南トルコ・アンタルヤの12ヶ月*** 地中海は今日も青し

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2005/09/05
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仕事をしたんだから、金をもらうぞ 」と、のたまった。

今まで押さえていた不満が一気に爆発して、私の頭にカッと血が上った。
「仕事?あなたが一体何の仕事をしたっていうの?ただ横で見ていただけでしょう?他にどんな仕事をしたの?足場だって、私が解体させたでしょ。
あなたは、運転手しかしなかったじゃない。ガソリン代はとっくに払ったわ。それ以上、何のお金が必要だっていうの?」
親方は慌てて言う。
「旦那に代わってくれ。旦那が知ってるから」
私は最後まで聞くことなく、キーを押して会話を一方的に終了させた。

横で私の様子を見ていた夫は、「俺に電話を渡して」と手振りで訴えていたが、私が電話を切ったのを見て取ると、自分の方からハカン親方に電話をかけた。

「いくらだって!?いったい何を言ってるんだ!?
妻から聞いたけど、あなた現場にも来ないし、何もしなかったっていうじゃないか」
「・・・分かった。そんなに言うなら、現場に来い。ここで話そう」

「放っとけばいいのよ。どうして呼ぶの?」
私は、ハカン親方をわざわざ現場に呼ぶ夫が信じられなかった。
「息子も・・ムスタファも呼んで、一緒に話し合ったほうがいいんだよ」
そういうと夫は、親方の息子ムスタファに電話して、至急現場に来てもらうよう言った。

やがて、先にムスタファがやってきた。
「何があったんですか?どんな話になってるんですか?」
私と夫は代わる代わる、父親であるハカン親方のこれまでの仕事振りを説明し、今までに150YTL(約1万2千円)は渡してあるが、もっとお金をくれと言ってきたことを知らせた。
息子は、実の父親に対するクレームを冷静に聞きながら首を振る。

夫が、君のせいではないとムスタファを慰めていると、まもなくして当のハカン親方が姿を現した。

息子、次いで夫と握手しながら挨拶を交わした親方は、ついさっき電話口で言いたい放題言われた私のことは、当然かもしれないが完全無視。
息子のムスタファが、まず父親を諌めるように問いただす。
「父さん、どういうことだよ。アフメットさんは現場に詰めていてもらうつもりだったらしいのに、現場にもじっと留まっていなかったって言うじゃないか」
親方は、小僧が何を言う、という目つきで息子を見やる。

俺は、ここで50日間も働いたんだぞ!

なんだってぇ~!?ごじゅうにち~ぃ!?
聞き捨てならないとはこのこと。足場解体の件で、親方と現場で初めて打ち合わせしたのが7月18日のこと。そして、夫が国際電話で「もう来なくていい」と解雇通知を出したのが8月18日。その1ヶ月間のあいだに、親方が私のために費やした実働時間は正味1週間にも満たない。

「50日ですって!?何を言ってるの?なんなら私のノートをお見せしましょうか?親方が何日の何時に来て何時に帰ったか、全部ノートに書いてるから、なんならリストにしてお見せしますよ」
親方は、怒気のこもった目で私を睨む。「俺は、女とは言い争わないんだよ」
そして夫のほうに向いて、「 600(YTL、約5万円)くれ。それでかまわん

夫は信じられないという風に首を振る。「何を言ってるんだよ?バカじゃないのか?」
ムスタファも驚いて父親を諌める。「父さん、何言ってんだよ。やめてくれ。恥ずかしい」
私は「とんでもない!冗談じゃないわ。そんなお金出す必要ないからね」と夫に日本語で告げた後、3人の前でこう言った。
「あなたがやったのは、ただの運転手。でなければ門番よ。それも1時間か2時間いたと思ったら、すぐに帰る。私が現場に着くと、あなたはとっくにいなくなった後じゃあない。
多くても、合計で200(YTL、約1万6千円)程度。それで十分よ」

親方も負けずに悪態をつく。
「お前さんの家まで迎えに行って、俺を運転手みたいに使いやがって。
俺は運転手なんかじゃあないぞ。それにタクシーなんか雇ってみろ。もっと金かかるだろうが。
500(YTL)でいい。さあ 」と、夫に向かって「よこせ」とばかりに手招きする。

「悪いわねえ。家にまで迎えに来てもらって」と言えば、「イェンゲ(あねさん)、必要な時はいつでも呼んでくれ。どこへでも連れて行ってやるから」と、頬を緩ませながら親切な言葉をかけてくれた親方は、一体どこへ消えたのか?
ガソリン代といってお金を渡せば、「金なんて、重要じゃあないんだけどね。あんたに金がないなら、こんな金要らないよ」と遠慮していた親方は、どこへ行ったのか?

「その必要ないわ!あなたの車に乗ったのは、大理石職人のところへ2回と、建具屋のところに行くのに4回だけよ。
あなた、泥棒みたいな真似するつもり!?」と、私は声を荒げて親方をけん制しようとする。
夫は私の方を振り向いて「シーッ!」と黙らせようとする。
ムスタファも「父さん!よせよ」と父親をなだめようとする。
親方は「お前には関係ない」と息子を黙らせる。

夫は、これ以上醜い泥仕合を続けていくことに耐えられず、とうとうポケットから財布を取り出した。
私が「やめなさいよ」というのも聞かず、親方に300(YTL、約2万5千円)突きつけるように渡すと、「どこへでも行きやがれ」とばかりに手の平で払うゼスチャーをした。
それを受け取ると、親方はようやく現場から姿を消した。

「アフメットさん、申し訳ない。父親があんな人間だとは今の今まで知らなかったです。人間的な行いじゃあない、あんなのは。
これから銀行に行って、今いただいたお金をお返ししますから」とムスタファは詫びる。

「お金なんか返してもらわなくていい。それにしても残念だよ。君がいたから、君の父親だと聞いたから、こうして親方と知り合って仕事を依頼したのに、そうじゃなかったら、あんな人間には仕事をさせなかった。
君は、あまり気にしないでくれ。お金だって勉強したと思えば安いもんさ」

夫とムスタファは、しばらく一緒に座って世間話を交わしていたが、父親であるハカン親方に呼び出されてムスタファがいなくなると、私にこう呟いた。
「驚いたよ。あんな汚いしゃべり方。まるでヤクザかマフィアみたいだった」
親方の態度は、まるで「 ゆすり 」のようには感じていたが、負けまいと自分の主張を繰り返すのに精一杯だった私には、さすがに親方の言葉遣いや話し方にまでは注意が回っていなかった。

「変なことを言うと、あいつらは危ないから、気をつけないと。
あなたは外国人だから分からないかもしれないけれど、トルコ人の中でああいう言葉使いをするのは危険だよ。ここは日本じゃあないから」
親方に対し「泥棒」呼ばわりしたことを、夫は指して言ったのだった。

工事が進行するたびに起こる職人たちとの闘いのなかで、いつのまにか、より辛辣な言葉遣いをするようになった私。
夫が指摘するように、相手を無用に刺激する言葉は使わないに越したことはないのだが、粗野な男たちと対等に渡り合うために、いつしか粗野な言葉遣いまで身につけてしまったのかもしれない。

それにしても職人扱いは難しい。たいした仕事をしていなくとも、「仕事をした。いくらいくらくれ」と言い張る輩が多すぎる。2日で終わる仕事を4日仕事といい、4人で回せる仕事を10人仕事と言う。
ハカン親方は高くついたが、私たちはこれでまた職人扱いの勉強をさせてもらったようなものだ。

あ~あ。それにしても、あの300は痛い出費だったなあ・・・・。








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最終更新日  2005/11/03 05:24:31 AM
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