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「Winny」の“生みの親”天才技術者の素顔




ドン・キホーテを気取るも…著作権に敗北



金子勇容疑者が助手を務める研究室から押収資料を運び出す京都府警の捜査員=11日午前10時50分、東京都文京区本郷の東大
 「体制を崩壊させる」。問題視されているファイル交換ソフト「Winny」(ウィニー)で、“お縄”になった東大大学院助手、金子勇容疑者(33)。最高学府で勤務する傍(かたわ)ら、トンデモ勘違いで夜な夜な200万人ユーザーを虜(とりこ)にする前代未聞のアングラ(地下)ソフトの発明に没頭していた。ドン・キホーテを気取り、著作権に真っ向勝負して敗北した天才技術者。その素顔は、とってもオタクな独身男だった-。



 「体制を崩壊させるには、著作権侵害を蔓延(まんえん)させるしかない」

 京都府警の調べに、イデオロギッシュな供述をしている金子容疑者が、ウィニー開発を開始したのは平成14年4月。前年11月には流行していたウィニーと同様のソフトが京都府警に摘発され、交換ソフトは「超危険」というイメージが定着していた最中だ。



 金子容疑者はネット上の巨大掲示板「2ちゃんねる」で「ファイル共有ソフトつーのを作ってみるわ」と宣言。



 直後に「匿名性を実現できるファイル共有ソフトが出てきて、現在の著作権に関する概念を変えざるを得なくなる」「自分でその流れを後押ししてみよう」などと著作権への“挑戦状”を書き込み、「2日に一度の睡眠」(金子容疑者の書き込み)で翌月にウィニーを公開した。



 ユーザーは200万人近くに膨れ上がり、無料でウィニーを公開した金子容疑者はネット上で“神様”に。金子容疑者も人気に応えるかのごとく236回もウィニーの改良を重ねる。



 金子容疑者は栃木県出身。地元の名門・県立栃木高を卒業後、茨城大工学部情報工学科に進学。その後は同大大学院の博士課程まで進む。



 大学ではコンピューターで3Dの物体を動かすオブジェクト工学を習得。「アニメボディー」と題し、パソコン上でリアルなフィギュアの少女を動かしたり、着せ替えができるオタクっぽいソフトなど続々開発、“敏腕”ぶりを見せつける。



 11年4月からは日本原子力研究所の博士研究員として、コンピューター画面の研究に携わる。研究所関係者は「極めてマジメな勤務態度だった」と振り返る。


 12年11月にIT企業へ転職。トントン拍子で14年1月には東大大学院情報理工学系研究科の特任教員として採用され、院生のソフト開発指導にあたっていた。


 現在は東京都文京区根津のワンルームマンション5階一室(家賃約8万8000円)で一人暮らし。近所の住人は「おとなしそうな感じ。あいさつしても『ウン』と頭を下げるが、声を出さない。いつも私服で学生の延長という感じだった」と、ここでもオタクっぽさをにじませる。



 栄華を誇ったウィニーと金子容疑者の転落は昨年11月。2人のウィニーユーザーが逮捕され、金子容疑者宅にも家宅捜索が入ったのだ。


 「ノート(パソコン)だけでもいいから返してもらえないと仕事に支障がでるのですが、どんなもんなんでしょうか…」



 無反省の金子容疑者は府警へのメッセージを残してサイトを閉鎖したが、ノートどころか自分自身が家に帰れないトホホな結末となった。


 世を席巻したウィニー騒動。ネットジャーナリストの森一矢氏は「ウィニーが出たころから開発者は逮捕されると思っていた。ソフト開発はとても目立つ行為なのに、この兄ちゃんは防御線を張るどころか、来るなら来いと挑戦的だった」と金子容疑者の“態度”を疑問視する。



 また森氏はウィニーの今後について「鉄壁の要塞(ようさい)の中に100万人以上の人間が悪いことしていたわけだが、そのキーマンが捕まった。それによって(ユーザー)全員がいつ逮捕されてもおかしくない状態となった。今後も定期的に警察によって“いけにえ”が摘発されるだろう」と“壊滅”を予想している。


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