中年よ、大志を抱け!

中年よ、大志を抱け!

ある日系ブラジル移民の伝記


行事続きで日記も毎日書いてませんでしたけど・・・って、いつもの事なんですが、昨日、ちょっと変わった日系移民の方の話を聞きましたのでご紹介します。

今年で64歳になるオバちゃんから聞いたことです。
そのオバちゃんとはご主人の法事ではじめてお会いしたんですが、僕がその法事のお手伝いをした事から、法事の後、みんなで食事をする時に隣に座ってくれて、いろいろお話をしたわけです。

最初は、デザートに出ていたお宅で取れるマカダミアンナッツやおいしいみかん、柿、などの話をしてたんですが、そのうちそのオバちゃんが昔は学校教材の販売員をしていたという話になりました。

その教材会社は大きくて、サンパウロ州だけではなく、遠くアマゾン川のあたりの学校にもよく行かれたんだそうです。

1977年、オバちゃんがアマゾン川流域のある学校までセールスに行った時のことでした。いくつかの学校を回るので、ホテルに泊まりながらの仕事だったそうです。

ある日「日本人がこのホテルにいるそうだけど、話したい事がある」と言ってインディオが訪ねてきたそうです。

インディオといっても文明化されたインディオで、インディオを先祖に持つブラジル人という意味です。

そのインディオが言うには、自分のおじいさんに「町に日本人が来てる」と言ったら、ぜひ会いたいと言ってるが、来てくれないか、と言う事でした。

村はそのホテルから割に近かったので、彼女は出かける事にしました。

やがて村に着き、一軒の家に入っていくと、90歳近い老人がいました。

老人は「おお、日本人ですか?」と言い、とても嬉しそうにしたそうです。

その老人が語ったところによると、自分は移民でブラジルに来たが、1910年頃、アマゾンの奥地に行ってみようと三人の友達とともに旅行をしたところ、船が転覆してしまい、お金を全て川の中に落としてしまったので戻る事が出来なくなってしまった。

途方にくれていると、近くに住んでいた原始的な暮らしをしている日本人に顔立ちの似た穏やかな性質のインディオに助けられ、その村でインディオ達の世話になりながら暮らし、やがて村の女性と結婚する事になった。

しかし他の友達の二人は何とか自分達の町に帰るといってついにその村を出てしまい、その後消息は分からない。

自分はずっとこの村で暮らしてきたが、この五十数年の間に比較的近い所に大きな町も出来、村も住む人々も文明的になった。だが、日本人にはめったに会わなかった。

しかしおとつい孫が、日本人が町に来ていると教えてくれたので、呼んで来てもらった。日本人に会いたかったし、日本語で話がしたかったから…

と言う事だったそうです。

そして、「死ぬ前に日本人に会えて良かった、日本語を話せてよかった」と何度も何度も言ったそうです。

オバちゃんは、「私も両親と一緒に日本から来て、たいへんだったけど、そのおじいちゃんも大変だったね。20年以上も前の事だから、もうそのおじいちゃんは死んでると思うけど、少しでも喜んでもらえてよかった」と言いました。

オバちゃんのその話は30分くらいのものでしたが、聞き終わって僕はなにか大長編大河ドラマを見た後のような気持ちになりました。

この気持ちは何なんだろうと思いつつ・・・



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