ワマチャンの介護Work。

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泌尿器系の異常



◆原因◆
 1日の尿量は成人男性でおよそ1,500ミリリットル、女性で1,200ミリリットルです。膀胱には約300ミリリットルたまります。尿の回数は1日普通5、6回です。尿は膀胱の筋肉が収縮すると同時に、尿道の拡張がスムーズに行われて排出されるのですが、高齢になるとこの協調機能がうまくいかなくなって、尿が出にくいということが生じてきます。
 膀胱内に尿が多量にたまって尿意はあるのに、腹に力をいれても出にくい場合(遷延性排尿)や、出ても勢いがなくだらだらとして時間がかかり、途中で尿が止まりがちのときをあわせて排尿困難といいます。後者の代表的なものが高齢の男性に特有な前立腺肥大症という病気です。
 次に、膀胱を支配する神経に障害がある場合は、膀胱を圧迫しないと尿が出にくくなります。これは神経因性膀胱といいます。また、薬物で尿が出にくくなることもあります。

◆考えられる病気◆
(1)通過障害による排尿困難の場合
 前立腺肥大症は、膀胱の下の前立腺の内側にある尿道を包んでいる内腺という部分が肥大して尿道を圧迫する病気で、尿の勢いがなく細くなったり、排尿に時間がかかります。また、前立腺肥大症以外の尿路の通過障害により生じてくる排尿困難は、前立腺結石、前立腺がん、尿道狭窄、膀胱頚部硬化症、膀胱憩室、膀胱腫などでよく起きます。
(2)神経因性膀胱の場合
 交通事故や脳卒中後遺症の患者さんや、糖尿病、梅毒、直腸がん、子宮がんの手術後などでも起こりやすくなります。

◆対応と注意点◆
 病的な原因以外では、飲酒後に排尿を我慢したあとや長時間座ったあとなどにも比較的多いので、アルコールの飲みすぎや長時間座りすぎないようにします。また、かぜ薬や腹痛の薬、睡眠薬などで尿が出なくなるときもありますので注意してください。朝の尿が30分以上かかるとその疑いがあります。
 ついに尿がまったく出なくなる(尿閉)と、激しい痛みを伴ってきます。このときの救急処置としては医師が導尿という尿道から膀胱へカテーテルというゴム管を挿入して、たまっている尿を出す処置を病院で行うことになりますが、救急車をよぶまえに家庭で試みる方法があります。まず水道を流してその音を聞かせる。これだけで出る場合があります。また、お風呂にはいってもらってそのなかで排尿を行うと比較的出やすくなります。
 しかし、長期にわたって排尿困難状態を放置しておくと、残尿となり膀胱炎や腎盂炎、水腎症にまで悪化する場合があります。残尿の検査も受けておくことをおすすめします。尿が出にくくなって血尿が混じるような場合は、がんの疑いがもたれます。恥ずかしがらずに直腸内触診(肛門より前立腺部を指で調べる方法)を受けてください。腎盂造影検査、逆行性尿道膀胱検査、超音波(エコー)検査やCT検査、さらに膀胱鏡検査もあります。
 神経因性膀胱の特徴は、尿が出にくくなるのと同時に失禁も併発することです(「失禁」の項参照)。尿路感染症が併発しやすくなりますので注意が必要です。
 また、老人になると夜間の尿の回数が多くなりがちです。夜間2回以上は睡眠の妨げともなるので治療を受けたほうがよいでしょう。


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