【愛の接吻】



2人の距離を縮める
うめるように
あいさつの意味を持ち
少しはじらい 
ためらい

お互いを知るための手段としての
2人がもっと近づくためのキス
今この空間には2人しかいない

2人は静かに優しいキスを交わしたあと
お互いの瞳を覗き込む
思わず笑みがこぼれる
この微笑みはお互いを次のプロセスへのサインとなる

2人の顔が近づき
先ほどとは異なる種類のキスがはじまる
2人の口づけは次第に激しくなり
恥じらいは消えていく

それと引き換えに
強い欲情が首をもたげてくる
お互いの手がお互いの体をまさぐりあう

体温を感じ
お互いの手は相手の胸をさすり
柔軟でかつしなやかな張りのある胸を感じる

しかし体を包む薄い衣服でさえ
お互いを阻む壁のように感じる
もっと近くに感じたいと
お互いに着ているものを剥ぎ取っていく

興奮によるものなのか
思うように剥ぎ取れず
少しぎこちない動きとなってしまう

それを補うかのように体をくねらせ
一刻も早く全身で相手の体温が感じれる形へと急ぐ
やがてまとうものもなくなり
肌と肌をさえぎるものはなく
あつくなった体の熱は直接つたわっていく

しっとりと濡れた唇が唇から首筋へ下り
しなやかな体を味わうかのように
上半身をさまよい
さらに下へ動く
やがてその唇は
胸の秘点をさぐりあてる

相手から甘美な声がもれ出る
もれ出たその声をきき
さらに大きな声を・・・と
その秘点を執拗にせめる
歓喜にあふれ、さらに声が大きくなる

2人の体は
無防備に体をあずけ
その快楽をむさぼる時間と
自ら何かの使命に駆られたように
相手の声がもれ出る箇所を探す

時間をはかり
バランスをとるかのように
交互に別の役割を演じ
演じ替わるごとに
さらに体は快楽の発見をさらけだし
さらに
深い深い快楽の闇へとはまっていく

その闇はとても深く広く暖かく
底についたかと思った瞬間に
また更に深さを増し
ほんの限られた時間であるのにもかかわらず
永遠の予感をさせる
永遠のこの深さを
2人はどこまでも落ちていきたい
続けていきたいと切に思い
それでいて無意識にこの快楽の淵はやがて終焉を迎えることを知っている

力強くつかむ
やさしくつつむ
なでる
体にふれる柔らかい髪
汗に湿るやわらかい肌
すべてを含みこむくちびる
あつい体温
さわやかな体臭
いとしさを感じる重さ
あふれる悦びの声

そして2人は体のすべての快楽を感じ尽くし
やがて自分の中にやってくる
大きな、しかし はかない瞬間の到来が
まじかであることを体で感じ
そしてその最大の悦びを迎えたとき
それが、この快楽の淵から放り出されるときでもあることを
この頂点が
また2人の分岐点でもあることも
2人は知っている

もうすこし
もうすこし
2人はその到来を引き伸ばそうとするが
引き伸ばそうとすればするほど
皮肉なことに
その波を
より早く導いてしまう

やがて
その大きく はかない瞬間は 無情にも
微妙に時間をずらしながらも
2人に平等に訪れ。。。

はかない夢の世界から戻ってきた2人は
何か言おうとするが
どんな言葉も
この場に意味のなくふさわしくないもののように・・・

ふたりのあいだでは
言葉は意味もなく・・・

信頼と深い愛

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