専業トレーダー DaTsU

人気片寄る時


す。市場全体が落ち込んでいる時は自分も弱気になったり、活況を呈し上昇し
ているような時は自分も強きになる、と言う事は良くある事です。ただ、そう
言った時は往々にして相場は反対に動いたりするものです。「三猿金銭秘録」
の中にも「野も山も皆一面に弱気なら…」と言うような句もありますし、千利
休の句として有名な「人の行く裏に道あり花の山」と言うものもあり、「不和
雷同」しては行けないと言う時の戒めの句とされています。すべて反対に天の
邪鬼のようにすればいいと言うものでもないのでしょうが、相場での勝者は常
に少数であると言う事を肝に銘じておきたいものです。

 「相場二三ヵ月も高下なく、又通いにておる時は、十人が十人退屈し、強気
の人も弱気に赴き、売り方の人は図に当たると心得え、なおなお売り込み、そ
の後決して上がるものなり。その節さてこそと弱気強きとも一つに成り、一度
に騒ぎ立て買い返す故、俵飛ばし急上げになるなり。十人が十人片寄る時は決
してその裏来るものなり。考えの通りに来るものなれば心易きものなれども。
右様には来らず、考えに及ばざるなり。陰陽自然の道理なり。」

 「2~3ヵ月も大きな相場が無く保ち合い相場となっている時は十人が十人退
屈してきて、強気の人も弱気になり、売っている人はしてやったりとどんどん
売り乗せしたような時は必ず上がるものです。そういう時は弱気筋も強気筋も
一体となって一度に買いに出るため買い気配で値を飛ばすように急上昇するも
のです。十人が十人同じ方向に傾いた時は必ずその方向と反対になるものです。
何もかもが誰もが考えるようにいけば簡単なのだけれども、そのように上手く
いくことはまず無いと考えて良いでしょう。それが自然の道理と言うものです。
」と言った意味です。これは実際の相場でも非常に良くある事で、買い気配を
切り上げてやっと寄り付いたと思ったらそこが天井になった、とか出来高が増
えて、誰も彼も「~円までは確実だ」とか言うような状況になると、そう言っ
たところが天井と言う事も良くあると思います。何年か前のITバブルの頃のア
ナリストレポートなどもこの類です。全部が全部人と反対にすれば良いと言う
わけでもないのでしょうが、相場で儲かっている人が非情に少ないと言う事実
を考えれば良く分かるのではないでしょうか。

 「一ヵ年の内、上げ一度、下げ一度の外は大高下なしとす。上げの内にも少々
の下げ、下げの内にも少々の上げあり。これは通い相場にて天井底を見る相場
にあらず。通いの高下に迷うべからず。すべて踏み出しは大切なり。買い出し
候は思いやみなるものなれども利運に向く時、少しも苦しみなきものなり。売
り方は心易きものなれどもはなはだ駆け引きむずかしきものなり。下げかかる
時は、何程下がるかも知れぬ様になり、買い返しおくるるものなり。下げの調
子、人の騒ぎに乗らず、欲を離れ買い返すこと第一なり。」

 「一年のうちには大きな相場は上昇で一回、下落で一回くらいです。上昇ト
レンドの中にも小さな下落はあり、下降トレンドの中にも小さな上昇はあるも
のです。こういった時は保ち合い状況で天井や底を見る相場ではないのです。
こういった保ち合いの中の小さな動きに惑わされてはいけないのです。すべて
出だしが肝心で買った時は『はたして上がるのだろうか』と不安になるもので
すがすぐに利が乗ってくれば全然苦しくはない。売から入るのは気分的に楽だ
けれども駆け引きが非常に難しいものです。下げ初めの時はどこまで下がるか
わからないくらい下がるもので買戻しが遅れたりするものです。下げの勢いや
人の騒いでいるのに耳を貸さず、欲張らずに買戻すのが一番良いのです。」と
言う意味ですが、売りから入るのが楽と言うのは日歩が入ったりする事を行っ
ているのだと思います。(この辺は今の相場の雰囲気と若干違うような気がし
ます)ここで言いたい事は相場の大きな流れを良く掴んで、手掛けるのが良い
と言う事です。相場の勢いだけで動くと大きな間違いを犯してしまう事が多い
のではないでしょうか。

※ここでも「三猿金銭秘録」にもでてくる「見ざる、言わざる、聞かざる」の
精神が述べられています。人の意見を聞く事は非常に大切なのですが、自分の
考えがあって始めて人の意見を聞く、相場を見ると言う事が役に立つのではな
いでしょうか。自分の考えも無いのに相場の勢いに任せたり、人の意見に左右
されたりすると大きな失敗を犯すのではないかと思います。


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