~通過点~   

~通過点~   

     :先読み




まず「先読み」というのはどのようなものかというと、
子どもが何を考えているかを親が察知することです。

先読み自体は別に悪いわけではありませんが、それに行動が加わると
自己解決能力の低下、自己負担率の低下、自己表現力の低下など
子どもの成長を妨げる要因をたくさん作ってしまいます。

先読み行動は、無意識に行われていることが多く気づきにくいので、
なぜ良くないのかをしっかり理解して意識して止めるようにしてください。
言葉だけでは、よくわからないと思いますので、具体的な例をもとに詳しく説明したいと思います。


例えば、
子どもがおもちゃを探しているとします。
まず子どもは何も言わずにキョロキョロします。
勘のいいお母さんならこの時点で、ピーンときます。
おもちゃを探しているなと。
そして素早く、「ここにあるよ」とか「テーブルの下にあるんじゃない」と声をかけてしまいます。
ここで声をかける人は「重度」の先読み行動と認識してください。


次に、「おもちゃがない」とか「お母さん~」「お母さん~おもちゃがない」などの
子どもの問いかけに先ほどのように反応する。
これは重度ではありませんが、皆さんが無意識のうちの行っている先読み行動になります。

子どもがキョロキョロしたときに「おもちゃを探しているんだな?」と思う分には影響はありません。
しかしその後の「ここにあるよ」「テーブルの下にあるじゃない」といった行動(言動)には問題が生じます。

どのような問題かといいますと最初に書きました自己解決能力の低下、自己負担率の低下、
自己表現力の低下といった問題です。

まず自己解決能力の低下ですが、
これは子どもが自分で解決できる問題を親が先読み行動によって解決してしまうことで、
本来は自然に育まれるべき自己解決能力を低下させてしまうということです。

そしてこの自己解決能力の低下は、家庭ではあまり目立ちません。
それは、自己解決能力がなくても、お母さんが解決してくれることで表面化しないからです。

これが表面化するのはお母さんがいない学校です。
今回の例のようにおもちゃがなくて学校で困るということはありませんが
この忘れ物をすると困るだろうと時間割をお母さんがチェックしていたり、
登校前に忘れ物がないようにチェックして忘れ物に気づくと用意していたりすると
いざ忘れ物があったときに学校で対処の仕方がかわらないといった状況になります。

次に自己負担率の低下というのは、
日常生活で自分でやらなければならないことを
親が先読み行動によって解決してしまうことで
本来かからなければいけない負荷がかからなくなることによっておこります。
要するにストレスがない状態です。

例えば主婦の方であれば洗濯物や夕食の支度、部屋の掃除などを全部やってもらえたらどうでしょう。
考えただけでもとても幸せだと思います。

ただ、現実は残念ながらそんな幸せな話はなく自分でしなければいけませんし、
しなければ生活できませんからある程度のストレスかかってもやるわけです。
それによりストレスによる耐性がつきますし、毎日当たり前のようにこなすことによって
キャパシティーも増えます。

それと同じで子どもにもできることは自分でさせるようにして自己負担比率を増やし
ストレスによる耐性をつけ、キャパシティーを広げてあげる必要があるのです。
自己負担率が低いと、ストレス耐性のなさやキャパシティーオーバーで学校に行けなくなる場合もあります。

最後に自己表現力の低下ですが、先読み行動をしてしまうと
子どもが本来なら言わなければならないことも
親が以心伝心でわかってしまうので言う必要がなくなります

今回の例でも、子どもがキョロキョロしただけで解決してしまったら
子どもは何も言う必要がありません。
また、「おもちゃがない」にしても同じです。
ないからどうしたいのかなどを話していないのに先読み行動をしてしまうと
しっかり最後まで話さない子になってしまいます。

中には「お茶」「お菓子」「痛い」などかた言しか話せなくなっている子もいます。
その子の場合も先読み行動が大きく影響していました。
かた言しか話さない子は、かた言で通じると思っていますので、
友達に通じないことでストレスを感じたり、一分間スピーチや作文など、
省略できない言葉や文章がとても苦手になります。

また、「うちの子は電話が苦手なのよね」と親が電話をかけてしまうことで
友達に電話ができない子やレストランで自分で注文できない子なども
先読み行動が大きく影響していると考えられます。

先読み行動は無意識に行っていることも多く、
先読み行動が子どもの成長の妨げになるということもわかりにくいため、
気づくのに時間がかかりますが、気づいたときには学校に行けなくなっていたということも多いので、
子どもに対する影響をしっかり理解して先読み行動をしないように心がけてください。

ただ、先読み行動がすべて良くないわけではありません。
働いている方は会社で、専業主婦の方はご主人に対してなどは、
先読み行動は「よく気がつく」ということになりますので、逆にいい行動ということになります。
「子どもの成長にとっては、」ということなので誤解のないようにお願いします。

最後に、今回のケースで先読み行動をしない対応についての例をあげておきますので参考にしてください。




子 キョロキョロする
母(おもちゃを探しているのかな?)と思いつつ温かく見守る
子「お母さーん、おもちゃがない」
母「そう、おもちゃがないの」 (すぐに先読み行動で探さない)
子「どうしよう~」
母「おもちゃがないと困るね」 (困ったという気持ちは受け止めるが、すぐに「机の下とか探した?」などの先読み行動をしない)
子「お母さん、探して」    
母「えーお母さんは探さないよ」(問題所有の原則で子どもの問題には立ち入らない)
子「も~」
子「机の下にあった」
母「机の下にあったんだ~。それは見つけにくかったね。」
子「うんそうなんだよ」
母「でも、見つけられてよかったね。これで遊べるね」 
(自分でできことを認めてあげることで自己肯定感を養う)



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