non title

non title

ヒトヅマ☆娼婦31


「君の次の学校の口利きをして、費用も全額僕が支払う。そのかわり詩埜は僕が引き取る。
君が無事に卒業して公認会計士の試験に合格したら、返してあげよう。」
やっちゃんは水島さんを睨んでいる。水島さんは続ける。
「君の生活費も卒業するまで僕が面倒見よう。それで問題ないよね。
僕の許可を取れば詩埜に会うこともかまわない。どうかな?」
「あんた、本気で言ってるの?」今まで見たことのない恐ろしい顔で、やっちゃんは水島さんに言った。
「僕らは法律的に立派な夫婦だ。あんたが詩埜を引き取るなんて、できるわけないだろ」
「それは君と詩埜が決めればいい。僕は提案しているだけだよ。
ただ、遅かれ早かれ詩埜は僕のところに来ると、僕は確信しているけどね」
水島さんが煙草を取り出して火をつける。
「あんた、奥さんいるんだろ。詩埜を幸せにできるのかよ」
「詩埜に貢がせておいて、君は学校にも行っていなかった。そんな君より僕ははるかに
詩埜に対して責任を果たすことができると思っているよ」
やっちゃんがおもむろに席を立った。早足で店を出て行く。
あたしも立ち上がって、やっちゃんの後を追おうとした。
「詩埜!」水島さんがあたしを引き止める。振り向いたあたしに、水島さんは静かに言った。
あたしが逆らえない、ひんやりと冷たく光るあの目をして。
「君の仕事はまだ終わっていない。席に着け」





© Rakuten Group, Inc.
X
Design a Mobile Site
スマートフォン版を閲覧 | PC版を閲覧
Share by: