海月の部屋

海月の部屋

生きる意味




中学の頃、将来ボランティアがしたいと思っていた。
人と上手くつきあえず、何もできない私。
こんな私でも、人の助けになれば生きていていいような気がしたから。
自分には生きる価値があるとは思えなかった。
だから、生きていてもいい意味がほしかった。

時が経ち、働き始めて、目の前には重度の知的障碍者がいる。
話すこともできず、1人でトイレに行くことさえできない人。
生きるのに意味が必要だったら、この人たちはどうなるの?
この人たちは生きていてはいけないの?
生きるのに意味なんて必要ないんじゃないの?

生きるのに意味なんていらない。
まずはそう思った。

でも、本当に生きるのに意味なんてないの?

目の前の重度の障碍者。
この人たちには意味がないの?

話すことはできない。
1人で着替えもできない。
でも、何もしていないわけじゃない。
笑っている。
怒っている。
感情があって動いている。

そして、それは私に影響を及ぼす。
楽しくなったり、困ったり。
言葉がなくてもコミュニケーションをとることはできる。

そこにいる。
それだけで私とってはその人の意味がある。

生まれ出た後、他者と関わらずに生きてきた人はいない。
関わるということは、影響があるということ。

だから、この世に生まれてきた、
それだけで充分生きる意味がある。
「生きている」それだけでいいのだ。

そして、できれば自分らしく生きること。
だって自分の人生なんだから。


(2003.1)



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