ヴィーテ・イタリア高岡(Hiruccio)のイタリアワイン&主夫日記

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2013/03/17
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カテゴリ: 映画と読書



二度ベルを鳴らす」に次ぐ、第二作です。


ネオリアリズムの代表作として名高いこの作品です。

素人役者を100%使い、すべてシチリアの漁村でのロケ撮影をしている
点がネオリアリズムの方法論として典型的なところ。


ただロッセリーニやデ・シーカなどの非常に歯切れの良いテンポの作品とは
一線を画して、ドキュメンタリータッチな部分とヴィスコンティが好んで叙情的に
フィルムに収めようとするシチリアの風景とか、ある漁民家族の
群像劇を通して丹念に、これでもか!というほどスケッチされています。


才能と人間性の偉大さ、面白さを感じずにはいられない作品に仕上がってます。


この作品は、イタリア共産党が企画して、3部作の第一作として製作された
作品だったそうですが、その後の2作品はついぞ製作されませんでした。


観ていただくと分かりますが、共産党としての目論見は魚の仲買人に
搾取され、身を滅ぼしていく家族と個人の悲劇を表現しながら労働者の
権利を高らかに訴えることにあったと思われます。


ところが、ヴィスコンティの視点、切り口は、むしろ逆にカトリック的で
さえあり、神の視点といえば大げさかもしれませんが、もっと深いところ
もっと現実世界を直視したところで脚本が書かれてます。


キャメラが描く絵も、その悲劇をそのまま肯定的に描いたり、シチリアの
風景そのものに強い愛着を感じて、フィルムに焼き付けているところが




もちろん、この頃のヴィスコンティは、貴族でありながらも共産党員
だったのですが、そうしたイデオロギー云々の世界ではない人間の
性と運命の悲劇を、正面から冷徹に描いているように思えます。



この辺りは、彼の貴族性が絢爛と出てくる後期のドイツ三部作、あるいは
「山猫」や「夏の嵐」のような世界にも完全に重なってくるヴィスコンティ




家族がひとりひとりの運命がどん底にありながらも、そして意に反して
敵の下で漁師としての生活をスタートすることになった主人公が
漁船の櫂をこいで漁に出るラストシーンの静かな力強さは、僕の中では
映画史上ナンバーワンかもしれない!かなり秀逸です。



しかし、こういう極貧民の実生活を目の当たりにすると、たとえそれが
60年以上前の世界であったとしても、実に新鮮ですね。


女性と子どもはほぼ全員裸足で生活している(^^;)


食生活がどうの、生活のリズムがどうのとか、そういう次元にないですよね。
この貧民生活。というか、昔の漁村にせよ、農村にせよ、我々が今
一生懸命に営んでいる社会生活、規範など全く別次元のところで生を
全うしていたような感すらあります。


こういう生活がベースにあったとすると、リソルジメントの後だったか
カトリックがイタリア王国政府による人民への教育に反対したという、その
理屈というか、心というかがわかるような気がします。


カトリックは「人民の素朴さが教育によって失われるから、そのような
ものは人間性の喪失でもあるから施してはならない」と主張したんです
よね。


で、この「揺れる大地」を見ると、そのカトリック側が守ろうとした
素朴な人民たちが目の前にわんさといるわけです(^^;)


そしてその人間性の素朴さ、荒々しさ、純粋さ、野卑さのあいまったところの
神々しさと申しましょうか、今の我々の近代が完全に失ってしまった
何かを、完璧に持っているんですよね。



衝撃的な映画です。
イタリアでは、「救うべき100本のイタリア映画」に選出されています。
















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Last updated  2013/03/22 09:48:54 PM
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