十八の歳に手に入れつつも、読もう読もうと思いながら、延ばし延ばしにしておりますと、ついつい読み損ねてしまいまして、やっとのこと発起いたしまして、読み始めたのが今年の五月、老母のことやら家のことやら慌ただしく過ごすうちに、気がつけばはや師走ともなっており、これは急がねばと気を入れて読みました甲斐あって、ぶじ読み終えることが出来ましたものの、さてどれほどあやまたず理解できましたかとなれば、いささか恥かしくもあり、世に難解と言われてきた谷崎潤一郎訳にいきなり飛びついた我が身の程知らずの愚もさることながら、このような牛の涎の如く途切れることのないだらだら文章も、馴れれば快感と思うにつけても、生きてるうちに二度とは読まぬとなれば、それはそれで寂しい気にもなり、この八か月の源氏体験は我が読書人生の中でも異彩を放った期間であったと思えば、まことに楽しい上にも誇らしい気分のするものなのです。
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