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アクシデント12


女性の服やら何やらを買い込むには、とりあえずここかな、と。
持ち合わせがないから、カードで買うことにする。

スーパーのどでかい駐車場に車を止めて入り口をくぐる。
「さて、と。何から買おうか。今日は最小限にしておく?時間ないし。」
「うん。」彼女はなんだか、おびえたように緊張していた。
「だいじょうぶ?」
「うん。」
日用品のコーナーで、歯ブラシ、コップ、箸、茶碗、ヘアブラシ。
女性用シャンプーやトリートメント、洗顔料、身体を洗うボディタオル。
それから代えのTシャツやトレーナー。パジャマ。
それと、下着類。

「ここで待ってるから、下着選んできなよ」
一緒に下着売り場に入るのはやはりお互いに恥ずかしい。
レジの脇で彼女にそう言った。
「うん、」彼女は心細そうに何度も俺の方を振り返りながら、下着売り場へと歩いていった。

20分ぐらい経ったが、戻ってこない。
30分経って、心配になってきた。
しかたなく下着売り場へ行く。
彼女の姿を探す。

ようやく、ずらっとブラジャーが並んだ前で彼女を見つけた。
「決まった?」俺が後ろから声をかけると、びくっと驚いた様子で振り返った。
「あ、ごめんなさい。まだ、、、」
「いいよ、ゆっくりで」
ちらっと彼女が下げているカゴの中を見た。
白や薄いピンクのシンプルなショーツが、何枚か入っていた。
「これにしようかな」
彼女が手にしたのは薄いイエローのブラジャーだった。
レース使いのかわいらしいものだ。
「どうかなぁ」俺に聞いてくる。
「あ、いいんじゃない?」
直視できずに、違う方向を見ながら答える俺。
「試着してもいい?」
「うん。」
まさか、どう?なんて試着室から声かけたりしないよな。。。
ちょっと、期待した。
女性の店員さんに見てもらって、服を着た彼女が試着室から出てきた。
そりゃそうだよな。。。

レジで清算しながら、この下着をつけた彼女をつい想像してしまう俺だった。

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