作 クォン・ジョンソン 絵 チョン・スンガク
似たような話ですが
韓国フレーベルのベイビースクールシリーズに
「牛のうんちくん、どこにいったの?」
という絵本があって、
私はそちらの方がお気に入りです。
*****それでは*****
「ソットンア! オディカンニ!?」翻訳;とぶわに(アセ)
「モオーー」
「サクッ、サクッ」
大きな牛が歩きながら、道の上に何かを落としていきました。
「これなに?」
道端の草たちが目をまんまるくしていいました。
「ああ、くさい!」
「・・・うんちだ!」
「ちがうよ。・・・ぼくだよ」
牛のうんちがうれしそうにいいました。
「きのうまで君たちといっしょにいた草だよ!」
「ああ、きのう牛に食べられたあの草かあ
けれどもきみはもうぼくたちとはちがうんだ」
草たちは青い葉っぱをふりました。
牛のうんちは自分の姿をふりかえりました。
「・・・ほんとうだ。
ぼくにはもう
朝露を結ぶ葉もなければ、風に吹かれておどる枝もないんだ」
「ああ、くさい!
どうして僕たちのとなりに落ちてくるんだ!」
草の友達はみんな顔を背けました。
牛のうんちは、とてもさびしかった・・・・
ある時、おひさまが牛のうんちをやさしくなぜながら言いました。
「なかないで、
わたしがあの牛に力を与えました。
おまえは草たちには、できないような仕事をするでしょう
与えたい心を忘れなければ・・・」
しばらくして、黄金虫がとんできました。
黄金虫はやわらかい羽をたたみ、道におりたちました。
ぴかぴか光る丈夫な外羽が、それは美しく輝きました。
「ようこそ!」
草たちが背伸びをして、口をそろえていいました。
けれども黄金虫はそんな草たちに目もくれず
牛のうんちに近寄っていきました。
「あのう・・・無事にあかちゃんを産めるように私を助けてくれませんか?」
牛のうんちは真っ赤になりました。
「ぼくは臭い牛のうんちなのですよ
あなたのような美しい方のあかちゃんを育てるなんて
ふさわしくありません」
「すてきな黄金虫さん、あかちゃんは私達にまかせてください。
私たちは薫り高い草ですよ
朝露を結ぶ事もできるし
風に乗ってダンスする事もできます。
ですから、あかちゃんはわたしたちにまかせてください」
草たちは手を振りながら黄金虫を呼び続けます。
「いいえ、あかちゃんはこの方にお願いしますわ。
この方には、分け与える心があるからです」
黄金虫はあかちゃんになる卵を
牛のうんちにあずけて、また飛び立っていきました。
なんにちかたちました。
あたたかな牛のうんちのなかで
ひとつ、ふたつ
卵がかえります。
黄金虫の幼虫はうんちを食べて
すくすくとそだっていきました。
真っ青な空がまぶしいくらいのある日、
黄金虫の赤ちゃんたちはきらきら輝く羽をひろげて
空に飛び立っていきました。
牛のうんちがあった場所には
もうなにも残っていませんでした。
「牛のうんちっだった草くん、
どこにいっちゃたの?」
道端の草たちは叫びました。
「ぼくかい?
こうやってお空を飛んでいるじゃない?」
空からそんな返事が聞こえてきました。
おしまい