■トレーダーは市場を相手にしていない!? 現在、日本のFXサービスは公設取引所の「くりっく365」もあるものの、その主流は相対取引となっている。相対取引とは売り手と買い手が1対1で取引を行う取引形態のことだ。 為替を取引する時、トレーダーはおそらく市場を相手にしていると感じていることだろう。つまり、「トレーダー VS 市場」という構図だ。 けれど、厳密に言えば、トレーダーはFX会社を相手に取引しているのだ。相対取引とはそういうことである。つまり、「トレーダー VS FX会社」である。 そして、FX会社はトレーダーからの注文に対して、インターバンク市場でカバーをとるから(「FX会社 VS 市場」)、これらをつなぎ合わせれば、最終的には「トレーダー VS 市場」という形にはなる。 全体の大きな構図で言えば、取引は「トレーダー VS 市場」に最終的にはなっているのだが、厳密には「トレーダー VS FX会社」であり、トレーダーが直接取引する相手はFX会社ということなのだ。 また、取引はトレーダーとFX会社の間で成立しているわけだから、市場レートがどうであろうと、FX会社はどんなレートを提示するのも原理的には一応自由ということになる。 実際、FX会社が市場とものすごく異なるレートを提示することは通常のケースではあり得ないが、先に述べたように各FX会社が微妙に異なるレートを提示しているのは確かだ。 FXは以上のようなしくみで取引されているからこそ、妖怪「ストップ狩り」の実在がウワサされてしまうというわけなのだ。実証は難しいけれど、論理的には否定できないよね、というのが妖怪「ストップ狩り」なのである。
■限りなく「トレーダー VS 市場」の形に近いシステム 一方、インターバンク直結のFX会社は、顧客から入ってきた一つひとつの注文に対し、一々インターバンク市場でカバーをとっている。もちろん、それはシステムが自動的に行い、人間のディーラーの裁量が入ったりすることはない。 つまりこれは、先ほど説明した構図で言えば、相対取引のFX会社なのだから、取引は「トレーダー VS FX会社」の形になっているのだが、それが実質的には限りなく「トレーダー VS 市場」の形に近づいているということになる。これがインターバンク直結のFX会社なのである。 なお、相対取引のFX会社でインターバンク直結の会社は、実は全体から見ればまだごく少数派。おもな会社を挙げると、 ・「FX ZERO」 ・「FXCMジャパン」 ・「上田ハーローFX」 といったところぐらいである。【妖怪「ストップ狩り」】が怖い人は、こういったFX会社で取引するのも一法だろう。