、かなり設定かぶってるんですよね。それに関しては、すごく不可解なものを感じてましたが読み終わってみると、その狙いがよく理解できました。これまでの作品と違って、主人公が力の抜けた感じのキャラクターなためか、「自殺」が軸となる重い設定であるにも関わらず、ポップな感じの雰囲気があって、時系列の移動もあまり気になるほどではないのでかなり読みやすいのではないかと思います。登場するキャラクターたちが本当に魅力的でメインの5人はもちろんのこと、鉄道マニアの河野くんがかなりいい味出してます。そして、あすなのおじいちゃん。すごく素敵です♪あすなの家でやっている洋食屋「グリル・さか咲」がほんとに雰囲気がよくて、あすなのおじいちゃんが作るオムライスやなんかがメチャメチャおいしいそうで思わずヨダレが出そうになりました(笑)「自殺を阻止する」ための行動をとっていくうちにいつかとあすなも自分の抱える傷やコンプレックスを少しずつ克服していきます。それぞれの努力の甲斐あって、一人も自殺者を出さず無事にタイムリミットのクリスマスイブが過ぎ、いつかたちのミッションはめでたく終了。・・・となるかどうか・・・(^_^;)この作品をもって、辻村さんの既刊分は全て読了です。もし、これから辻村さんの作品を読もうと思っている方がいるとしたら、声を大にして言わせてください。『辻村深月作品は刊行順に読むべし!!読むべし!読むべし・・・』エコーも効かせてみました(笑)辻村さん作品は、登場人物のリンクが多いんです。ヘタしたら、リンク元の作品を読んでないと全く意味がわからないエピソードなんかもあるんで。この作品も思いっきりそれがありました。既刊順に読んでいけば、もどかしい思いをせずに済むと思います。この作品を読む前には少なくとも『ぼくのメジャースプーン』だけでも読んでおいた方がいいと思います。本当の最後の最後は、すごくいい終わり方なんですがその前の出来事で、正直微妙な気持ちになりました。これ以降は完全にネタバレになっていますのでこれから読もうという方はスルーしてくださいね。(以下は背景と同じ文字色で書いているので 読む場合はドラッグして反転させてください)『まず、第一のどんでん返し。 いつかはあすなに「自殺をするのが誰かわからない」と言っていたが、 それは嘘で、自殺をするのはあすなだということがわかっていた。 自殺が起きる日にちも、クリスマスイブではなく、1月。 祖父が倒れたという連絡を受け、あすなは教師の車で病院に向かうが 渋滞などにより祖父の死に立ち会うことができず、絶望から池に身を 投げてしまった、というのが真相。 あすな以外のメンバーはそれを知っていて、あすなの自殺を阻止する ための計画を密かに立て、そのために必要な人員を雇い入れた。 それが河野と友春。この二人は、実はイトコ同士で仲がいい。 「いじめ」はすべて、あすなの気持ちを強くしていくことが目的の お芝居だった。この二人には、それ以外にも重要な役割がある。 いつかたちのもう一つの計画は、もしもあすなの祖父が倒れた場合、 必ず死に立ち会えるよう、病院までの最速のルートを確保しておくこと。 そのためにいつかは急遽バイクの免許を取っていたのだ。 実際にあすなの祖父が倒れたという連絡が入り、まず、陸上部の友春が 学校の近くの神社に停めてあるバイクを猛ダッシュで取りにいく。 バイクを校庭まで乗りつけ、そのバイクでいつかがあすなを乗せて駅へ。 駅には椿が待っていて、すでに買ってあった切符を二人に渡し、 鉄道マニアの河野が調べぬいた分刻みの列車ダイヤにしたがって いつかとあすなは無事に祖父の元に辿り着いた―。 読んでいる途中で、自殺するのはあすなじゃない?とは思ってたけど まさか、友春による河野のイジメが全部お芝居だったなんてびっくり! いくならんでも、芝居上手過ぎでしょう。せめて河野が昔演劇部だった とかいうくだりがあったらよかったんだろうけど。 とはいっても、しっかり辻褄はあっているし、何より感動的。 河野たちのエピソードも、いつかの謎の行動の数々にしても、 あちこちにばら撒かれている伏線を回収していく流れは いつもながら「お見事!」という感じ。 真相がわかってから読み返してみると、「そういうことだったのか!」 と、もう一度楽しめるっていうのが、辻村作品の魅力ですね。 ただし、もう一つのどんでん返し。 これがちょっと微妙な気持ちになってしまった原因。 秀人が実は『ぼくのメジャースプーン』の「ぼく」だったことが判明。 秀人の彼女「椿」のフルネームは「椿史緒」つまり「ふみちゃん」でした。 「ぼく」には「もし[A]しなければ、[B]になる」という言葉によって 人を操る能力があった。「ぼく」こと、秀人がいつかに向かって 「例えば、今から三ヶ月後、自分が気になってる 女の子が死ぬって 仮定してみてよ。そうしたら自然と誰か思い当たらない?そういうのが ないなら、いつかくんの人生はすごく寂しいよ」と言ったとき この言葉の力が発動し、いつかは迷わずあすなの名を答えたという。 まるで、このタイムスリップ騒動も、いつかの懸命さも、すべて 秀人の力によって起きたこと、みたいになってしまっている。 これは正直、微妙だったな。これがなくても十分話は完結できるのに。 あくまでも、いつかの自発的な行動だった、と思いたかった・・・。 このオチというか種明かしは、『ぼくのメジャースプーン』を 読んでないと、絶対にわからない訳で、それもちょっとどうかと。 「ぼく」と「ふみちゃん」の成長した姿にお目にかかれたのは とっても嬉しかったんだけど・・・。 まあ、過去に「ぼく」が力を使って「ふみちゃん」を操ったと 思い込んでたら、実はそれは「ふみちゃん自身の意思の力だった」 というような前例もあったことだし、これはもう、捉え方次第かな・・・。 秀人と椿の他にも続々と過去の作品からキャラクターが登場。 『子供たちは夜と遊ぶ』『ぼくのメジャースプーン』からは秋先生。 『凍りのくじら』からは、郁也、多恵さん、理帆子。 『スロウハイツの神様』からは、チヨダ・コーキ(名前のみ登場) 唯一、『冷たい校舎の時は止まる』からはキャラクターの登場は ないんだけど、そもそもこの作品の存在自体がトラップになって 「また今回も自殺者の名前がわからない」って思い込まされた訳で。 そう考えると、総力をあげて、この作品を書き上げたんだなと思う。 辻村さんのファンにとっては、感動ものの集大成・・・・かな? 』
2008年10月24日
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推理界初のアウトドアミステリー!! 昇任試験を受けず、ひたすら昆虫の研究にいそしむ村の駐在さん・向坊一美(むかいぼうかずみ)。人間と虫とのかかわりから事件を推理していく彼を、人は「昆虫巡査」と呼ぶ。物語は、釣りライター矢張双(やはりそう)が九州・大分の七川村の沢で白骨死体に遭遇したことに始まる。死体の骨に付着した虫から昆虫巡査・向坊が死亡時期を推定、身許が判明する。続けて女性の全裸死体が発見され…。入念な取材と卓抜な着想で推理界に新風を送る話題作。 (Amazonより)昆虫に詳しい巡査が虫に関する知識を駆使して事件を解明していく、という設定がすごく斬新でした。九州の小さな村の駐在・向坊一美巡査は「昆虫博士」の異名を持つほどの大の昆虫好きで、出世はそっちのけで暇さえあれば網を片手に虫を追い掛け回している。「ひまなおまわりさん」ということから、「ひまわりさん」と呼ばれ、村人から親しまれている。ある日、村で白骨死体が発見され、その骨に付着した虫や虫の死骸などから、向坊巡査が死亡時期などを推定し、早々に死体の身許が判明した。その後、さらに謎の女性の全裸死体が発見され、向坊巡査はまたも「昆虫推理」を展開する。捜査が進んでいくうち、かつて警察署長を務めていた向坊巡査の祖父を罠にかけ、辞職に追い込んだ人間が事件の背後にいることを知った向坊巡査は、独自に真相を探っていく・・・。この作品の向坊一美というキャラクターは、実在する佐々木茂美巡査という方がモデルになっているそうです。「昆虫博士」と呼ばれる佐々木巡査は、実際に、白骨死体に付着していた虫などから死亡時期を推理し、死体の身許の特定に貢献したことがあるそうです。実在のモデルがいることもあり、虫に関する描写がかなり緻密に描かれています。ラストの方で、何億もの蜉蝣(かげろう)の大群が渓谷を飛びまわるシーンには、思わず鳥肌が立っちゃいました。作者の平野肇さんの本職は、プロのミュージシャンですが大の釣り好きで、本作に登場する釣りライターと同じ名前の「矢張双(やはりそう)」というペンネームで釣りエッセイも書いていて、近年は環境活動などにも力を入れているとか。この作品の中に、環境破壊により生態系が変化してしまった虫や魚などに関するエピソードがいくつか登場します。それは、静かな怒りを込めた環境破壊への警鐘だと感じました。設定が斬新でキャラクターも魅力的ですが、なによりも作者の自然に対する深い愛情をひしひしと感じるような作品でした。
2008年10月22日
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アクシデントで夢をあきらめ、傷ついた心を抱え、国語教師としてある高校に赴任したヒロイン清(きよ)。彼女が学校の図書館で出会ったひとりの男の子、垣内君。どこからでも海の見える明るい高校で、瑞々しい物語が始まる…。 (「MARC」データベースより)清(きよ)は、幼い頃から何事に対しても真剣で誠実で名前の通り「清く正しく」生きてきた。ことに小学生から始めたバレーボールには並々ならぬ情熱を注いでいて、厳しい練習を積んでいた。ところが、バレー部のキャプテンを務めていた高校3年の時、清の自分にも他人にも厳しい態度が原因で、チームメイトを死に追いやってしまったことから、バレーボールを続けることができなくなり、以来、どこか投げやりな生き方をしていた。清は、半ばいい加減な気持ちで講師を務めていた高校で部員がたった1名しかいない文芸部の顧問にさせられた。本などほとんど読んだことがなく、スポーツばかりをしてきた清には、健全な高校生が図書館に閉じこもり文芸を学ぶということがとても奇異に感じられた。部員の垣内くんに、なぜ文芸部にいるのかを訪ねると「文芸が好きだからです」という答えが返ってきた。その言葉は、清には到底信じられないものだった。およそ高校生とは思えない落ち着き振りで、どことなく老成したような雰囲気を持つ垣内くんと、大人なのにいまひとつ落ち着きに欠ける清。二人の図書館でのやりとりがすごく微笑ましいです。「文系の部は毎日同じ事の繰り返しでメリハリがない」体育系の部活と文系の部活を比べて清が言うと「文芸部は、何一つ同じ事などしていない」とちょっぴり熱く答える垣内くん。「僕は、毎日違う言葉をはぐくんでいる」というセリフにちょっとグッときちゃいまして「ああ、私も文芸部に入りたい~!」(←無理)って思ってしまいました(笑)瀬尾さんの作品に登場するキャラクターたちには独特の距離感があって、それがなんだか心地いいです。垣内くんの卒業が目の前に迫った、文芸部最後の活動日。これまでずっと図書館にこもりきりで活動をしていた垣内くんと清が、図書館を飛び出しグラウンドを走りまわるシーンが本当に瑞々しい感じで、とても印象的でした。毎回言ってる気がするけど、やっぱり瀬尾さんはいいなぁ~♪
2008年10月20日
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北海道・小樽を舞台に繰り広げられる猟奇殺人。新聞社に恐怖のビデオ・テープを送りつけた稀代の怪人の名は“堕天使”!!この怪人は一挙に男女十数名を惨殺し、ウエディングドレスを着せた死体を日本各地にばら撤いた。しかもバラバラにした死体を縫合針で繋ぎ合せて…。必死の捜査を嘲笑うかのように、“堕天使”は密室殺人を敢行し、さらに空中に雲散霧消するなどその妖術を披露する。警察を手玉に取る怪人“堕天使”の正体とは―。現代を代表する11人のミステリー作家による、前代未聞のリレー本格推理小説。 (「BOOK」データベースより)第1章『悪魔の犯罪』 二階堂黎人第2章『天使の婚礼』 柴田よしき第3章『堕天使の来歴』 北森鴻第4章『黙示録の獣』 篠田真由美第5章『堕天使、空を飛ぶ』 村瀬継弥第6章『棺の花嫁』 歌野晶午第7章『殺戮の聯環』 西沢保彦第8章『アージニャー・チャクラの戦慄』 小森健太朗 第9章『“堕天使”の最期』 谺健二第10章『探偵、登場!』 愛川晶第11章『堕天使昇天―森江春策の推理』 芦辺拓 かなり豪華なメンバーが勢ぞろい!・・・って言っても、私は、二階堂さん、柴田さん、北森さん、篠田さん、歌野さん、西澤さんしか知らなかったんですけど(笑)数名の作家さんの短編を集めたアンソロジーはよくあるけど各自が一章分の原稿を書いて、次々にバトンタッチならぬ「原稿タッチ」をしていき、長編に仕上げる「リレー小説」ってプロの作家さんでは、あまりないんじゃないでしょうか。かなり楽しい企画。こういうの大好きです♪このリレー小説、書く際に一応「ルール」を決めていたそうです。芦辺さん&二階堂さんの前説から抜粋した「ルール」は以下の通り。『全体での打ち合わせは一切行わず、各執筆者は前回までの 原稿をそのまま引き継いで書くこと。むろん、謎の真相や 伏線についての質問も禁止。だからといって、あとあとを 考えない無責任なストーリー展開は許されません。 必ず自分なりの【今後の展開】もしくは【予想解決篇】を 想定して、後日に備えて書きとめておくこと』二階堂さんがまず第1章で、かなりインパクトのある事件をぶち上げ、読者の目を釘付けにしたうえで、後々に物語を膨らますための材料となるような設定、伏線やキャラクターなどを用意し、二番手の柴田さんに引き継いだ訳ですが、それ以降はもうなんだか大変なことに・・・(笑)手堅く大筋の設定を崩さないよう努める人、新たな設定やキャラクターを出して流れを変えちゃう人、変わった流れを軌道修正しようとする人、「後の人、どうすりゃいいっちゅうねん!」ってくらいに設定を怪しい方向にもっていっちゃう人・・・。などなど、まさに十人十色で、物語は迷走していきます。もうほんと、あっちへ行ったりこっちへ行ったり。「これ収拾つくの?」って心配しつつも、かなり笑えました。第10章の終わりに愛川さんが【読者への挑戦】ってことで「解決に必要な条件はすべて提示しました。読者の皆様は 今後の展開を予想し終えてから、解決篇へお進みください」って書いてるんだけど、全然わからんっちゅうの!(笑)案の定、最終章は、「マジっすか~?!」のオンパレード。かなりトンデモ話になっちゃったような気がするけど、他にはどうしようもなかったんだろうなーと。よくもまあ、みんなが撒き散らしたものを拾い集めて収拾をつけたもんだと、感心しきりです。ほんと、芦部さんはお気の毒でした・・・(笑)最後に、【『堕天使殺人事件』―私はこう予想した】というタイトルで、「自分が書き終わった後の展開はどうなるのか」について、11人の作家さんたちそれぞれが予想した内容が掲載されてるんですが、これがすごく興味深いんですよ。「へえ。こういうつもりで書いてたんだー」っていうのがわかって、さらに楽しめました。でも、みんな予想はずれまくりでしたけど(笑)ちなみに、西澤さんの予想には大笑いでした。ほんと、色々な意味で楽しい作品でした。「筋道が通ってない推理小説は許さん!」っていう人にはお勧めできませんが、推理小説の好みのストライクゾーンが広めの方には、ぜひ読んでみていただきたい作品です。
2008年10月19日
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修学旅行1日目の夜、「家族が事故にあった」という知らせを受けた小学6年生の秋葉奏子は、父と母、4歳と5歳の弟が死んでしまったのではないかという不吉な予感を抱えながら担任教師と共にタクシーで東京の病院に向かった。病院に到着すると、泣きはらした叔母が待っていた。白い布がかけられた家族4人の遺体に近付こうとする奏子に、叔母は「絶対に見てはいけない」と言い聞かせた。家族に何が起こったのか。白い布をかけられた家族たちはいったいどんな変わり果てた姿をしているというのか。なぜ、自分一人だけを残して死んでしまったのか。深い絶望に苛まれた奏子は、自分の心を守るため、この時から「感じること」を放棄するようになった。やがて奏子は、家族が父の会社の取引相手である都築則夫という男に惨殺されたということを知る。父を恨んでいた都築は、4人を殺害した後全員の顔をハンマーで叩き潰していた。都築は裁判所あてに上申書を提出していた。上申書には、都築が奏子の父に詐欺まがいの手段で奏子の母方の祖父の連帯保証人に仕立て上げられ、亡くなった最愛の妻が都築と娘のために遺した保険金を失ったことや、事件当日の経緯について詳しく書き記されており、殺害しても尚、父と母に対する恨みが消えていないことが伺えた。奏子は自分を引き取ってくれた叔母や、周りの人々に心配をかけまいと、努めて明るく振舞っていたが、心の奥底には「自分だけが生き残ってしまった」という罪悪感を抱えていた。そして、家族が殺された日の夜、修学旅行先からタクシーで東京に戻り、病院で家族の遺体と対面するまでの間の「4時間」の記憶が、不意にフラッシュバックのような形で再現されるという発作のような現象が、奏子を苦しめ続けていた。事件から8年が経過し、奏子は大学生になった。友人や恋人に恵まれながらも、誰にも本心を見せることができず、心の奥の「隠れ家」に深い傷を隠しながら日々を送っていた。そんなある日、都築則夫に死刑判決が下った。奏子と同じ歳の都築の娘・未歩が、父親が死刑になる事に対し「あたしも殺せばいいのよ」と言ったことを知った奏子は、その言葉の真意を知りたいと思った。もしかしたら、加害者の娘である未歩も自分と同じような傷を抱えて生きているのではないか。無性に未歩に会ってみたいと思うようになった奏子は自分の正体を隠し未歩に接近していく・・・。長くなりましたが、以上が作品の前半のあらすじです。後半は、未歩との出会いにより、奏子の心が激しく揺れ動いていく様が描かれていきます。未歩の中に自分と同じ心の傷を見つけようとする奏子。それがもし自分より小さな傷なのであれば、その傷を押し広げてやりたいと思ってしまう。未歩に非があるわけではないことはわかっているのに未歩から聞かされる言葉の一つ一つで心がかき乱され憎悪がつのり、奏子の心の奥の「隠れ家」は次第に残酷な思いに満たされ、とうとう決壊してしまう・・・。この作品について「前半はよかったのに後半は尻すぼみ」というような内容のレビューをいくつか見かけました。確かに、前半の衝撃的な内容に比べてしまうと、後半は地味な印象なのかもしれませんが私は決して「尻すぼみ」だとは思いませんでした。むしろ個人的には、後半の方が目の離せない、息を呑むような展開で、激しく心を揺さぶられました。この作品にとって、前半部分はあくまで前置きに過ぎず、後半の内容こそが、野沢さんが本当に描きたかったものだったのではないかと感じています。ラストに関しても、「あっさりしすぎ」とか「拍子抜け」という意見がありましたが、祈るような思いで奏子の動向を見つめていた私にとっては、すごく救われるラストでした。本当にいい作品だと思います。作者の野沢さんが亡くなってしまったことが残念でなりません・・・。
2008年10月18日
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ドライブの途中、四人が迷い込んだ山荘には、一台のベッドと冷蔵庫しかなかった。冷蔵庫には、ヱビスのロング缶と凍ったジョッキ。ベットと96本のビール、13個のジョッキという不可解な遺留品の謎を酩酊しながら推理するうち、大事件の可能性に思い至るが…。ビール党に捧げる安楽椅子パズル・ミステリ。 (「BOOK」データベースより)西澤保彦さんのシリーズキャラクターであるタック、タカチ、ボアン先輩、ウサコが登場します。旅行の帰り道、夜更けの山道で乗っていた車がガス欠になってしまったため、4人は車を乗り捨てさまよい歩いた挙句、とある山荘に辿り着いた。新しくきれいで立派な造りの山荘だというのに、家の中には家具もカーペットも、カーテンすらない。家中を探って見つけたのは、1階の隅の部屋にあるベッドと階段を上がってすぐの部屋のウォークインクローゼットの中にまるで隠してあるかのように置かれていた冷蔵庫だけ。冷蔵庫は電源が入っており、中にはヱビスビールのロング缶がぎっしり詰まっていて、冷凍庫にはジョッキが13個。冷蔵庫の横に置いてあった分も合わせて数えてみるとヱビスビールのロング缶は96本もあった。このおかしな状況には、一体どんな意味があるのか―。謎だらけの山荘について、4人は推理をはじめます。冷えたヱビスビールをガンガン飲みながら・・・。地元に帰ってからも、山荘の謎についてビールを飲みながら延々と4人のディスカッションは続いていきます。内容的には、いわゆる「安楽椅子探偵もの」になるんですがなんとこの作品、長編なんです。山荘の謎についての推理だけで、ひっぱるひっぱる(笑)あとがきによると、「安楽椅子探偵もの」という設定で長編を書くことは条件的にとても難しいため、殆どが短編で、長編を書く人は滅多にいないそうです。それだけに、西澤さんの「気合い」をひしひしと感じました。それにしても、登場人物たち、ビール飲みっぱなしです。しかも、メチャメチャおいしそうなんですよね・・・この1冊の中で、彼らはいったいどれだけの量のビールを飲んでいるんでしょうか・・・?ビール好きの人はきっと、読んでいる途中で何度も「くぅ~!ヱビスビール飲みてぇ~!!!」って、叫びたくなっちゃうと思います(笑)
2008年10月16日
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『ラ・フェスタ・ミッレミリア2008』『ラ・フェスタ・ミッレミリア』は、1997年から日本で毎年行われている公道でのクラシックカーレースです。「ミッレミリア」とはイタリア語で、「1000マイル」という意味だそうで、その名の通り、レースの走行距離は1000マイル。レースの日程は3泊4日。東京の原宿をスタートして北上し、裏磐梯で2泊しながら南東北を周遊して南下。ツインリンクもてぎで1泊し、横浜の元町がゴール。今年の主なルートは以下の通り10/11(土) 1日目東京原宿 明治神宮(スタート)/六本木ヒルズ栃木鬼怒川温泉福島会津/裏磐梯猫魔ホテル(宿泊) 10/12(日) 2日目福島裏磐梯猫魔ホテル/Linkサーキット/飯坂温泉宮城白石市山形米沢市福島喜多方市/東山温泉/猪苗代/裏磐梯猫魔ホテル(宿泊)10/13(月) 3日目福島裏磐梯猫魔ホテル/須賀川市/白河市/矢祭町茨城大子町/常陸大宮市栃木那須烏山市/ツインリンクもてぎ/ホテルツインリンク(宿泊)10/14(火) 4日目栃木ツインリンクもてぎ茨城笠間市/牛久市/稲敷市千葉成田市/千葉市・幕張メッセ/袖ヶ浦市・東京ドイツ村/木更津市/東京湾アクアライン・海ほたる神奈川横浜市 山下公園/中華街/元町(ゴール)毎年、車好きの芸能人・有名人なども参加しています。今年エントリーしていたのは、堺正章さん・近藤真彦さん・東儀秀樹さん・パンツェッタ・ジローラモさんなど。私、昔からクラシックカーが大好きなんです。といっても、車種とかに詳しいというわけではなくあくまでもクラシックカーの「見た目のかわいさ」に惹かれているというだけなんですけど。しかも、子供の頃は熱烈なマッチファンでしたし(笑)これは見ないわけにはいかないでしょ!と思いつつも、毎年チャンスを逃していたのですが、今年、やっと観戦することができました。千葉県・木更津市の道端で、ですが・・・(笑)本当は、福島の喜多方で、「ラーメン&酒蔵巡り」をしながら観戦するというのが、私と夫の夢なんですが家計の事情で、千葉で我慢することにして木更津方面へ。かなりの田舎道なのにレースのルートの沿道には、カメラやビデオを持った人達がけっこういました。中には、畑仕事帰りのおじいちゃんおばあちゃんまで。レースのルートを走っていると、ふと気付くと前後にクラシックカーがいたりして、ちょっと感激でした。スピードなどを競う訳ではないし、長時間のレースなのでなんだか、ゆるゆるムードなんですよね。ひなびた感じのおそば屋さんの前にぽつんとレース車が停まってたのには、ちょっと笑っちゃいました。その他、ドラッグストアの駐車場とかに、普通にレース車が置いてあって、選手がお買い物してたり。そんな感じで、走る車の中から何台もレース車を見ることができたんですが、止まってじっくり見たいので車を停められそうなスペースを探してウロウロしていたら周りに人っ子一人いない、ベストポジションを発見しました。あいにく強い雨が降ってきてしまったんですが、チビスケにレインコートを着せて親子3人で待ち構えているとぽつりぽつりと、素敵なクラシックカーたちがやってきました。PORSCHE 356A SPEED STERALFA ROMEO GIULIETTA SPIDERJAGUAR XK120FIAT 1100 TVMG TD雨は降ってるし、レース車はかなりスピードが出ているので悪戦苦闘しながら写真を撮っている夫を尻目に、チビと大はしゃぎで通りすがる車に手を振りまくりました♪そうすると、ほとんどの選手達は気さくに手を振ってくれました。「マッチはー?」「マチャアキはー?」と、通りすぎる車をチェックしていましたが残念なことに帽子やサングラスで選手の顔がほとんどわからないんですよね。でも、色々なクラシックカーを見る事ができて大満足でした。家に帰ってから、撮った写真をパソコンで確認するとその場では気付かなかった有名人の車が・・・。AC ACE 東儀秀樹さん そして・・・MASERATI 200SI「星、3つです~!」ヘ( ̄▽ ̄*)ノ堺正章さんが手を振ってくれていました!しかも、スピード出てたのに、ばっちりカメラ目線(笑)いい人だー、マチャアキ・・・。残念ながら、マッチは写ってませんでしたが来年に期待!ということで・・・。来年は喜多方で見たいなー
2008年10月14日
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「レインマンが出没して、女のコの足首を切っちゃうんだ。でもね、ミリエルをつけてると狙われないんだって」。香水の新ブランドを売り出すため、渋谷でモニターの女子高生がスカウトされた。口コミを利用し、噂を広めるのが狙いだった。販売戦略どおり、噂は都市伝説化し、香水は大ヒットするが、やがて噂は現実となり、足首のない少女の遺体が発見された。衝撃の結末を迎えるサイコ・サスペンス。 (「BOOK」データベースより)以前、ホンヤガヤマダさんから教えていただいた作品。荻原さん作品は『愛しの座敷わらし』『なかよし小鳩組』に続いて3作目になりますが、3作に共通して持った感想は、荻原さんが描く「お父さん」が好きだなぁ、ということ。けっこうくたびれた中年だったりするんだけど、子供のことをすごく大事に思っていて、ちょっと空回りもしちゃうけど、なんか一生懸命で、どこかユーモラスな感じがとても微笑ましくて。この作品に登場する小暮刑事も、そんなお父さん。小暮は5年前に妻を亡くし、高校生の菜摘と二人暮し。時々さむい親父ギャグで菜摘を呆れさせているが親子関係はおおむね良好といえる。刑事という仕事柄、帰宅時間が不規則で家事を菜摘に任せてしまうことが多いためせめて菜摘のお弁当だけは自分が作ってやろうと毎朝台所で奮闘している。ある日、小暮の勤務する目黒署管内の森の中で少女の全裸の変死体が発見された。遺体は足首を切断されていて、足首から先がなかった。捜査本部が設けられ、小暮は自分より年下で階級が上の本庁の女性警部補、名島とコンビを組むことになった。殺人事件の捜査は初めてだという名島に対して内心不安を抱いていた小暮だったが、思いもよらぬ名島の機転や洞察力に感心する。独身女性だと思っていた名島が、実は2年前に夫を亡くし5歳の息子と二人暮しという、同じ境遇だったこともあり二人は次第に息の合ったコンビとなっていく。そんな中、同じ手口の第2の殺人事件が起きてしまう。足首のない無残な姿で発見された少女は、菜摘の親友だった。聞き込みを重ねるうち、事件以前から女子高生たちの間で少女の足首を切り取る「レインマン」という殺人鬼の噂が広がっていたことを知った小暮と名島。その噂が事件となにかしらの関連があると睨んだ二人は「レインマン」の噂の出所を探っていく・・・。陰惨な事件の話なのに、ちょっとユーモラスな雰囲気があり小暮、名島、菜摘といったキャラクターたちが魅力的でかなり感情移入しながら読み進めていました。それだけに、読み終わった瞬間の驚きは尋常でなく、頭の中が真っ白になり、しばらく硬直状態に…。紹介文は誇張ではなく、まさに「衝撃の結末」でした。読後感がいいとか悪いとか、そんな単純な判断もできないほどすごく複雑な思いが残る、今まで体験したことのない読後感。ラストについては賛否両論あるかと思いますが、個人的には、やっぱりすごい作品だな、と思いました。絶対に忘れられない作品になりそうです。
2008年10月11日
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警察のイメージアップを図るため、日本のお偉方たちは、安易にも戦隊ヒーローブームにあやかり「警視庁戦隊」を作り、広報活動をさせることにした。部隊名は「警視庁特捜班ドットジェイピー」。ジェイピーはジャパニーズポリスの略。ドットが付くのは、なんか今風だから。集められたのは、性格に大きな難があるものの、格闘、射撃、コンピュータなどの達人にして美男美女の五人の警官。しかし、彼らを逆恨みする犯罪者が現れた! 戦え! ドットジェイピー!世間の眼に負けるな! ドットジェイピー! 浅はかで投げやりな平成ニッポンを照射し笑いのめす怪作、誕生! (「BOOK」データベースより)「へ~。我孫子武丸さんの警察小説かー」と、興味津々で読んだんですけど、これ、『警察小説』って言っていいのか?アホすぎです!我孫子さん、やりたい放題です!(爆)漫画家の喜国雅彦さんのイラストがかなり挿入されているため、小説というよりギャグ漫画を読んでいるような感じでした。童顔で巨乳。内気な性格ながら、柔道四段・空手四段・剣道四段・合気道は師範級の早峰綾巡査(24)コードネーム:バージンホワイトクレー・ライフル・ピストルなどの競技会で優秀な成績を収めてきた銃器マニアの三枝博信巡査部長(30) コードネーム:ソルジャーブルー母親がフランス人で、瞳は明るいブラウン。抜けるような白い肌に天然の栗毛のカール。天使のような外見とは裏腹にとんでもない女たらしの窪寺類巡査(21)コードネーム:キューティーイエローコンピューターに精通している、ということ以外謎の多い一ノ瀬瑛次巡査部長(27)コードネーム:デジタルブラック直感像記憶と呼ばれる特殊能力を持ち、モデル並の外見をしているが実は『桜田門外子』というペンネームの同人誌の売れっ子作家でありイケメンを見つけると、ホモ系のエロい妄想に走ってしまうという隠れ腐女子の沢渡香蓮(26)コードネーム:ビューティーパープル70年代の伝説的刑事ドラマの全話タイトルを最初から最後まで2分35秒で言えるという特技を持ち、ブラインドを指で押し下げ下界を見下ろしてしまうクセがある高崎邦夫警部補(50)通称:ボスどのキャラクターもぶっ飛んでいて、かなり笑えます。ちなみに、彼らを逆恨みする、連続レイプ犯の樺島。こいつも、とんでもなくアホです・・・(^_^;)警察小説の要素:5%未満、ミステリ小説の要素:0%バカバカしさ全開のストーリーが展開されていきます。個人的にはかなりツボにはまる部分があって、所々大笑いでした。な~んにも考えずに読める作品です。今回イマイチ活躍してなかったメンバーもいるし、「まだまだこれから続くよん」って感じの終わり方なので、たぶんこれ、シリーズ化されるんじゃないかなーと・・・。それはそれで楽しみなんだけど、我孫子さんといえば、やっぱり『人形シリーズ』。こっちの続きは出ないのかなぁ。
2008年10月09日
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