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【 Side‐A 】
去年の元日
私達は諸事情により引っ越す事になった
引越し先は決して遠くない
逆に近いと言ってもいいかも知れない
生い立ち上、このような引越しには慣れてはいた
しかし慣れているとはいえ、やはり引越しとは寂しいものだ
近所付き合いなども案外嫌いではなかった
当時住んでいた家は 借家 だった
そんな私達に、同年の冬も明ける頃、朗報が舞い込んだ
なんと住んでいた家にまた住まう事でできる事となったのだ
新しい家を探す前に済む家が見つかってホッとした
この家は私達にしては珍しく長居させてもらったところだ
決してキレイとは言えないがとても住み心地のいい家である
気になるところと言えば・・・
そう、 換気扇 がやたらうるさいことかな?
新春―去年の春だが、新しい人も越してきた
どうやら学生さんのようだ
話によるとどこかの学校から編入してきたらしい、頑張れ学生!
しかし、彼はお世辞にも生活リズムが正しいとは言える人ではなさそうだ
深夜にお風呂に入ってる気配がする
私は音に敏感な性質なので目が覚めてしまうこともしばしば・・・
少しお近づきになりたいとも思っていたが
中々タイミングが掴めない・・・
そうこうしているうちに季節は巡り―春がきた
挨拶をしようと思ったが気づかれなかった
ここで普通に挨拶できない私はコミュ障なのかも知れない・・・
それから何度か機会はあったものの結局挨拶出来ずじまい
自分の情けなさに腹が立った
ええい、もうヤケクソだ!
ササササッ と彼の前に躍り出て挨拶してみた
すると彼は予想外の行動にでた
何か気持ち悪いものを見たかのように、自分の部屋(借)へ 駆け込んだ
なんとも言えない感情が胸中を満たした
最近の学生さんはこんな感じなのかな・・・
と少し残念な気分になり私は部屋に戻った
旦那と子供もいる
やはり我が家(借)が一番だなと改めて思った
ふと思えば耳に障っていた換気扇もいつしか静かになっていた
そんなある日、事件は起きた
近所の Gさんが殺されてしまった
いや、殺されたとは断定は出来ない
亡骸が見つからない
しかしおそらく殺されたのである
Gさんとは親しくしていただけあって胸が痛んだ
嫌だねぇ~、と近所の方と話しながら喪に服した
しかし
事件はそれだけにとどまらなかった
更に周りが死んでいく・・・
これも同様、死んだ(殺された)とは断定さえ出来ない
同様に亡骸が見つかっていない のだ
そこで私はふと、あの学生さんを思い浮かべた
目付きは・・・良くない
近所付き合いは・・・あまりなさそう
典型的な、最近の若者にありがちな部屋の主という感じであった
まさか・・・彼が?
疑心暗鬼になり頭の中がグルグルと渦を巻く
悩んでても仕方ない
引っ越そう!
という漠然な思考を抱きつつ部屋へ帰った
結局住まい続けた私達であった
そして運命の夜――
22時頃、突然 ガーーーキリキリキリキリ と何かが唸りを上げる
そして直後に何かみかんを叩き付けたような ベチャッ という音が続いた
それに加え、 鼻を突く刺激臭
慌てて見に行くとそこには・・・
見るも無残な旦那と子供の亡骸が蠢いていた
―――そして暗転
最後に聞いたのは学生さんの少し低めの声だった
~Fin~
【 Side-B 】
私の名前は高橋タクヤ
通称りゅーじという、関連性が全く見出せないなあだ名で呼ばれている
イケメンではない、かと言ってキモメンでもないはずだ
近所付き合いは・・・積極的ではない
去年の春、大学編入のため福岡へ引っ越してきて部屋を借りている
この部屋は害虫対策がされており最初の1年間は出ないそうだ
住むのは2年なので1年間は我慢せざるを得ない
朝から自転車に乗って坂道を下り、学校へ通う
そして放課後は朝下った坂を上り、家へ帰る
これが私の日常
決してキレイとは言えないがとても住み心地のいい家である気になるところと言えば・・・
そう、 換気扇 がやたらうるさいことかな?
風呂場の換気扇がやたら五月蝿くて困っている
点けると ガーーーキリキリキリキリ と鳴る
とてもシャワータイムを楽しめたもんじゃない
だから換気扇は点けないようにしている
浴槽掃除もマジックリンとスポンジで手早く済ませる
ササッとしないとあの 鼻を突く刺激臭
がね・・・
一人暮らしにも慣れバイトも始めた
病院での当直である
日給制で1回につき1.3000円、しかも飯付きだ、素晴らしい
しかし当直なので帰宅後はすぐに寝てしまい
風呂に入るのが深夜になったりと生活リズムが乱れてしまった
そして春無事に4年へと進級し皆がそうであるように就職という避けれぬ道が現れる
帰宅時間も遅くなり学校でシャワーを浴びて済ませることが増えた
たまには熱い風呂に入りたい、日本人ですからね
そして春も中頃に差し掛かったころ・・・
待ってましたと言わんばかりに目の前に ササササッと現れた
そうか、もう1年経ったんだなとしみじみ思った
蟲はキライだ、でも無闇に殺したりはしない
慌てて部屋へ逃げ込む、 気持ち悪いものは気持ち悪い のだ
誰だって生理的に嫌悪するもの
本能とさえ言ってしまっても過言ではない嫌悪感というものはあるはずだ
鳥肌が立つ
それからしばしばそいつを見かけるようなった、具合が悪い
そして運命の夜――
風呂のカビ取りをしてない事に気づいた
いつもマジックリンでさっさと洗ってはいたのだが
夏の陽気も相まってか、ゴムパッキンにカビが生えてしまっていた
我ながらお恥ずかしい
すでにお湯も張ってしまった
仕方がないので湯船に浸かりながら カビキラーを噴射
んー、やはりこの 刺激臭 は好きじゃないな
五月蝿いけど 換気扇を点けてみる か・・・
ポチッ
ガーーーキリキリキリキリ
あー相変わらずお前は五月蝿いなぁ
・・・・・・ベチャ
ベチャベチャッ
・・・ぇ?
瞬時に判断が出来ない
ただ生理的に嫌なモノだとは思った
いや、正確に言えば『嫌なモノだった』と思った、か
ぅわー
湯船には『嫌なモノだった』ものが蠢いていた
~Fin~
じめじめしたのはキライです
どうもゴミ箱です
先日ゴキブリを流しで発見しました・・・。
洗剤掛けて弱らせてトイレに流しました
なんでトイレに捨てたんだ俺www
そして今日も見かけました
外に投げ捨てました
そして22時頃にお風呂に入りました
Side-Bにあるようにカビキラーも使用してね。
久々に換気扇をつけるとヤッパリ五月蝿かったです
そこでふとこの物語が浮かびました
もし長い間使ってない換気扇のとこにゴキブリが巣食っていたら・・・。
というお話です
これって怪談になりませんかね?
カビキラーが浸透するまでに流れは全部出来上がり
とても悶々としてました
今回はA.Bサイドと分けて書いてみましたが
もっと短編に仕上げるなら第三者視点から書くのも良かったと思います
寧ろ怪談話となるとたいてい第三者視点ですからね~
今回の書き方は自身初でしたが
お楽しみいただけたでしょうか
一気に書き上げたので、誤字、脱字、矛盾点等多々あると思いますが
無視していただければ幸いです、蟲だけに・・・。
それでは
次回作などないとは思いますがこれにて失礼します。
じゃあの