三代目の挑戦

Nov 21, 2005
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カテゴリ: スポーツ
もう書くまでもないでしょうが、一流の凄さを見せてもらいました。



シドニーオリンピックで金メダルを獲り、国民栄誉賞まで受賞したマラソン界のエース、誰もがアテネオリンピックでの連覇を期待していたのに、彼女の言葉を借りれば「2003年11月16日の東京国際女子マラソンで時間が止まってしまった」んです。


2004年6月からの米ボルダー合宿ではケガが相次ぎ、7月上旬には引退も考えたと言います。さらに9月下旬には練習中の転倒で右足首骨折の重傷を負い、松葉づえで帰国しました。その姿は、かつて栄光を極めた「高橋尚子」の姿ではありませんでした。


それでも夢をあきらめず、新たな自分を見つけようと今年4月13日に佐倉ACの小出義雄代表から独立。6月1日から「チームQ」として新たなスタートを切りました。今までの成功体験を捨て、新たなチャレンジに向けて自らの甘えを全て断ち切った瞬間でした。


昨日、東京国際女子マラソンで42.195kmを走った彼女のパフォーマンスはそんな2年間を全て表現できた時間だったと思います。誰よりも高い山を登りながら、誰も経験したことのないような屈辱を味わった時間だったのに、彼女の口からは「感謝」と「夢」という言葉しか出てきませんでした。


東京国際女子マラソンを選んだコト、35.7kmの悪夢の坂をスパート地点に選んだコトは、アスリートとしての意地がそうさせたんだと思います。別にあのレースを選ばなくても次のオリンピックを狙う方法はあっただろうし、あの地点をラストスパートに選ばなくても勝つ方法はあっただろうに、それでも彼女はあのレース、あの地点を選びました。自分が超えなくてはならない壁があそこにあると感じていたんだと思います。




負けるコトは恥ずかしいことではない。
そこから目を背けるコトが一番恥ずかしい。





レース後のインタビューで彼女が話した「今悩んでいる人も、小学校、中学校の子も、30代、そして中高年の皆さん方も、もう二度と来ない時間を充実した一日にしてください」というセリフは思いつきで出てきたセリフではありません。苦悩に悶絶し涙した2年間が発した言葉だと思います。


マラソン=人生によく例えられますが、スポーツ選手にとって時に人生の全てを左右する競技結果。高い山を目指せば目指すほど、苦労や苦悩の大きさも大きくなりますが、それでもその山を目指す楽しさを知っていれば止めることは出来ないんだと思います。僕は今でもスポーツは世界一健康的で、世界一合法的なドラッグだと思います。


苦労や努力も夢を達成する大切なファクトだと言える高橋尚子選手が、昨日発したパフォーマンスとメッセージは本当に大きな勇気を与えてくれたと思います。北京オリンピックでどんなドラマを見せてくれるのか、夢の続きがとても楽しみです。






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Last updated  Nov 21, 2005 06:34:05 PM
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トモっち~ず @ 御無沙汰しております。 しばらくブログをサボってましたが、大好…
「梅太郎」 @ Re[1]:伸びる(09/04) 毘沙門Rider!さん ありがとうございます…
毘沙門Rider! @ Re:伸びる(09/04) ご無沙汰してます。 本質を見抜き、何事…
「梅太郎」 @ Re[1]:神様からのプレゼント(03/06) 毘沙門Rider!さん ありがとうございま…
毘沙門Rider! @ Re:神様からのプレゼント(03/06) 今年もお疲れさまでした。 本当に、沢…

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