虚

渇愛



   ずくずくと皮膚の灼ける音がする

   (俺以外の誰にも笑いかけないでくれ・・・・・・)

   どうしたら振り向く

   なにをしたらあなたを幸せに

   わかっている

   なにもしなければいい

   なにも告げずに

   長い時を重ねて得た“信頼”をそうすれば失わずに・・・・・・・

   なら、この想いはどこにいくのか

   「----------。」

   あなたが俺を呼ぶ声が聴こえる

   振り返らないあなたの横顔は神聖すぎて

   触れられない

   その瞳・・・・・・・きらきら輝いて見える

   いつもは静かにふつふつと燃えるその瞳

   少しでも触れようと手をのばせばぶわっと灼熱が燃え立つ

   ・・・・・・・ヤケド、する

   眩暈がする

   (凄く、綺麗だ・・・・・・)

   好きだ

   この人が好きだ

   どうすればいい

   (触れたい)

   この想いは一生とどくことはないのか

   (こんなに好きなのにか)

   あなたが幸せであればそれでいい、とか

   どんなに離れていても愛してる、とか

   こんなことは思えない

   こんなものは“嘘”だ

   “愛”じゃない

   こんなのが“愛”なら、俺はいらない

   こんなことで“幸せ”になれるなら俺は“愛”なんて欲しくない

   俺はそんなにおめでたくない

   (この人が、欲しい)

   自分がなにを考えているかなんて、もう、わからない

   (そんな余裕なんてない)

   ただわかっているのはこの人が好きだということだけ

   この人の傍から離れられない

   この人がいなければ一秒だって息ができない

   好きだ

   欲しい




   「抱き、てぇ・・・・・・・・・・・」









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