ポケットの中にいつも少女

ポケットの中にいつも少女

2005.07.12
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カテゴリ: 小説
毎日晴天!

 帯刀家には、事故で亡くして両親がいません。兄弟は、上から長女<人生裏街道>志麻、長男<オヤジ>大河、次男<常識人>明信、三男<暴れん坊ボクサー>丈、四男<甘えん坊将軍>真弓。
 一応志摩と大河が親代わりという事になっていますが、その凄過ぎる性格のため、実質の大黒柱は志麻一人でした。普段から居つかない姉ではあっても「志麻姉なら・志麻姉がいるから」という気持ちが家族全員の根底にあったため、辛うじて安定していたのですね。ところが、志麻の失踪によりその大黒柱がなくなった。既に独り立ちできるだけ成長しているにもかかわらず、以前両親をなくした記憶を持ち合わせているがゆえに、彼らはパニックを起こします。
 そのままなら家庭崩壊に至るところで歯止めになったのが、志麻の夫として帯刀家に入っていた秀と自分で今の家族を選んだ勇太です。
 実は、こちらも親のない阿蘇芳秀。ですが、彼らの決定的な違いは、秀にははじめから親という存在がいなかったことです。
 在るべき存在の喪失に過剰なまでの反応をする帯刀兄弟と、はじめから何も持たないために、手に入れたものを無くす事を当然と受けとめる秀は、互いに別の意味で歪んでるんですけどね、それを上手いこと補い合って、また一つ新たな家族を作っちゃうわけです。
 ああもうこれツボ!血の繋がらない家族にただでさえ弱いのに、キャラクターはみんな個性的だし、テーマとしては重いのに、会話の軽妙さにどんどん読み進んじゃいます。
 個人的には、オッサンな大河が好きですね。アロハパンツの股間をボリボリしちゃったり、猿股に不精ヒゲでウロウロしたり、末っ子を溺愛しちゃったりと26才少女小説の主役とは思えないオヤジくささに胸キュン(笑)ちゃんとカッコイイとこもありますが。
 他の兄弟については、丈以外は続巻で主役を張っているようなので、その時に。

 実は、丈と勇太がくっつくんだと思っていた私…そりゃねーですよね…(^◇^;)
(2000/11/03)

子供は止まらない
 毎日晴天シリーズ2。帯刀家末弟・真弓と長男大河の嫁(?)の連れ子・勇太の最年少カップルの話。

 今月の新刊でとうとう大河兄おめでとうだったと言う話を聞いて、触発されました(笑)積本より発掘。
 短編…と言うより中編集と言った方が正しいでしょうか。前巻から引っ張ってきた伏線を確認するプロローグ的な短編と、出来上がるまでと出来上がったあとの中編2本が収録されています。
 相変わらずの庶民くささがステキです(笑)

 収録2話目、2人が両思いになる話は、勇太視点でひたすら真弓と帯刀一家の不自然さを追いかけています。
 もともと家庭というのは、他所の人から見たら変なものなんでしょうが、帯刀家は並外れて変わっていたところに秀(と勇太)と言う存在が加わる事で、かろうじて取っていたバランスを大きく崩す事になりました。
 そこで一番大きく歪みが出たのが、長兄・大河と末弟・真弓の関係だったんですね。
 今回真弓の過去が明らかになるんですが、その出来事によって今まで歪められていた、あるいは自ら歪めていた真弓の本当の姿を、勇太だけが見つけます。
 感情に流されているようで実は凄く冷静な勇太。彼がある意味、一番大人なんでは…と思わされましたね。

 吹っ切れた真弓と勇太は、凄く前向きです。若さゆえ、と言ってしまう事もできるかもしれませんが、秀が言うように「一緒にいるだけが楽しい」だけではないのは確かだと思うし、きっと兄たちが何を心配しているのかもよく分かっているのだと思うので、このまま頑張って欲しいですね。

 しかし、自分の事は完全に棚上げな大河兄…そんな頑固親父のように理不尽なとこが素敵('-'*)フフ
 因果応報、因果応報。
 とりあえず、ウオタツがんばれ!(爆笑)

 感想とは関係ないごく私的な事(私の場合感想も私的か…)なんですが、読後まず、本来のカップリングとずれたところでグサッとやられました。大河と真弓の兄弟関係がね、これ、ツボ以前の私の基本なんですよう~!

 かつて書き手だった頃、私の中では常に彼らが中心にあり、彼らから派生した物語のみが存在していたものです…ていうか、今もなんですけど。
 ああああ~、私が書ききれなかった世界がここにあるっ!と。
 こういうことがあるから、読書は止められないんだなあ(^.^)
(2001/07/06)

子供の言い分
 毎日晴天シリーズ3。前作に続き、帯刀家末弟・真弓と長男大河の嫁(?)の連れ子・勇太の最年少カップルの話。

 勇太と真弓がエッチに至れない理由の「子供の本分」と、勇太の疵を書いた「子供の言い分」の2話構成、あらすじはごったになってます(^◇^;)

 「子供の本分」では、青い春の暴走か?と皆に思われている、所構わずベタベタラブラブな高校生カップルの、ホントの気持ちが書かれています。
 前作感想でも、子供達はほんとはいろんな事が解ってるに違いないという旨の事を書いたのですが、その「いろんな事」を2人のすれ違いに絡めて具体的に見せてもらって、ああやっぱりねという感じでした。

 「子供の言い分」
 これは…正直、カウンターパンチ食らった気分です。
 何度も書くようですが、このシリーズが単なる恋愛物ではなく同じくらいの比重で家族の物語でもあるのだ、ということを、改めて認識しました。

 端的に言ってしまうと、血の繋がらない親子である秀と勇太がある重大な諍いでその関係を危うくした後、本当の親子としての絆を結び(あるいは自覚し)ます。
 また、その傍らで、本当の兄弟である大河と真弓が、家族としてつないだ手を離せる時期が来ている事を自覚する話なのですが…

 親、というのは、本当に人間にとっての拠って立つ礎なんですよね。愛されて育った子供は、その揺ぎ無い両親によって自分の足元を確かにし、逆に二親に恵まれなかった子供は、それ故に自らの足元を危ういものとして認識する。
 代替品として、両親以外からの愛情を注がれる場合もあるでしょうが、実の親の喪失という事実は、必ず某かの影響を与えてしまいます。
 でも、実は家族って、簡単に失われるものですよね。おまけに血なんて、思っているほど確かな繋がりでもなんでもない。
 だからこそ私は、愛情のみで繋がった血縁のない家族という関係に強烈に惹かれるのですが、今回の秀の科白に、勇太と共に「そんなんわからへん!」と駄々をこねそうになってしまいました(^^;
 それほど、秀の考え方というのは思ってもみない視点で…また、確かな説得力を持っていたのです。

 勇太の事も、ずっと大人だ大人だと思っていたけれど、彼はそうあろうと思ったわけでも周りがそうあらせようと思ったわけでもなかったにもかかわらず、そうあらねばならない環境にあった、というだけの子供だったんですよね…。
 そう考えると、よく言う「大人」ってなんなんだろうという疑問も浮かんできます。

 菅野先生の作品では、ひとつの問題、ひとりの人間に納まらない色々な事を考えさせられます。
 それでいて教訓的になったり、暗くなったりしないんだから、ほんとに凄い!

 そういえば、今回常になくきっちり恋人同士だった勇太と真弓。
 ワガママ王子のようでいて、キチンと勇太の痛みを感じ取り、突き放されても突き放されてもついて行った真弓の強さは、きっと最も勇太が欲しい物の具現でもあるんだろうと思ってみたり。
 …続編早く読もう。
(2001/08/05)


全巻持ってるのに、感想3冊しか書いてないですな。先月新刊も出て、今積読本の中にあるので、いずれまた。





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最終更新日  2005.07.12 20:37:14
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