少し大人になったかな。

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左手首内側。
赤い傷跡
黒い傷跡
まだ血が出てる傷跡
ここに残る全ての傷が私の全てかもしれない
そう、私の全て。
友達が怖くなったとき
彼氏とけんかしたとき
人に嫌われたとき
親とけんかしたとき
自分が嫌いになる度手首に傷が入り私の証となった
私は血が好きになった
そのかわり私は自分が怖くなった
狂ってる自分に気づいた
けど程よく麻痺してた。感覚も感情も。
それがまた快感になった
切れる幸せを知った
切られる痛みも知った
心の空白を埋める術を知った
痛くない
痛くない
心は痛くない
痛いのは手首だけ
私は私を確認するためにことある毎に左手首内側を見るようになった。そして安心した。自分を見つけた。
いつからこんな暗い子になってしまったのか。
なかなか子どもができなかった両親の間に生まれた待望の第一子。それが私だった。
両親、祖父、祖母の愛情を独り占めしてすくすく育った。私立の幼稚園に入った。神父様が大好き、シスターが大好き、先生が大好きだった。
「愛実ちゃんは明るいね」
そう言われるのが嬉しかった。私は幸せだったはず。
小学校入学前に引越しした。そして入学。周りは全然知らない子。担任が驚くほど早くクラスに馴染んで行った。あの頃も幸せだった。
決して愉しく無かったはずの小学校高学年。別に自分を不幸だと思わなかった。
中学入学。愉しかった幸せだったこの学校に入ってよかった。
けど中3になると同時にどんどん私は狂ってきた。電池が切れかけた時計みたいにね。
私がおかしくなったのは手首に傷ができてからかもしれない。
けどその傷が今の私の全て。
これはこれで幸せといえる日がいつか来ることを願います。


来い来い恋


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