クラシック音楽は素敵だ!!

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ワーグナー親子の交響曲

<知られざる名交響曲・4>




ワーグナー親子 の楽劇やオペラには多くのクラシックファンが親しんでいるが、交響曲を聴いたことがある方はきっと多くはないだろう。

さだまさし の何かの歌で(題名は忘れてしまいましたが)「あなたがワーグナーのシンフォニーを聴いたとき」というフレーズがあるのだが、私も高校生の頃は「ったくさだまさしもアホや、ワーグナーは交響曲なんて作曲しとらんわい!」と思っておりました。

 さだまさしが歌詞に書いた「ワーグナーのシンフォニー」が実は楽劇を指していたのかどうかはさておき、あの大ワーグナーの唯一の交響曲(ハ長調)は19歳の若書き作品である。

まだオペラも楽劇も書いておらず、ようやく作曲家になろうと決心を固めた頃、1832年の作品。殆ど知られておらず、世間的にはあくまで習作、ということになっているらしいがこれがなんとも 溌剌として良い曲 なのだ。

 第一楽章の荘重な開始。まるでベートーヴェンの7番のようにゆっくり始まり、分厚い管弦楽が神秘的で威厳のある旋律を形作る。第二楽章の落ちついて美しいメロディーは、とても19歳の作品とは思えない、成熟した音楽になっている。躍動感に満ちた第三楽章、そして第四楽章は堂々として輝かしいフィナーレ。シューベルトの影響を感じさせる。

ああ、何故ワーグナーはこれしか交響曲を書かなかったのだろう!(第二番は第一楽章しか完成せず、破棄されたと言われている)きっと素晴らしいシンフォニストになっただろうに・・・まぁでも世の中的には、楽劇を創始しただけでも十分な功績なのだろう。


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ワーグナー:交響曲ハ長調/ジークフリート牧歌




 そして息子 ジークフリート・ワーグナー のこれまた唯一の交響曲ハ調。こちらはお父様のような唯我独尊、傲岸不遜さは全くない、非常に真摯な作品。それでも父譲りの堂々とした押し出しが効果的な第一楽章。父との違いは荘重な中にも、時代に対する不安が見え隠れするところだろうか。

 この曲が作曲された1925年は、なんとすでに政権掌握前のアドルフ・ヒトラーがヴァンフリート館を訪れ、早くも ワーグナー音楽の神聖化を宣言 し始めた不穏な年だった。

後にワーグナー家に強烈な禍根を残す悪魔と、知ってか知らずかその悪魔に惹かれていく妻 ヴィニフレッド への底知れない不安感、そして混乱の極みにあったワイマール時代への漠然とした焦燥感がこの曲を覆っている、と感じるのは私だけだろうか?

 父の交響曲の魅力が推進力に溢れる両端楽章に有るとするならば、息子の魅力はゆったりとした緩徐楽章、 特に第二楽章にある 。祈りと不安、光と闇がが交錯するような、独特の魅力を持つこの楽章を、ジークフリートは27年に書き直している。この改作版も美しくメランコリックで大変素敵だ。

 そして荒れ狂う嵐を突いて前進する最終楽章、暗い天空から一条の光が差し、やがてそれはまばゆい輝きとなって 堂々と全曲を締めくくる。この終結部のなんと輝かしいことか。

 これはロマン派の終焉を飾る、偉大なる父に抗した(凡庸なる)息子の生きた証だ。ヒトラーとナチを終生嫌っていた生真面目な男の偉大な作品を是非一度聴いてみていただきたい。才能では父に敵わずとも、この交響曲は素晴らしい作品だ。



父と違ってまじめそうな息子さんですね
S.Wagner




残念ながら楽天には有りませんでした・・・ 
S.WagnerSym
V.A.アルベルト指揮/ラインラント・プファルツ交響楽団
CPO  999 531-2




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