クラシック音楽は素敵だ!!

クラシック音楽は素敵だ!!

2004年ベストディスク

<2004年ベストディスク>



毎年恒例「レコード芸術」誌のリーダース・チョイスに応募するのと同時に、このコーナーを作成しました。12月10日までの段階で今年購入したCD・DVD144枚から私の独断と偏見でベストテンを選出しています。相変わらず交響曲が多いのですが、購入しているCDの七割が交響曲ですので仕方がないかな、と思っております。なにかしらの鑑賞のご参考にしていただければ幸いです。


<ベストテン 候補ディスク一覧>


1.ピアノ協奏曲第1番/第2番 RACHMANINOV.S
2.交響曲第10番 MAHLER.G
3.交響曲全集 SCHUMANN.R
4.交響曲第5番/第9番 SHOSTAKOVICH.D
5.アルプス交響曲/死と変容 STRAUSS.R
6.春かっこうの鳴き声を聴いて他 DELIUS.F
7.交響曲第5番 MAHLER.G
8.交響曲全集 SCHUMANN.R
9.交響曲第6番「悲愴」 TCHAIKOVSKY.P
10.幻想交響曲 BERLIOZ.H
11.神風協奏曲/交響曲第3番 大澤寿人
12.交響曲第1番/ユリウス・カエサル序曲 ROTT.H
13.チェロ協奏曲「ケンタウルス・ユニット」/鳥達の時代 吉松隆
14.弦楽器、打楽器とチェレスタのための音楽 BARTOK.B
15.交響曲第2番「復活」 MAHLER.G
16.交響曲第3番「英雄」 BEETHOVEN.L.V
17.交響曲第7番 BRUCKNER.A
18.ヨーヨー・マ プレイズ・モリコーネ MORRICONE.E
19.交響曲第6番「悲愴」 TCHAIKOVSKY.P
20.交響曲第4番/コリオラン序曲 BRAHMS.J
21.シンフォニア・タプカーラ/SF交響ファンタジー第1番 伊福部昭





<第1位>

シューマン:交響曲全集 ジンマン指揮/チューリッヒ・トーンハレ管弦楽団

Zinman
ジンマン/シューマン:交響曲全集
ARTE NOVA 82876-57743-2 1100円


 『すごい演奏です。今までの幾多のシューマン演奏とは音の響きが全く違う新解釈の登場。ナチュラル・ホルン&トランペット、バロック・トロンボーンを使用するプライトコプフ新全集版を使用し、作曲当時の演奏様式により近い響きを実現しています。「当時の様式」というと薄くて平板な響きを想像する方もいるかもしれませんが、その想像は見事に裏切られます。颯爽として軽やかな音の流れの中に、野性的ともいえるまるでドラムのようなティンパニの連打に心底驚かされます。』(4月のCD評より)

 結局このときの衝撃がそのまま持続し、今年購入したディスクの中でダントツのベストワンとなりました。とにかく溌剌・颯爽としてエネルギッシュなシューマンに出会えます。今までの彼のイメージが根底から覆されました。価格も大変インパクトのあるものでした。


こちらは最新録音ながら、古き良き演奏スタイルのバレンボイム盤
これもなかなかいいですよ。
バレンボイム/シューマン:交響曲全集
バレンボイム/シューマン:交響曲全集







<第2位>

ブルックナー:交響曲第7番 小澤征爾指揮/サイトウ・キネン・オーケストラ


2003年9月10日、長野県松本文化会館でのライヴ録音
PHILIPS UCCP-1093 2548円


 『ようやくというべきか、満を持してというべきか、小澤征爾初のブルックナーが登場した。来年は70歳を迎える巨匠にとって初のアルバムというのだから驚く。
 私は小澤征爾という指揮者の特質は後期ロマン派演奏にあると思っている。特にマーラーやドビュッシー、ラヴェル、プロコイエフ、武満など近代に近ければ近いほど、膨大複雑な楽譜の処理が抜群に上手く、安心して聴けるのだ。それに対してベートーヴェンは今ひとつ。あれほどの人が、ベートーヴェンの演奏にはなにかためらいがあるような気がしてならない。
 ブルックナーは時代的には後期ロマン派だが、中身は決してそうではなく、神に音楽を捧げるような、静謐な祈りを表すような音楽だ。オケを果敢にドライブするのではなく、自然な歩みの如く滔々と鳴らしていかなければならない』(8月のCD評より)

 日本を代表する巨匠初のブルックナーは、ひたすら美しく、あくまで小澤流を貫いた演奏でした。その馥郁とした響きに敬意を表し、第二位とさせていただきました。 







<第3位>

ブラームス:交響曲第4番(DVD) クライバー指揮/バイエルンSO

Kleiber
ブラームス:交響曲第4番 ホ短調 作品98/交響曲第33番 変ロ長調 K.319
1996年10月録音
DG 73-4017 2500円


 『そしてブラームスの4番。劇的で構築力の強い演奏。第一楽章の出だしのふわっとした入り方から次第にオケの機能が全開になっていく箇所の振幅の幅が大きく、丹念な練習の後が伺える。第一楽章終結部の一糸乱れぬ盛り上がりも素晴らしい。
 今回の演奏と、80年の録音と比較して目立つのは、かなり演奏がゆっくりになっていること。中間楽章はほとんど差異がないが、第一楽章で3分弱、終楽章でも3分遅い。今回の演奏の46分というのは他の指揮者と比べても平均的な演奏時間だが、80年の録音を聞き慣れているとおやっと思う箇所が随所にある。
 特に最終楽章。緩急の付け方がとてつもなく大きいのは彼の最大の特徴だが、パッサカリアの主題の陰と陽の振り分け方、特に今回は陽の部分の美しさ、謳わせ方に思わず唸らせられた』(11月のCD評より)

 今年7月の逝去は、全世界のファンに深い悲しみを与えました。これからも追悼盤の類は色々出てくるかもしれませんが、このブラームスは往年のクライバーの勇姿を彷彿させてくれるに十分なものです。


こちらは80年録音、不滅の名盤です。
【音楽CD】ブラームス:交響曲 第4番 ホ短調 作品98
【音楽CD】ブラームス:交響曲 第4番 ホ短調 作品98






<第4位>

チャイコフスキー:交響曲第6番「悲愴」 ムラヴィンスキー指揮/レニングラードPO


1975年来日演奏
ALT 059 2500円


 『1975年来日時の実況録音。まさにムラヴィンスキー/レニングラード・フィルコンビ絶頂時の記録。同コンビによる「悲愴」演奏は現在6種類が確認されているが、決定版と誉れ高い60年録音(DG)を凌駕する、恐ろしいほどの気迫に満ち、圧倒的な演奏技術をみせつける演奏。
ステレオ録音として申し分なく、あらゆる「悲愴」の録音の中で必ずや上位に来るであろう偉大な魂の記録。まるで荒野に屹立する巨人を仰ぎ見るようだ。私のベスト盤はカラヤン/ウイーン・フィルだが、その地位が揺らぐほどの衝撃を受けた一枚』(7月のCD評より)

 今聴き直しても、その圧倒的な、恐ろしいまでの気迫に戦慄させられる録音。あまりにも厳しすぎて、この演奏が「悲愴」という曲の最良の解釈かどうかまで断定は出来ないが、ある方向の極限の姿だと云うことは出来る。12月に聴いたゲルギエフのなんとも意味不明瞭な演奏を鼻で笑うような、孤高の演奏に敬意を込めて、第四位とさせていただきました。








<第5位>

大澤壽人:「神風協奏曲」 ヤブロンスキー指揮/モスクワフィル

KAMIKAZE
2003年録音
NAXOS 8.557416J   980円


 『これは凄い曲だ!こんな曲が今まで眠っていたなんて信じられない!!
 どこをどう聴いても1930年代の作品とは到底思えない。それどころか、日本人の作曲に拠るものだとも思えないのだ。大澤の作品はあまりにも当時の日本には早すぎた。1953年の急逝により全く忘れられた存在になっていたのはともかくとして、当時の日本人の第一人者達である山田耕作、橋本国彦、貴志康一らの音楽とあまりにかけ離れている。大澤は単身渡欧し独学でクラシックを学んだが、クラシック音楽の土台がまだ築かれていないわが国に、いきなりプロコイエフやストラヴィンスキーの音楽が上陸しても理解されるはずがなかった。早すぎた天才の音楽を是非お聴きいただきたい。
 ちなみに「神風協奏曲」の「神風」は、1937年に東京~ロンドン間を飛んだ「神風号」(朝日新聞社)を指すのであり、1944年以降に吹き荒れた特攻としての神風とはなんら関係がないことを記しておきたい』(7月のCD評より)

 これは衝撃的なディスクだった。なにしろ作曲者名を聴かなければ日本人とは思えない。この時代の日本人作曲家の作品は、皆非常に分かり易い、日本人独特の旋律を多用するのだが、大澤にはそれが殆どないのだ。早すぎた天才の偉業に敬意を込めて。








<第6位>

吉松隆:チェロ協奏曲「ケンタウルス・ユニット」 藤岡幸夫指揮/BBCフィル


2004年録音
CHANDOS CHAN10202   2180円


 『昨年発売された交響曲第5番のあと、ほぼ一年ぶりの新曲発売。今回はチェロ協奏曲がメインのアルバム。副題の「ケンタウロス・ユニット」とは、チェロ奏者を半人半馬の神、ケンタウルスに見立て、その神が奏でる音楽、というもの。第一楽章こそ従来の吉松作品よりも複雑な構成に聴こえるが、第二楽章の例えようもない美しさはまさに吉松節そのもの。深刻な音楽では決してないが、吉松のレパートリーにまた素晴らしい一曲が加わった』(6月のCD評より)

 もはや現代日本を代表する作曲家となった吉松隆。このチェロ協奏曲では、東西の音楽が出会い、融合していく様を美しく描いていく。今年はこのディスクだけだったが、来年は幾つかの新作発表が予定されている。ますます活躍が楽しみだ。







<第7位>

マーラー:交響曲第10番(バルシャイ編) バルシャイ指揮/ユンゲ・ドイチェPO

Barshai
2003年録音
BRILLANT 92205    1500円


 この10番は「バルシャイ版」と銘打っているとおり、実に17種類に及ぶ打楽器群が特に第2・3楽章で使用されている。ベースには当然クック版があるが、とにかく両スケルツオ楽章に工夫が凝らされ、興味深い仕上がりになっている。数年前のラトル/BPOの録音では、あまりの透明な弦楽合奏のような音作りに驚かされたが、このバルシャイ版は全く異なるアプローチでこの曲の未知なる部分に光を当てている。10番は、まだまだ様々な演奏様式が出てくる余地があるということなのだろうか。








<第8位>

エルガー:ヴァイオリン協奏曲 デイヴィス指揮/ハーン(Vn)/ロンドンSO

ElgarVn
デイヴィス(コリン)/エルガー:ヴァイオリン協奏曲
2003年録音
DG UCCG-1196 2548円


 『若干25歳のヒラリー・ハーン、初のエルガー。恐るべき才能、驚嘆すべき美音の持ち主だ。
エルガーの音楽は、過ぎ去りし大英帝国の独特の高貴な雰囲気をまとっている。それ故にその演奏はテクニック的に十分に余裕を持ち、かつ気品のある演奏でなければならない。な~んて書くのは簡単だが、実際にどの演奏に気品があるのか無いのかは、結構数をこなして聴いてみるしかないのだ。でも、今回の演奏は、初めてこの協奏曲を聴く人に、そうした気品と典雅な雰囲気を感じさせてくれると思う。ハーンの貫禄さえ感じさせるソロに、ツボを押さえきったデイヴィスの指揮。この曲の新たな名盤の誕生だ。カップリングのヴォーン・ウイリアムスの「あげひばり」も大変美しい演奏。録音も秀逸』(9月のCD評より)


実は聴く前は、「まだまだこの曲を弾くには早いんじゃないの?」なんてタカをくくっていたのに、聴き始めたらこれがなかなかいい。CD評にも書いたが、エルガーの曲はどれもある種の余裕というか、高貴な雰囲気が要求される。それがあるか無いかで出来が全く違うのだ。その点このディスクは、デイヴィスの円熟したサポートの御陰で大変美しい録音に仕上がっている。ハーンの美音も申し分ない。








<第9位>

R.シュトラウス:交響詩「死と変容」 クナッパーブッシュ指揮/ウイーン・フィル

Knappertsbush
1958年録音(モノラル)
ALT 074  2200円


私はクナ信者ではないので彼の演奏は数枚しか持っていないのだが、この「死と変容」には鳥肌が立った。クナの指揮はスケールがとてつもなく大きく、ウイーン・フィルの集中力も際だって高い。モノラル録音だが、弦の唸るような音までハッキリと聞こえ、この曲の持つ迫力が十全に再現されているのだ。4位に入れたムラヴィンスキーといいこのクナといい、聴衆をたじろがせるような気迫のある演奏は、現代の指揮者からは絶対に聴けなくなってしまったものだ。その迫力に敬意を表して。








<第10位>

伊福部昭:シンフォニア・タプカーラ他 ヤブロンスキー指揮/モスクワ・フィル

伊福部昭
2004年録音
NAXOS 8.557587J


 『今回のこの伊福部作品集は、アイヌ舞踊のたくましさと優美さをテーマにした「インフォニア・タプカーラ」、ある主題を狂おしいまでに繰り返し(オスティナータとは反復する、の意)、聴衆を熱狂の渦に巻き込む「ピアノと管弦楽のためのリトミカ・オスティナータ」、そしてもはや伊福部の代名詞となっている「SF交響ファンタジー第1番(ゴジラのテーマ)」の三曲が収録されている。いずれの演奏も素晴らしいが、とりわけ「リドミカ・オスティナータ」はピアノを弾く方が聴くと大変興味深い曲ではなかろうか。
 そして忘れてはならないのが毎回の解説を担当している片山杜秀氏の、非常に詳細なライナー・ノーツ。毎回その博識と探求心には舌を巻くばかりだが、今回そのおかげで伊福部家のルーツは遙か7世紀の大和朝廷時代まで遡れることを知った。だとすれば、日本人の魂を揺さぶる原始のリズムが伊福部氏から生まれ出るのも不思議ではない、と改めて納得できた。
 それにしても、これ程のすごい内容のCDがHMVで僅か890円で売っているのは本当に驚きである』(12月4日の日記より)

 上記にもある通り、「ピアノと管弦楽のためのリトミカ・オスティナータ」の演奏が特に素晴らしいのだが、とにかくこの「日本人作曲家シリーズ」の刊行はまさにNAXOSの偉業と言っても過言ではない充実度だ。大澤壽人の時も驚いたが、「こんな人がいたのか!?」と驚く内容のCDが続々登場してくるのだからファンにはたまらない。とにかく新しい発見を与えてくれるNAXOS・演奏者・片山氏に敬意を表して。







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