Привет с России

【音の無い世界 その6】




Букварь


いずれまた画像UPして紹介するつもりだが、聾学校の校長から頂いたこのソ連時代に使用していた教科書の見開きには指文字の一覧表が載っていた。図書館で本を検索以降、いつまで経っても手話に関する情報が集まらず、毎日テレビのニュースで時折現れる手話通訳を見、また教科書の指文字一覧表を眺めては自分なりに「これはこういう向きで指を曲げれば良いのかな?」と指文字を不完全ながら覚えようとしていた。実はこの教科書を校長から頂いた際に「最初はしっかりこの表を見ながら指文字を覚えなさい」と言われ、その場で一通りのアルファベットをマンツーマンでレッスンしてもらっていたのだが、やはり学校訪問から何日も経てば人の記憶も曖昧になってくるものだ。それに「世界の国からこんにちは♪」スピーチをやった直後の指文字レッスンだったもので緊張しており、折角校長が教えて下さったのにあまり頭に入らなかったのだ。



周囲の友人達も「Ю者が何かやろうとしている」と見守っていた。だが手話の情報はその後もなにも入ってこなかった。



そして暫く経った翌年のある日。
友人達との集まりに出かけた際、Ю者が家に帰ろうと出先で帰り支度を始めていると突然一人の人が近くへ寄ってきた。


・・・・・・

Ю者:???


・・・・・・

Ю者:???


しばしお互いの顔を見たままこんな状態が続いた。その人はただ黙って何も言わずに立っていたのだった。ん?なんだろう、この人。何か用があるんじゃないのかな? そう思っていたところへ友人の一人が寄ってきてこう言った。 「Ю者、この人知ってる? 聾者のイワン(仮名)だよ」


え?????


一瞬我が耳を疑った。聾者のイワンだって今言ったよな。聾者。。。
ハッ!!!! な、何か言わなくちゃ!! えぇ~~と・・・・・・
気は焦るが何も出てこない。日本手話で何か、そう自己紹介でもしようかと思ったのだが、今まで通りで出会った聾者達とのやり取りを思い起こしてよく考えると言語が違うので彼には通じないはずだ。なんともどかしい、いや、とにかく何でもいいから話すんだ!! えぇぇぇ~~~ぃっ……


そう思い、とにかく手をバタバタさせながらイワンに話しかけた。彼は読唇術を身につけているようで、どうやらこちらの口の動きを見てЮ者が何を言おうとしているのか分かっているようだった。自分なりに部屋で一人で覚えた指文字を思い出しながら自己紹介をしてみた。(あぁ、やっぱりね。イワンが顔をしかめている。指文字が不正確だから何の事か解り辛いんだな)次に、これまで路上で出会った聾者達との会話に用いたのと同様、彼にも筆談で話をする事にした。そこで自己紹介をし、自分が聾者にこの街で沢山会うので手話を学びたいと思っていた事や、彼らが休みの日によく集まる場所を教えてもらっているのだが郊外なので遠過ぎてЮ者は自力ではとても行く事が出来ない事、日本での聾者や手話の普及している様子など伝えた。そうすると彼は私がサッパリわからない手話で何か言っている。(???それじゃぁЮ者にはまだわからんぞー!!)


じっと彼の顔を見、口の動きと手の動きを見、更に分からないので側で傍観していた友人にも会話に加わってもらい、彼の聞き取りにくい発声によるメッセージを聞いてもらうとこうだった。




「ここではなんだから、場所を移して家で話そうよ」




だった。
そこでルームメイトのヴィクトリヤと相談し、我々の家の地図をイワンに渡して後日来てもらう事にした。道行くたびに聾唖者に出会い、手話の情報を求めて1年以上が経過していた。やっと腰を落ち着けてじっくり話の出来そうな聾者が自分の方からЮ者を訪ねて来てくれたのだ。嬉しさと緊張で心臓がドキドキしていた。



・・・続く。


本の中その2

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