お葬式
皆さんがお別れをしてくださるとき家族は前に
たっている。
娘はかなり泣いていた。顔色が悪かった。
真っ青で今にも倒れそうなくらい震えながら泣いていた。
娘はパパが大好きだった。
母親はどうしても下の子に手がかかるため上の子を我慢させがち。
うちもそうだった。その分パパが娘を存分に可愛がった。
娘を支えながら私は頭を下げ続けた。
一方息子は、じっとできずにいた。
知ってる人が沢山来てくれた。
はしゃいでいた。ニコニコしてふざけてばかりいた。
その息子が棺のふたを閉めるときに一変した。
ボロボロと泣き出したのだ。
きっとその時パパとのお別れを実感したんだろうな。
後で息子が言っていた。
「ふた閉めるとき、悲しかった。それまではあんまり意味がわからん
かったけどパパにもう会えんと思ったら悲しくなって僕も
一緒に死んであげてもいいと思った」って。
私はこのときまでにすごく気にかかってることがあった。
パパの最期の顔を見てあげていないこと。
私は妻としての仕事を終えていないんじゃないだろうか？
パパは悲しくないかな？もう今しかない。どうしよう。
でも母に止められた。
このことが今でも私は気にかかっている。
パパごめんね。意気地なしで。
葬儀場は号泣の嵐だった。
葬儀場の係りの方々も泣いていた。
あの方々は仕事なので泣くことはめずらしいそうだ。
そういえば、お葬式があってる最中に救急車のサイレンが
けたたましくなっていた。
それを聞いて足がガクガクした。どこかで事故？とか思っていた。
葬儀終了後、受付をしてくれた友人が教えてくれた。
葬儀の最中に○○さんという方が具合が悪くなったので
ロビーに出てこられた直後倒れて救急車で運ばれたと。
倒れたときに頭を打って出血もしていたと。
この方はパパのお店の第一号のお客さんでもあり、母の友人のご主人でも
あり、私の友人のお父さんでもあるとてもお世話になっている方だ。
大事にいたらなかったがあまりのショックのあまりに
倒れてしまったらしい。一週間検査のための入院だと言うことだった。
パパは本当に沢山の方に愛されていた。慕われていた。
とても情が深い人だった。困っている人をほおって置けない
自分にかかわった人に愛情を深く注ぐ、そういう人だった。
葬儀場に入りきれない人の山、駐車場にはいりきれないどころか
道路渋滞まで起こしてしまうような車の量
パパの人柄が葬儀場をパニックにしてしまったのだと思う。
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