松本市立旭町中学校桐分校。
日本でたった一つしかない刑務所内の中学校です。
この学校で35年間奉職し、人が生まれ変わる瞬間を見つめ続けてきた
角谷敏夫先生のお話しを拝聴しました。
この学校に来る生徒は皆、受刑者です。
その犯罪に到るまでの半生はそれぞれがとても悲惨で
子供の頃に両親の離婚、虐待、そうして就学機会を与えられないまま
読み書きが出来ず仕事が上手くいかなくて犯罪に走った者、
いじめがひどくて不登校になり、小学校も中学校も卒業しなかった者、
僕達が想像できないような環境の中学生たちです。
でも彼らはとても学習意欲が旺盛で、1日60分の授業を7コマ、
普通の学校と違い、夏休みも冬休みもないため
彼らはひたすら勉強に励むそうです。
角谷先生はそんな彼らのことを
「日本一勉強する中学生」と呼んでいるそうです。
それでも何十年も学ぶことから遠ざかっていた彼らの中には
「勉強についていけない」
「元の施設に戻りたい」
この学校を退学したい学生が出てくるそうです。
叱咤すべきか、激励すべきか、それともじっくりと話に耳を傾けるべきか・・、
角谷先生が出す答えは
「授業が辛いことはわかります。
でも元の施設に戻ったら、その辛さが変わるわけではありません。
大変だけど頑張ってください。
辛いからこそ頑張りましょう」
またこの学校にも施設外教育、いわゆる遠足があります。
しかし刑務所には絶対に起こしてはならない三大刑務事故というのがあるそうです。
「自殺」「逃走」「火災」
施設外教育の時は、手錠・捕縄は一切外すそうです。
この時、角谷先生が声を掛ける言葉は
「今日は捕縄も手錠もしません。
ただ一つ武器を持って行きます。
それは4月から僕と君たちとの間で気づいてきた信頼です」
卒業を前にした感想文の一節で、ある学生がこんな感想を述べたそうです。
「ひとつ学べばひとつ世界が広くなる。
ふたつ学べば、ふたつ世界が広くなる。
こう考えると、学ぶことは人間として一生の仕事だと思えてくる。
人間は生涯、勉強が必要です。」
わずか1年の桐分校の生活で哲学者になってしまった。
先生はそう言います。
ひとつを学べばひとつ世界が広がる。
受刑者であっても、中学生であっても、先生であっても、経営者であっても同じこと。
角谷先生が塀の中で見た世界には成長とか教育とかの本質があるんだと思います。
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