[殺意偽装]



  鏡に向かって笑顔を創る。

  何度もやってきた。 これからも続ける。 生きている限り。

  大丈夫。 バレやしない。

  本当は、僕が、君を殺したいと思っているなんて。


  明るい顔で、優しい声で
              偽装した、僕の
                      悪意と、殺意。


  獲物。 喰者。 仕方ないんだ。 そうだ。 

  銀色ナイフ。 僕は、ナイフだ。
  人を傷つける為に存在し、傷つけるのが存在意義だ。  


  鮮血の付いたシーツ。
  泣き崩れている君。
  いずれ、その意識も消えるだろうけど。

  「どうして・・・?」

  答えなんて無い。 肉を食うとき、いちいち理由がいるのか?

  その眼。 まだ、何か救いを求めてる。
  納得の行く解答を、殺されるわけを知りたがっている。

  愛してたから、とでも言えば成仏するのか?
  悪いが、僕は、そこまで優しくないよ。

  僕の世界は血塗られている。
  灰色を嫌うなら、紅く染めればいい。  
  そんな歪んだ思考回路。

  僕はナイフだ。
  人を傷つけることが、存在意義だ。



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