月に負け犬

月に負け犬

日本志士伝








祇園精舎の鐘の声、諸行無常の響き有り。

沙羅雙双樹の花の色、盛者必衰の理を顕す。

奢れる者も久しからず、只春の夜の夢の如し。

武き者も遂には滅びぬ、偏に風の前の塵に同じ。

遠く異朝を訪へば、秦の趙高・漢の王莽・梁の周異・唐の禄山、

此れ等は皆旧主先皇の政にも随はず、楽しみを極め、諌を容れず、

天下の乱れをも覚らず、民間の愁ふる所をも知らざりしかば、久しからずして失せにし者なり。

近くは本朝を尋ぬれば、承平の将門・天慶の純友・康和の義親・平治の信頼、

驕れる心も武き事も取々にこそ有りしかども、

親くは入道太政大臣平の清盛と申しける人の有様を伝へ聞くこそ、心も言も及ばれね。




(平家物語)





 2008年1月21日    アズ



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