売り場に学ぼう by 太田伸之

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Nobuyuki Ota

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2024.07.06
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明日7月7日は東京都知事選挙、今日お昼には銀座交差点で最有力の現職知事が街頭演説に。このあとこの場所に何人の候補者が最終日演説にくるのでしょうか。もう期日前投票を済ませたので私は演説を聞く予定はありませんが....。


銀座通りと晴海通り交差点で正午頃撮影

先日、数十年ぶりに井の頭線浜田山駅で下車、上京時に初めて住んだ駅周辺を歩きました。オフクロが下宿の大家さんにご挨拶しなければと一緒に上京、浜田山駅で下車した瞬間「桑名とあんまり変わらん景色やな」と。当時駅前には広いキャベツ畑があり、商店街は小さくとても大都会とは思えないのどかな景色でした。ここに支店があった第一勧業銀行の場所にはみずほ銀行がいまもありましたが、駅の真ん前にあった西友ストアは移転、そのほか駅の周辺にあった果物屋も書店も蕎麦屋も消えて懐かしさはゼロ、都会の住宅街ってこうもガラリ変わるもんですね。

以前にも触れましたが、オフクロと一緒に浜田山駅に降りた日ショックなことがありました。オフクロを東京駅まで送り、改札を出ないまま中央線に乗って新宿まで戻り、京王線改札を通過しようとした瞬間京王電鉄駅員に止められました。切符を持っていなかったから。

井の頭線明大前で乗り換えて京王線新宿駅改札を通過するとき、浜田山から新宿までの切符を改札で渡してそのまま中央線に乗り、東京駅改札を出ないでUターンしたので手元に切符はありません。中央線で東京駅まで行き、オフクロと別れてそのまま中央線で新宿駅まで来たので決して無賃乗車をしようと思ってはいないと状況説明したのですが、三重県の方言がうまく駅員に通じず、私は無賃乗車を疑われました。関西弁に伊勢言葉が混じった言葉が東京人には通じない、俺は田舎もんなんだ、とショックでした。

以来、井の頭線明大前駅から京王線をつかって新宿駅で中央線など国鉄(現在のJR)に乗り換えるたび、どうしても緊張してしまい、都内で一番嫌いな駅は新宿、それはいまも変わりません。そんな思い出を振り返りつつ浜田山駅周辺を歩きました。

なぜ浜田山が最初の居場所だったのか。それは同じ明治大学4年生だった従兄が浜田山の果物店に下宿していたので、私のために浜田山の書店を下宿先に選んでくれたから。浜田山から明治大学和泉校舎の明大前駅までは井の頭線で駅3つ、通学には便利、近くにいれば安心と選んでくれました。下宿のお隣の部屋は東京大学法学部の4年生、東京のことや学生生活などいろいろ教えてくれました。

当時わが明治大学の授業料は年8万円、私立大学の中では安い方でした。ところが大学側が授業料を値上げすると噂があったようで、値上げ反対をとなえる一部の学生と学外の過激派が校舎にバリケードをつくってキャンパスを封鎖、私たちは入学して1カ月後に校舎に入れなくなりました。いまなら授業再開はネットで連絡できるでしょうが、当時は校門まで行って確かめるしか方法はなく、何度出かけてもずっと校門は封鎖、授業は年度末まで再開されませんでした。

高校時代ほとんど勉強したことがなかったので、大学に入ったら真面目に経営学を勉強しようと上京しました。しかし1カ月後に学校封鎖で休講、「授業料返せ!」という思いのまま1年が過ぎました。オヤジに命じられて夜間はパターンメーキングの学校へ行けと言われて西新宿のオヤジが戦前学び、教えた紳士服専門学校に通い、夏休みにはパターンメーキングの個人教授から学び、大学での授業がない中でそれなりの学生生活でしたが。



ネットで大学の授業料推移を調べたら、国立大学も私立大学も授業料はとんでもなく高くなっていたのでびっくり。私の場合、前述したように入学時点での授業料は8万円、卒業してから後輩たちは年20万円になり、現在は96万円です。安いはずだった国立大学、現在は一律ではなくそれぞれの大学で授業料を決めているようですが、当時3万円だったものが現在東京大学が約53万円、これをさらに10万円値上げするんですね。このところの円安物価上昇で授業料値上げは仕方ないにしても、いきなり10万円アップには文句も言いたくなるでしょう。

米国の大学はものすごく高い。高校野球で活躍した花巻東の佐々木麟太郎くんが入学する名門スタンフォード大学の授業料は4年間で合計5千万円(円安で余計高くなってしまう)、年間1千万円以上ととんでもない額ですが、佐々木くんのように奨学金の恩恵を受けるとほぼ無償になります。日本の大学も授業料の値上げは仕方ないんでしょうが、同時に学生たちの負担を限りなくゼロにする奨学金制度の導入をマジに検討すべきではないでしょうか。でないと裕福な家庭でない限り大学進学できなくなるか、卒業後返済難民が増えてしまいます。

日銀総裁が国債の引き受けを減らす記者会見をしたらまたもや外国為替相場は円安傾向に。しかも米国中央銀行IRSは当分金利を据え置く方向、この先も円安傾向は続くんでしょう。円安が続けば食糧もエネルギー資源も輸入に頼る日本の物価はさらに上昇、賃金アップをいくら政府が奨励してもこの物価高では実質賃金はマイナス、一般生活者の暮らしは一向に上向きになりません。

そこへ大学授業料の大幅値上げとくれば、文句の1つも言わないと学生は気がすまない。我々の学生時代みたいに暴動や学校封鎖が起きないだけマシ、学生の気持ちはよくわかります。物価上昇、学費値上げ、奨学金制度が改善されないとただでさえ教育レベルが下がっている日本の将来はさらに危うくなります。

日本の電機産業は今後外貨を稼げなくなる、その仮説のもと小泉政権下で議論が始まったクールジャパン戦略。そして自分がその事業関連の実務者になった2013年から、電機産業の次は自動車産業も危ういと申し上げてきました。その自動車産業、最近検査データの誤魔化しやデータ改竄の隠蔽、幹部への忖度がいろいろ露呈、本当に自動車産業は大丈夫なのかと心配です。さらに、自動車製造の新興国である中国が電気自動車を普及させ、いまや欧米各国政府が中国EV車に多額の関税をかけようとしています。明らかに欧米にとっても日本にとっても中国EV車は脅威になりました。

中国は成長が期待できる分野に国の資金を集中、学問の世界でも政府がテコ入れする重点大学には手厚い支援を続けています。有能な人材を育て、成長の可能性生ある分野を支援し、国際競争力を強化する。我々が中国で多数目撃する中国製EV車は中国政府の国策の成果物そのもの、欧米の中国EV車に対する関税率引き上げは危機感の表れです。

電機に代わる外貨の稼げる産業の育成をと始まったクールジャパン戦略の会議、重厚長大型産業から軽薄短小と言われた分野へのシフトが会議のひとつの柱でした。その柱を具体化するため、本当に成長が期待される分野での人材育成、資金投入が計画されましたが、果たして実際に計画は具体化されたのでしょうか。議論を重ねて一瞬動き出す気配はありましたが、クールジャパン戦略事業なるものが本気で強化され、人材育成プログラムを改善して期待した分野が世界市場で大暴れしたでしょうか。まだ不十分、これから本腰入れて集中的にバックアップしなければならないのではと思います。

そのためには軽薄短小の扱いを受けてきた分野の教育制度の抜本的改革、特に教員資格のない実務者の教授抜擢、欧米並みの実践教育とインターン制度の導入、多くの若者が経済的負担のない状態で学べる奨学金の見直しが必要でしょう。

明日の都知事選挙はどなたが当選するのかわかりませんが、当選者には物価の高い東京の大学で学ぶ地方出身者の経済的負担を少しでも軽くする支援策を本気で進めて欲しいものです。





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Last updated  2024.07.06 15:13:39
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