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玲子22~彼女の事情~


「そういうんじゃないよ。」慎司はアタシを見つめて言う。
「玲子は、一般的に言う『都合のいい女』なんかには、ならないんじゃないの?
そういう枠には収まらないと思うし、なにより、オレのものにはならない気がする。
オレのものというか、男のものに。玲子を抱いて、ますますそう思った。だから・・・」
慎司は自分の気持ちを確認するように、言った。
「だから、玲子が欲しくてたまらないんだ。」
「簡単には堕ちないから?」
「そうだね。堕ちないで欲しい、とさえ思うよ」
「自分のものにならない女を抱くのは、むなしくないの?」
「どうかな。むなしくはないかな。少なくとも・・・」
慎司が、アタシのもとへ歩み寄る。そして、アタシを正面から抱き寄せた。
「玲子がオレを、欲しがってくれてるうちは」
アタシが、慎司を?欲しがっている?慎司はそれに気付いていたっていうの?
そうよね、あんなに・・・感じちゃったんだから、仕方ないわよね。
でもね、アタシが欲しいのは、
アナタの、熱くなったここ、なのよ。
それだけなのよ。
それでも、いいの?
きっと、今の慎司なら「それでもいい」と答えるだろう。
「その方が、いい」と。
そしてアタシも、慎司にそう言ってもらいたいと思っている。
オマエの、濡れたここ、が、欲しいんだと。
惚れてなんてほしくない、ただ、ここが欲しいのだと。

誰も、アタシに「愛」なんて求めないでほしい。
「愛してる」なんて言われたら、虫唾が走る。
アタシにも見返りを要求しているようで、たまらなく嫌だ。
そんな生ぬるい、不確かな感情なんて、あいにく持ち合わせていないのよ、アタシは。
簡単にそんなことを口にするようなヤツなど、いらない。すぐに切り捨ててやる。

慎司はアタシにとって「性欲を処理する道具」なのだろうか。
いや、そうではない。
そんなものなど、アタシには必要ない。
じゃあ、いったい何?慎司とするセックスは、確かにいい。
これからもっと、良さを味わえるだろうという予感さえある。
でも、本当にそれだけなのだろうか。
考えるのはよそう、今は・・・慎司を味わいたい。それだけでいい。

アタシは慎司に抱きしめられて、つぶやく。
「今すぐ、欲しい。瀬川さんが・・・慎司が欲しいの。アタシに、ちょうだい」


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