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ヒトヅマ☆娼婦 9


「時間がないんだ。この辺で済まそう」
そう言って水島さんは車のエンジンを掛けた。
事務的なその言い方に
あたしはちょっと、悲しくなる。
そうだよね。
恋人じゃない、愛人なんだもんね。

済ますって、、、Hスルのかなぁ、、、
あたし、正直言って自分のスタイルに自信があるわけじゃないし
Hが得意なわけじゃない。
やっちゃんとだって、してないし。
一番最後にHしたのって、いつだっけ?って考えちゃうくらい。
それでも水島さん、いいって言ってくれるかなぁ。
心配になってきた。

高速インターの近くのラブホテルに入るみたい。
利用したことがあるのか、水島さんは立ち並んだラブホテルのひとつに
迷わず入って駐車場に車を停めた。

水島さんが車を降りたけど、あたしは動けないでいた。
ドアからこちらを覗く。
「どうしたの?降りないの?」水島さんが冷たく声を掛ける。
あたしはゆっくりと助手席から降りて、ドアを閉めた。
どうしようどうしよう。
こういうことだって、わかってたはずなのに。
いざとなったら勇気がない。
でもサインしちゃったな。
一緒に行くしかない。


ドキドキしながら、水島さんの後を追う。
ランプのついた部屋に入る。
狭くて、ベッドしかないような部屋。
ぜんぜんムードない。

水島さんがスーツを脱いでハンガーに掛けながら言った。
「これも詩埜の仕事だよ」
「あ、ごめんなさい」手を出そうとしたけど、
すでに水島さんの手で掛けられた後だった。

「時間がないから5分でシャワー浴びてきて。髪は洗わないで」
なんだか上司に命令されてるみたい。
「はい・・・」あたしはますます、しょげる。
髪をゴムで結わき、カラダにボディソープをつける。
うなじと胸元、わきの下、背中、脚の指、それから・・・あそこ。
5分5分。頭の中で唱える。急いで手を動かす。
バスルームから出て、バスタオルで身体を拭いていると
「詩埜。こっちにきて」と水島さんが呼ぶ。
バスタオルを身体に巻いたまま、水島さんのいる方へ歩く。

「バスタオルを取って、ベッドに寝て。」
水島さんは上着を脱いだままだった。










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