Nij

2007.06.01
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カテゴリ: 短編小説



「どうやって君はいつも復活するんだい?」僕は訊ねた。やんわりとした光を跳ね返す夕雲が心地よかった。





「それはさ、空を見るんだよ」と彼は言って右手の人差し指を空に向けた。「今日は一日中月が見えてたね」






こんなに大きく空を仰いだのはいつ振りだろう。崩れかけたマンションとか、カラスの群れが鬱陶しかったけど、それを忘れさせるほど空は大きかった。


「空は偉大なんだよ」と彼は言った。「僕らよりももっと偉大なんだ。でも僕らはそんな偉大な空の一部なのさ。だから胸をはっていいんだよ」僕はなんだか楽しくなった。空は偉大、だ。



彼は続けた。「それでさ、空を見てると、ああ、僕は生きてるんだな、何かのために生きてるんだな、っていうふうに実感するんだよ。空は、僕にどこに行けばいいのか教えてくれるわけじゃないけれど、確実に僕らには目指す場所があることを教えてくれるんだ。だから頑張ってる。世の中から溢れちゃわないように足掻くの、って無駄なことかもしれないけれど、もしかしたら何かがあるかもしれない。そうやって、人は苦しんでいくんだよね。それで知らず知らずのうちに何かを見出すんだよ、きっと」



夕風が彼の前髪をそっと浮かせた。彼の笑顔は、空と同じ匂いがした。





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最終更新日  2007.06.01 13:11:14
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