なまけもののナチュラルエコライフ

昔話と子どもの成長



昔話は同じ言葉を3度繰り返すのはなぜか。昔話は本当に残酷なのか?昔話が語る子供の成長について、感動的なお話でした。昔話をたくさん語ってあげたいなと思いました。講演で感動した部分、メモですが書き残しておきたいと思います。


同じ言葉を繰り返すのはなぜか?

1、繰り返すことにより子供は安心を覚えます
子供の成長は一直線ではありません。
行っては立ち止まり行っては立ち止まり・・。
立ち止まる時には知っているものをしっかり確認してそれからまた先へと進んでいきます。
たとえば図書館に行ったとき、子供は返したばかりの本や家にある本をみつけてうれしそうに「これ借りる!」と言います。
その時大人は「それはこの前返したばかりでしょ。新しいのにしなさい」なんていってしまったりします。
子供にとっては知っているものに出会ったということは本当に嬉しいことなのです。
だから決してそんなことは言わないように子供の魂を大切にしてあげてください。
大人は新しいものをどんどん与えて知識を増やそうとしますが、子供に知識を増やす必要はありません。
知識は後からついてきます。
子供に知識を増やそうとすることで魂をゆがめてしまいます。


2昔話には独特の語り口、リズムがある

白雪姫は原作では3回殺されます。
1回目はひもで、2回目はくしで、そして3回目がりんごです。
シンデレラは3回目の舞踏会でガラスの靴を忘れてきます。
ほとんどのお話に共通するのは1回目より2回目の方が少し文章が短く、3回目が一番長い文章になっていることです。
一番大事な最後の場面を盛り上げるためのホップステップが必ずあります。昔話は目で読むものでなく、耳で聞くものとして作られていますので、このリズム感が大事です。
このリズム感を壊したのがディズニーの白雪姫やシンデレラ。
3回の繰り返しを省き1回にしてあります。
3回も繰り返さないで1回に省いてしまう方が効率がよいというのは大人の考え。
心地よいリズムがすべて崩れてしまっています。

この繰り返しのリズムが心地よいお話の例として「うまかたやまんば」というお話を語ってくれました。長くなるのでここには書きませんが、絵本も出ています。帰ってから娘に「うまかたやまんば」のお話を話して聞かせたら、じーっと耳をすませて聞いていて、何度もリクエストされました。面白いです。


小さいうちに知識を詰め込むことは魂をゆがめるという話がシュタイナーの話と似ているなぁと思いながら聞いていました。
シュタイナーは記憶は過去へ向かっていて想像は未来へ向かっていると言っていますね。
子供に記憶させること、知識を詰め込むということは子供本来の魂の成長を妨げてしまう。
最近、日本では早く教えることが良いことだという風潮が幼稚園くらいまで降りてきているようです。怖いことです。



また、昔話が子供の成長をあらわしているものの例として「わらしべ長者」のお話をしてくださいました。ちょっと長いですが引用します。
長男はお金を次男は畑を三男はわらしべ3本をもらった。
三男はわらしべを持って歩いていくと、はすの葉を収穫している人に出会った。はすの葉を縛るのにわらがあったらなと呟いているのが聞こえたので三男はわらしべを全部やってしまった。するとその人は喜んではすの葉を3枚くれた。
今度ははすの葉を持って歩いていくと味噌を作っている人がいて「味噌を包むはすの葉があったらな」と呟いているのが聞こえたので三男ははすの葉をみんなやってしまった。するとその人は喜んで味噌をくれた。
今度は味噌を持って歩いていくと刀を作っている人がいて「この刀を最後味噌で冷やすと名刀になるんだがな」と呟いているのが聞こえたので三男は味噌をみんなやってしまった。するとその人は喜んで名刀をくれたので三男は名刀を持って歩いていった。
すると川に行き当たったので三男は刀を横に置いて昼ねをはじめた。そこへ野犬がやってきて三男の周りをぐるぐると回り始めた。野犬が三男を襲おうとしたそのとき名刀が鞘からひとりでに飛び出て野犬に切りかかり野犬は逃げていった。
その様子を川向こうで村の庄屋が見ていて「あんなにすばらしい名刀を持っている若者はきっと運の良い若者に違いない」と言って、三男のそばに行き今見た出来事を話してきかせた。そして庄屋の一人娘の婿になってくれるようにお願いした。そうして三男はとうとう庄屋の婿になった。

昔話では庄屋の婿になってハッピーエンドというお話が多いのでこれが本当に幸せなのかは別として・・・。

現代の教育では、まだわらを持っている子どもに味噌や刀を与えようとしていないか。
子供の成長というのはその子が今持っているものにぴったり合ったときに前へと進んでいく。何歳だからこれをさせましょうというのでなく、1人1人の子供をみて、その子にぴったりな時にぴったりのものを与えていくことが大切な事なのではないか。
とお話されていました。

本当にそうだなあと思いながら聞いていました。
今の社会は情報がすぐに手に入る反面自分の感覚を信じることが難しくなっているように思います。
私もそうですが、はじめての子育てで不安なときちょっと調べると本でもネットでもたくさんの情報が手に入ります。その情報の中には、教育産業サイドからの情報発信も多く混じっています。
そんなときまず本を閉じてわが子をじっと観ること、自分の勘を信じることが大切なんだなと感じています。

昔話や童話を語って聞かせることは、子供の成長を静かに見守る一方、大人の私たちにも「焦らないでいいんだよ」「子供はいつまでも今のままじゃない。問題を解決しながらゆっくり成長していくよ」と子育てのあり方を知らせてくれるようです。

童話や昔話を選ぶときに注意しなければならないのが、グリム童話ならばできるだけ原訳に近いもの(こぐま社から6巻くらい出ているものがおすすめです)、昔話なら間を省いていないもの(小沢俊夫さんのものがおすすめです)。
大人が責任を持ってよいおはなしを選んでいきたいですね。



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