All The Things You Are

January 25, 2006
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テーマ: Jazz(2023)
カテゴリ: カテゴリ未分類
『Left Alone』(レフト・アローン)

この曲は、ビリー・ホリデイの作詞、マル・ウォルドロンの作曲によるもので、
楽曲登録は1961年になっていますが、実際に作られたのは、
マル・ウォルドロンがビリー・ホリデイの伴奏をしていた1958年頃だと思われます。
しかし、ビリー・ホリデイはこの歌をレコーデイングすることなく、
1959年7月17日に、この世を去ってしまいました。

この曲は、ビリー・ホリデイが亡くなる2年前の1957年から、亡くなる直前まで、
彼女の伴奏をしていたピアニストのマル・ウォルドロンが、
ビリー・ホリデイが死去してから1960年に彼女に捧げたアルバム『Left Alone』(レフト・アローン)で、


ビリーの鎮魂歌として出されたこのアルバムは、当時すぐにヒットしたというわけではありませんでしたが、
徐々に人気が出てきて、現在ではこの曲はマル・ウォルドロンの代表曲になりました。

日本でも、1986年にジャズメンが主人公の角川映画「キャバレー」で、
マリーンの歌ったこの曲が主題歌として使われました。
そういうことからも、この曲はジャズ・ナンバーの中では、日本で最もよく知られている曲のひとつだと言えます。

しかし、この曲は有名なわりには歌っている人が少ないもので、
それは、この曲の歌詞があまりにも悲しく寂しいもので、ビリー・ホリデイの人生そのものであるということから、
「Strange Fruit」と同じように、そうそうだれもが歌える代物ではないということだからでしょう。
下手に歌えばヤケドをしかねない怖い歌だということです。

「私の心を満たしてくれる恋人はどこにいるのかしら?
いつまでも私と一緒にいてくれる恋人はどこにいるのかしら?

私の家庭と呼べる家もなく、小さな街でも、大都会にいても、どっちにしても惨めだわ。
私は一人寂しく取り残されてしまう、一人ぼっち・・・」

歌手デビューして、名声を確立し大歌手になるものの、
人種差別に苦しみ、恋に翻弄(ほんろう)され、麻薬と酒におぼれ、
精神的にも、肉体的にもボロボロになって44年の生涯を閉じたビリー・ホリデイが、

この曲は、まさに、ビリーホリデイの悲痛の叫びが歌になったものということです。

マル・ウォルドロンのアルバム『Left Alone』の最後に、
マル・ウォルドロンと、これをプロデュースしたテディー・チャールズとのインタヴューが収録されていて、
その中で、この曲について語られています。
それでは、マルがビリーの伴奏でサンフランシスコに行ったときに、時間が数時間あまってしまったので、
その時、ビリーが曲を作ろうと言い、
それは、ビリーが自分自身の人生そのものについて歌う曲にしたいということで二人で作った曲が、
この「Left Alone」だということです。
ビリーは、この曲をステージでは歌ったそうですが、レコーディングする間もなく亡くなってしまいました。

マル・ウォルドロンは、1926年8月16日にニューヨークで生まれ、2002年に亡くなりました。

最初はアルト・サックスをやっていましたが、大学で作曲を勉強してからピアノに転向し、
1950年代から数々のジャズ史に残るレコーディングに参加しています。

1954年から1956年にかけてチャールス・ミンガスのピアニストをしました。
1957年からビリー・ホリデイが亡くなる1959年まで、彼女の伴奏を務め、
1958年11月のフランスとイタリアのヨーロッパ演奏や、
1959年2月のロンドン公演にも、一緒に行っています。

1961年から1962年には、エリック・ドルフィー、ブッカー・リトルのコンボに参加し、
ファイブ・スポットでの歴史的なライブ録音を残しました。
その後1967年にミュンヘンに移住してからは、ヨーロッパを中心に演奏活動を行ないました。

そして、特に日本での人気が高く、1986年に日本制作のアルバム『Left Alone '86』が作られ、
「レフト・アローン」が再演されました。
このアルバムの中には「ラヴァー・マン」など、ビリー・ホリデイの愛唱曲を中心に収録され、
マル・ウォルドロンが再びビリーへの万感の想いをつづった作品になっています。

*****

●レフト・アローン
Left Alone

作詞:ビリー・ホリデイ
作曲:マル・ウォルドロン
1961年


私の心を満たしてくれる恋人はどこにいるのかしら?
いつまでも私と一緒にいてくれる恋人はどこにいるのかしら?
だれもが初めは私を傷つけ、やがて見捨てていく
私は一人寂しく取り残されてしまう、一人ぼっち・・・
私の家庭と呼べる家もなく、
私が一生いたいと思うところもない
小さな街にいても、大都会にいても、
どっちにしても惨めだわ
私は一人寂しく取り残されてしまう、一人ぼっち・・・

「求めれば愛は与えらる」と、いつもみんなは言う
でも、今のところそんな風にはなっていないわ
彼が私のもとを去って行ったのは、運命のせいでしょうね
それとも、死ぬまでにはまた会えるのかしら
その時には二人の心が通じ合うわ
でも、それまで私は、一人寂しく取り残されてしまう、一人ぼっち・・・





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Last updated  January 25, 2006 10:06:21 AM
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