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Mar 25, 2008
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カテゴリ: 漫画

ゴールデン・デイズ(第8巻)

『ゴールデン・デイズ』第1巻~第8巻、気持ちが落ち着いた処でもう一度考えながら読み返してみました。
謎の一つに「チェス盤の底の写真」が最初から貼ってあったのかと云うのがありますが、私なりに考えてみたところ、これは高尾さんがタイムパラドックスを巧みに回避した故のものだと思うのです。
光也は祖父・慶光の願った「奇跡」により大正へとタイムスリップしますが、実は「史実」も、「個人の歴史」のいずれも変えてはいないと思います。
光也が唯一「個人の歴史」に関与した部分は第43話で仁の撃った弾を常保に代わり自分が受けた事ですが、光也のじいちゃんが何よりも悔やんでいたのはこの部分です。
「殺意を持って人を撃った人間が幸福な末路を辿れるはずはない」

もし光也が仁を止めていなければ仁のその後の人生がどうなったかは神のみぞ知る、ですが、光也は「個人の歴史」そのものではなく、「その意味」を変えた事になると思います。
仁が死ぬまで幸福に生きられるように、仁の歴史の「意味」(あるいは人生の意味)だけを変えたということです。
光也が仁「個人の歴史」に介入した事により、最終話で 「この記憶があるかぎり 私はもう一生 幸福なままだろう」 と言うベルディーニ大尉(仁)の姿があるのでしょう。
光也の存在がなくとも、仁がイタリア軍人として第二次大戦に参戦する事は避けられなかったと思いますが、光也との間に「築き上げた友情の記憶」があるとないとでは従軍し戦死する仁の人生の意味は大きく違ってきます。


そして「チェス盤の底の写真」ですが、まず平成X年6月10日時点ではまだ光也のおじいちゃんは
「私にはね ずっと悔やみ続けていることがあります」 と言っています。
おそらく第8巻第45話時点で光也がチェス盤の底を注意深く見たとしても写真は存在しなかったでしょう。
平成に帰ってきてから、つまり平成X年6月10日から三日後ですが、その時に初めて光也は祖父の
「神様 時間を戻して」
と云う願いを聞き入れた事になるので、光也が「大正に生きた人々の人生に関わった事」の回答の一つとしてあの幸せな写真が「後から」現れたのでしょう。
ある意味歴としたタイムパラドックスですが、「歴史」ではなく「その意味」だけを変えた結果のタイムパラドックスです。
タイムスリップ物でどうしても避けて通ることのできない「タイムパラドックス」を逆手にとって、こんな素敵な結末を描く高尾さんの漫画家としての力量の高さを改めて感じさせられました_



透明ブックカバーはこのサイズ

透明ブックカバー☆新書版用ブックカバー(5pack)☆
透明ブックカバー☆新書版用ブックカバー(10pack)☆


ちなみにタイムパラドックスが畳みかけるように展開するので私が好きなのがフィリップ・K・ディックの『ユービック』です

ユービック


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最終更新日  Mar 25, 2008 05:08:45 PM
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