ふたりは事件の容疑者となる一方で、ヌヴーの祖父の殺人事件のみならず、彼が守り続けてきた、古くから伝わる驚くべき秘密の謎をも調べ始める。警察当局と危険な競争者の追跡を間一髪ですり抜けながら、ヌヴーとラングドンは謎に導かれるまま、息つく間もなくフランスとイギリスを、そして歴史そのものを駆けめぐる。前作『Angels and Demons』(邦題『天使と悪魔』)に続く本書は、ページを繰る手が止まらないスリラー作品に仕上がっていると同時に、西洋史の驚くべき解釈をも披露している。
主人公のふたりは、モナリザの微笑みの意味から聖杯の秘密にいたるまで、西洋文化の大いなる謎をめぐる知的かつ魅力的な探索に乗り出す。ブラウンの解釈の真偽に難癖をつける向きもあるかもしれないが、その推測のなかにこそ、本書のおもしろさがあるのだ。思わず引き込まれる『The Da Vinci Code』は、豊かな思考の糧となる1冊だと感じます。