
リンクで行き来していない方なのでどなたか失念しましたが、 藤原伊織 という作家を大層評価されている方がおられました(恥ずかしながら私はこの作家をほとんど知りませんでした)。一流広告代理店に勤めながら二足の草鞋で小説を書いて来られた作家だそうです。 大阪出身 というのも興味をそそられます。寡作なのでその気になれば今からでも全作品読めるかなと、近くの小さな図書館で、試みにまず一冊借りてみました。
『 ダックスフントのワープ
』
これがデヴュー本らしいです。メルヘンチックな挿話と渇いた現実の物語が螺旋構造のように絡まりながら展開していきます。前者は、主人公の青年が自閉気味の少女に語る作り話なのですが、この残酷なメルヘンの行方が気になって読者の興味は作者の罠にはまってどこまでも引きずられていきます。心憎いばかりの計算です。
「ネズミ焼きの贈りもの」というのも収録されていましたが、これは私には古典的な手法で書かれた短篇と映りました。でも1980年代の前半に書かれたものとわかり納得できました。
興味が出てきたので二冊目に挑戦。最新刊『 シリウスの道
』(2005.6)
を借りてきて読みました。これは 読書の醍醐味をたっぷり味わえる骨太で痛快な作品
です。読書の楽しみの一つは、知らない世界を垣間見れることですが、広告代理店を退職して書いたというだけあって、広告代理店の仕事や内幕が生き生きと描かれています。籍を置いていたんじゃさぞ書きにくかろうという所まで、さもありなん風に描出しています。
登場人物が、組の人達や会社内の下劣組はさておき、皆がみな 気風が良くて大人の言動に終始するのも心地よい 。主人公たちの中学時代の舞台が、我が近鉄沿線とJR環状線の交わる辺りであるのも嬉しい。藤原さんは私にとって今年の大きな収穫と言えるでしょう。
本日の土鈴は出石の辰鼓櫓を描いたもの
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