
ブルックナー没後100周年記念コンサートとして聖フローリアン司教座教会で収録されたもの。第一楽章冒頭は、そのフローリアン教会の天蓋絵図のアップから開始される。通常この手の映像は最初に指揮者と演奏者を映してから始まるが、こちらは天蓋に描かれた宗教画のアップに、第一楽章がかぶるようにして始まる。ゆっくりとカメラが引いて、次第に教会内部が分かるようになってくる。そして4~5分経過すると、巨大な教会の伽藍の中で演奏するオケと、数百人の観客が全て映し出される。
フローリアン教会の名前はブルックナーゆかりの地ということでもちろん知っていたが、こんなに巨大で壮麗な建築物だとは知らなかったので、初めてこの映像を観た時には驚いた。正直もっと地味な田舎の教会だと勝手に思っていたのだ。
その壮麗極まりない建築物の中でのブーレーズ/WPOの演奏も素晴らしい。どちらかというとブーレーズの指揮はあっさりしていてあまり心情を込めたりしないのだが、天井の高い教会の残響音がそのあっさり感を打ち消し、ウィーン・フィルのまろやかな音と相まって美しい演奏を繰り広げる。時に非常に骨太な表現が現れるが、それもこの特殊な場所にマッチしていて違和感が無い。
ブルックナーの5,7,8,9番の交響曲がどこで鳴り響くべきものとして作曲されたのか、ようやくはじめて知り得たような気がした。教会内部の映像と共に、是非ご覧いただきたい傑作である。

スヴェトラーノフの指揮でこの二曲とくれば、普通の演奏にならないことはなんとなく想像がつく。絶対に美麗なフランス音楽の再現になるはずがない、と分かっているのに買ってしまうんだなぁ。そしてもちろん、スヴェトラーノフは期待を裏切らない。両曲とも、立派なロシア音楽に(?)なっておりました・・・特にフランクの第二楽章は、ロシアの母なる大地への憧れが聴こえるような、雄大な響きがたまりません・・・って違いますよねぇ。今週は初心者には絶対不向き。でもこの両曲にすでに親しんでおられる方には、新たな面白さを提供してくれるアルバムとして御紹介いたします。こんな演奏もあるから、クラシックは面白い!

ムラヴィンスキーの指揮が最も似合う曲の一つがきっとこの曲だろう。第一楽章冒頭から尋常ではない集中力が聴くものを圧倒する。第二楽章、第四楽章の打楽器の爆発力は、凡百の演奏であっても興奮するが、ここまでオケが精密だと逆に寒気を覚えるほどだ。それ程の集中力、完璧無比なアンサンブルの集大成がここにある。とてもライヴとは思えない。そして収音マイクの位置がかなり打楽器に近い位置にあったらしく、打楽器の音が怖いほど明瞭に収録されている。ただし残念なことにあまり明瞭なステレオ録音ではない。もともとこの曲は楽器の配置が緻密に計算されているがゆえに、分離の良いステレオ録音で聴く方がいいのだが、その欠点を補うに十分な迫力と求心力を持った演奏だと思う。

アーノンクールと手兵ウイーン・コンツエトゥス・ムジクスの23年ぶりの新録とくればきっとまた先鋭的でアグレッシブな演奏が繰り広げられると思って聴いてみたら全く違っていた。モーツアルトの遺作はジェスマイヤーの補完によるもの、と言う定説に、今回は新たにフランツ・バイヤーによるオーケストレーション改訂版を起用、数多くの箇所で従来とは全く異なる響きが聴こえる。そしてこれが一番重要だが、古楽器の演奏によるものなのに、その響きは柔らかく、落ち着いている。また解釈もことさら悲劇性を強調するものではなく、まるで去り行く者を慈愛の眼差しで送るかのような、穏やかな演奏である。これは聴く価値のある演奏だと思う。
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