実兄のこと



そんな兄は大学進学を機に家を出、下宿生活へ。あの極端な清潔好きも男一人の下宿生活では続くまいと親は見ていたようだが、なんの、なんの、40半ば過ぎた今も続いてる。

兄が大学卒業の際、父は強く公務員へ進路を定めるように勧めたが、その衝突は凄まじいものがあった。兄は姉ほど、口が立たない、ただ、当時の兄は、怒ると何も言わなくなる、それも何日も。兄の言い分としては、
「公務員は自分の営業成績に関わらず、成績が良くても悪くても給与が保障されている、そうではなく、自分の働いたことに見あう報酬を得られるような働き方をしたい、そのためにも絶対に民間企業へ行く」
しかし、父は
「世の中、そうそう甘いものではない、男は結婚して一家を養っていかねばならない、奥さんになる人もパートに出るかもしれない。それも結構、しかし、礎となる亭主の収入が景気に左右されるようでは、誰が苦労するって後々のお前の奥さんが一番苦労するんだ、そうならない為にも公務員へなれ」
この喧嘩、当時、小学生だった私は、毎日、ドラマのように見てました。

兄は、大学卒業と同時に、大手家電メーカーに就職し、まぁた転勤というぐらい転勤を繰り返し、こう転勤多くちゃ、結婚相手も探せないでしょう、って言ってた矢先、転勤先で入居してた寮の近くに理容店に勤めてた理容師の女性とめでたくゴールイン。
その後、女の子と男の子を一人ずつ生んでます。

この兄嫁、まぁうちのお母ちゃんによく性格が似てる。男って母親に似る女性を見つけるのかな?ってその時は思いましたね。実姉とは全然タイプの違う義姉だけど、姉ともすごく仲いいし、たまに帰って来ても、キャアキャア笑いながら、二人で台所やってるし、なんていうかな、心根の優しい人なんですんよね。

姉が春に入院したとき、兄貴は仕事があってすぐは来れなかったけど、兄嫁は翌日の夕方には飛行機で飛んで来てくれて、子供達は?って聞いたら、
社宅の仲のいい奥さんに頼んできた、旦那の妹が倒れたから帰るからって預けてきた、って、なんかその気持ちが嬉しかったですね。

そんな兄貴のところも、来年は転勤らしい。

父が公務員で転勤が多かったんです。兄が高校はいる頃には、単身赴任してたけど、2,3年で転勤すること多かったんで、転校はイヤだねって兄弟で話してたのに、結局、兄貴も転勤族。

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