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「願い叶える花」
―――――――――――――――――――――――――――――――――――――
「四魂のかけらがあるなんて、あのじいさん言ってたけどよー、ガセネタじゃねぇのか?」
銀髪の犬耳がある少年が言う。
その少年の名は、『犬夜叉』。
「そうでしょうねぇ。あの、おじいさんボケてそうでしたし。」
黒髪の法師が言う。
法師の名は、『弥勒』。
「ねぇ、かごめちゃん。四魂のかけらの気配は?」
長い黒髪の女子(おなご)が言う。
女子の名は、『珊瑚』。
「全然ないわ。どうやらハズレね。」
長い黒髪の奇妙な衣を着た女子が言う。
女子の名は、『日暮 かごめ』。
「少し休憩しますか。あの、茶店はどうですか?」
弥勒が茶店の方を指しながら言うが、明らかに視線は茶店の娘だ。
そして、珊瑚の方から弥勒にキツイ視線が向けられる。
「それにしても、ここらは人が少ねぇな。」
「そう?目の前にいるじゃない。」
かごめの言った通り、目の前には、12、3ぐらいの子供が2人。
男の子と女の子の。
そして、一行とすれ違う時に、ぶつかってから「ごめんなさい。」と言って走って立ち去って行った。
「何だったんだい?今の。」
「さぁ。」
そして、弥勒が茶店の前で財布を探しているのだが。
「無いっ!財布が無いっ。」
「はぁ?ちゃんと、探したのかよ?」
「探したよ。」
「もしかして、さっきの子達スリだったんじゃない?」
「他に盗られてる物ねぇかっ?」
「えーと・・・」
「無い。四魂のかけらが無い。」
「な、何ーっっ!?」
「さっきのガキ共追いかけるぞっ!!」
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
「あんまり金入ってねぇな。この財布。」
子供が言う。
「こっちのキレイなかけら何だろう?」
「これって妖怪の宝って言われてる、四魂の玉のかけらじゃねぇのか。」
「ふーん。妖怪の宝じゃ私たちには関係ないね。」
「あぁ、なんせ俺達は」
「お前ら、四魂のかけら返しやがれっっ!!」
((ビクゥッ))
「私の財布も。」
「ハ、ハイ。」
子供がかけらと財布をかごめと弥勒に返した。
「ねぇ、何でこんな事したの?それとあなた達の名前は?」
かごめが子供に聞く。
「俺の名前は、希望(ノゾミ)。」
赤い肩ぐらいまである髪の少年が言った。
「私の名前は、夢(ユメ)。」
青い腰ぐらいまである髪の少女が言った。
「金が無いからやったんだ。あんまり入ってなかったけど。」
「失礼な。」
「あぁ、そういえば、アンタ、四魂のかけらを持ってたよな?」
「うん。持ってるわよ。」
「じゃぁ、願叶花(ガンキョウカ)って知ってるか?」
「願叶花?何それ?」
「何だ。知らねぇのか。」
その時、犬夜叉の肩の方から。
「願叶花?あの、なんでも願いを叶えてくれる花のことですかね?」
ノミの老妖怪が言う。
妖怪の名は、『冥加』。
「知ってるのか!?お前。」
「知ってるというか、あれはただの伝説じゃし。」
「伝説じゃねぇよ。俺は、1度本物を見たことあるんだ。」
「それは、ともかく、お前ら人間じゃねぇだろ。」
「ちょっと犬夜叉なんて失礼な。」
「間違ってたらどうすんのよ。」
「アタリ。」
「へ。」
「さすがは犬。鼻がいいね。」
「はぁー、せっかく妖気消すために、がんばったのにね。」
「修行が足りなかったな。もう、ちょっとがんばらねぇとな。」
「お前らからかすかだが、狼の匂いがするんだが。」
犬夜叉が目をつりあがらせながら言う。
「失礼ながらお2人は半妖でしょう。」
「そうだけど。見たところその赤い服の人も半妖だろう。犬の。」
「お前ら半妖なのかー。狼ってとこは気にいらねぇが。」
「え、狼嫌いなの?」
「いや、ある痩せ狼を思い出す。」
「鋼牙君のことね。」
「鋼牙?鋼牙兄ちゃんのこと!?」
「知ってるの、夢ちゃん?」
「うん。昔ね、妖怪に襲われそうになった私達を鋼牙兄ちゃんが助けてくれたんだ。」
「へー。いいとこあるじゃない、鋼牙君。」
「それはともかく、アンタ達の名前まだ聞いてないんだけど。」
「あぁ、そうだったわね。私は、かごめ。」
「俺は、犬夜叉だ。」
「私は、弥勒です。」
「私は、珊瑚。」
「この子は、雲母。」
珊瑚が自分の肩の上にいる猫妖怪を指しながら言う。
「ワシは、冥加じゃ。」
「おらは、七宝じゃ。」
小型の狐妖怪が言う。
「わー、君、コンパクトでかわいいねーvv」
「何気に失礼だぞ。夢。」
「そうかなー。希望もかわいいと思わない?」
「あのなぁー、男の俺に聞くなよ。」
「じゃぁ、かごめちゃんとか珊瑚ちゃんは?」
「はぁ?」
「何でだよ?」
「ねぇ、どっち?」
「お、俺は、ゆっ・・・なんでもねぇ!」
「なんでもねぇって何~?」
「じゃれあってるのはいいんですが、その、願叶花の話をくわしく聞かせてもらえますか?」
「おう。」
「その花は、桜によく似た花でうすい紫色で夜になると光りだすんだ。そして、どんな願いをも叶える。って、言われてる。」
「いわば、四魂の玉の花バージョンって感じですね。」
「あ、でも、力が欲しいとかいう願いは受け付けないそうです。」
「へー。」
「そういえば、希望君その願叶花を見たことがあるってさっき言ってたけど、どこで見たの?」
「どこで見たと言うより、親父が持ってきたんだよ。」
「お父さんが?」
「その時、おふくろが重い病にかかってて、親父が願叶花を家に持って帰ってきて、『明(メイ)の病が治りますよう。』って願ったんだ。あぁ、明は、俺のおふくろの名前。」
「それで、おふくろの病は治ったんだ。」
「へー。」
「じゃぁ、今もお母さんは元気なの?」
「死んだよ。」
「え。」
「病が治って1ヵ月後、妖怪に襲われたんだ。」
「その時、親父も死んだ。」
「そいて、ちょうどその時、私が希望のところへ遊びに行ってて、その妖怪が次に私たちに向かってきたの。鋼牙兄ちゃんが助けてくれたのはその時。」
「じゃぁ、夢ちゃんのお父さんとお母さんは?」
「どっちも死んだ。」
「母さんの方は寿命。父さんは、妖怪にやられた。」
「それで、願叶花には、何をお願いするの?」
「「人間になりますよう。」」
「別に半妖でいたっていい事無いし。」
「人間にも劣るわけでもないし、妖怪にも劣るわけでもないけど、中途半端な半妖よりもちゃんとした人間になろうって思ったの。」
「何で妖怪じゃなくて人間なんだよ?」
「願叶花は、悪しき願いは聞いてくれないんだ。」
「誰かを殺したり、生き返らせたり、あと、恋の願いとかは聞いてくれない。」
「それに、わざわざ親を殺した妖怪になるより、人間になったほうがいいと思ったの。」
「利口ですね。」
「どこかのバカとは大違いだよ。」
「ホントじゃ。」
「それは俺のことを言ってるのか、おめぇーら!?」
「「「さぁねぇ。」」」
「昔、親父に話してもらった昔話に『願い叶える花』って題名の話があったんだ。」
「『願い叶える花』?願叶花のこと?」
「そう。」
「あ、それなら私も知ってるよ。」
「有名な話だからな。」
「どんな話なの?」
「えーと・・・」
―――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――
昔々、あるところに、桜(サクラ)という名の娘と紅葉(クレハ)という名の少年がいました。
桜は、人間で、紅葉は、半妖でした。
2人はとても仲が良く、まるで兄弟のようでした。
ある日、2人の耳に『願叶花』と言う不思議な花の噂が入ってきました。
その、願叶花という花は、とても美しく、そして、どんな願いをも叶える花と言われていました。
そして、桜は、死んだ両親を生き返らせるため、紅葉は、力を欲するため、2人で願叶花を探す旅に出ました。
―――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――
「なんか、紅葉って犬夜叉みたいねぇ。」
「じゃぁ、桜がかごめ様ですね?」
「それじゃぁ、願叶花は四魂のかけらかい?」
「続きを話すぞ。」
―――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――
なんでも、願叶花は、『月夜の谷(ツクヨノタニ)』というところに咲いていて、火花(カカ)と水花(スイカ)という名の妖怪に守られているそうだ。
その、妖怪たちは、花を使える者を選び、その者が花を使える者であれば、花を守るための結界を解き、使う事ができない者であれば、その土地の一
切の事を忘れる術を使いそこから追い出すのだそうだ。
だが、誰1人として月夜の谷の場所を知る者はいなかった。
2人は手当たり次第に聞いたが、知る者はいなかった。
探し始めてちょうど1年が経った頃に2人は―、1人の男に出会った。
その男の名は、菖蒲(ショウブ)。
そして、その男は、月夜の谷を知るものだった。
―――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――
「へー、で、どうなったの?」
―――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――
その男は、かつて半妖だった男。
そう、かつて。
今は、人間だった。
願叶花の力で人間になったのだ。
菖蒲は、2人を月夜の谷に案内するため共に旅をするようになった。
菖蒲と出会ってから、桜も紅葉もかわった。
菖蒲は不思議な男だった。
人の心を癒し、安らぎというものをくれた。
そして、2人の願いがかわった。
桜は、両親を生きかえらせることをやめ、紅葉は、力を欲し、妖怪になることをやめた。
新たな紅葉の願いは、菖蒲と同じように人間になることだ。
菖蒲と出会ってから3ヶ月が経ち、3人は月夜の谷を見つけた。
そして、噂通り谷には、2匹の妖怪がいた。
火花と水花が。
その妖怪たちが3人に向かって言った言葉は、驚きのものだった。
その言葉とは、「お待ちしておりました。」。
そして、次の言葉が、「桜様、紅葉様。・・・光花様。」。
村で聞いたもう1つの噂。
守る妖怪が2匹。
そして、導く者が1人。
その導く者は、光花(コウカ)という名で、願叶花を探す者を月夜の谷まで導く者。
そして、その選んだ者の心を癒し、清める。
光花は、願叶花を探す者のところへ気まぐれに行き、気に入った者ならば、道案内をするというものだった。
「おいおい、光花はやめてくれよ。今の私の名は、菖蒲だ。」
菖蒲が言った。
「まぁ、名前はどうでもよいのです。しかし、菖蒲様。導く者としてちゃんと仕事をしてもらわなければ。年に8人では少なすぎます。」
火花が荒っぽい口調で言った。
「仕方ないだろう。遠いのだから。」
菖蒲がうんざりしたように言う。
「まぁ、いいです。さぁ、お行きなさい。願叶花があるのは、奥です。菖蒲様も付いて行っておあげなさい。」
桜達は言われるがままに奥へと進んでいった。
置くには、うす紫色の桜のような花の木が何本もあった。
ちょうどその時は、夜だったので、願叶花が光っていた。
「願叶花は、妖花なんだ。」
菖蒲が言った。
「妖花というのは、妖力を秘めた花のことで、願叶花は妖力が高いから夜になると光りだすんだ。」
「はぁ。」
「あの、光花さんは、」
桜が言うと、菖蒲が、
「菖蒲だよ。」
「あ、えと、菖蒲は何で私達を選んだの?」
と、桜が聞くと、
「気まぐれだよ。いつも、気まぐれだ選ぶから。」
「アンタ本当に導く者か?」
「月夜の谷まで道案内するからそれでいいんだよ。」
「そうゆうものか?」
「そうゆうものさ。」
そして、菖蒲が願叶花の花の枝を2本取り、桜と紅葉につきだし、
「さぁ、願いを。」
と言った。
2人は枝を手に取り、心の中で、念じた。
紅葉は、「人間になりますよう。」と。
桜は、「きっと、また、菖蒲と会えますよう。」と。
すると、願叶花がより一層、光だし、2人を包んだ。
次の瞬間、夕日のような赤の紅葉の髪が赤みがかかった黒に変わり、牙が消え、爪が短くなった。
人間になったのだ。
そして、菖蒲が紅葉に、うす紫の透明な玉のついた首飾りを渡した。
「この首飾りは、私の宝なんだ。君達がもう1度、私に会えたなら、それを私に返してくれ。君達じゃなくてもいい。君達の子孫でもいい。必ず、会いに来てくれ。それと、桜にはこれを渡そう。」
そう言って菖蒲が桜に髪どめ渡した。
「これは、願叶花の木が100年に1度咲かせる願叶花の中の最も妖力が高い夢見花(ユメミバナ)で作ったものなんだ。桜も、もう1度私に会えたならそれを私に返してくれ。」
「「わかった。」」
「それと最後に1つ。火花や水花や私は、妖怪なんかじゃない。私達は、精霊だ。願叶花を悪しきものから守る精霊だ。でわ、また、会える日を楽しみにしている。」
そう言って菖蒲は、消えた。
と、言うより周り全部が消え、桜達の家へと景色がかわった。
そして、願叶花矢菖蒲の事を忘れず、幸せに過ごしました。
―――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――
「て、いうお話だった。」
「でも、あの話は作り話だろ。」
「違うんだ。あの、桜と紅葉は、実在する人物で、俺の先祖。そして、菖蒲の宝と夢見花の髪どめはこれの事。」
そう言って希望が自分の髪を結んでいた髪どめと首から小さな玉のついた首飾りを取り出した。
「わぁ、きれい。」
「俺が願叶花を探すのは、人間なるためでもあるし、その光花だか菖蒲にこれを渡さなきゃなんねーんだ。」
「?・・・あの、その首飾りをちょっとかしてくれませんか?」
「いいけど。」
「ふむ。」
弥勒が紐のついている横のところをおさえると、玉は上手い具合に開きました。
「弥勒様が壊した!?」
「違いますよ。ほら、地図が入ってましたよ。」
「何の地図ですか?」
「これは、月夜の谷への地図だ!!」
「やったー、これでやっと。」
「へー、これが。」
「我々がいるのはこの辺りで願叶花がある月夜の谷はこれですかね。」
そう言って弥勒が地図上の月と桜のマークのところに指を置いた。
すると、周りすべてが消え、景色がかわった。
「な、な、何だこれは!?」
「あれじゃないか、話の最後の方で、突然景色がかわるやつ。」
「じゃぁ、ここは、月夜の谷?」
「そうみたいだな。あいつらがいるし。」
紅葉がそう言って2つの人影を指した。
「ようこそ、月夜の谷へ。」
人影が言った。
「私の名は、火花。」
「私は、水花。」
その人影は守る者、火花と水花だった。
「犬夜叉様、かごめ様、弥勒様、珊瑚様、七宝様、冥加様、雲母様、希望様、夢様ですね。」
「はぁ。」
「光花様は御一緒ですか?」
「いや、一緒じゃねぇけど。」
「おかしいですね。光花様か私達でないとここへ来る事はできないはずですのに。」
「ん?希望様、夢様、1度ここへ来たことがありますか?」
「いや、ねぇけど。」
「あなた達は、昔来られた方によく似てらっしゃる。名は、桜と紅葉。」
「その2人は俺の先祖だよ。それと、光花って奴今どこにいるんだ?」
「光花様は、また気まぐれに外の世界へと行きました。」
「呼び戻せるか?」
「はい。では、やってみましょう。」
そう言って、どこからか黄色のまが玉を出して、「光花様、お客様が参っています。」と言い、まが玉をしまった。
そして、次の瞬間、犬夜叉たちの目の前に若い男が現れた。
「客というのは、君達の事か。私何か用かな?」
「これを。」
紅葉がそう言い、髪どめと首飾りを出した。
「先祖がお前と約束したものを持ってきた。」
「ありがとう。約束守ってくれて。」
「やっぱり、桜と紅葉は、来れなかったね。」
「でも、よく似た子達がかわりに来てくれたよ。希望君、夢ちゃん。」
「さぁ、君達は願叶花に用があるんだろう。」
「はい。」
「案内しよう。」
「そこの犬耳の君達も来るかい?」
「どうする?犬夜叉。」
「んー、そうだなー。」
「行きましょう。願叶花があることですし。」
「法師様、悪しき願いは叶えてくれないんだよ。」
「う゛。」
「おらは行きたいぞ。」
「ワシもじゃ。」
「ミー。」
「じゃぁ、行きましょうか。」
「それでは、ついてきなさい。」
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
「「「うわー、きれぃー。」」」
「「すっげぇな。」」
「さぁ。」
そう言って、光花が願叶花の花の枝を9本取り、皆に渡した。
「さぁ、願いを。」
皆、願叶花を手に取り、願いを心の中で念じた。
犬夜叉は、「奈落を早く倒せますよう。」と。
かごめも、「奈落を早く倒し、1日も早く平和な日が訪れますよう。」と。
弥勒も「奈落を早く倒し、風穴が1日も早くなくなるよう。」と。
珊瑚も、「奈落を早く倒し、琥珀を取り戻せますよう。」と。
七宝も、「奈落を早く倒せるよう。」と。
冥加は、「犬夜叉様の乱暴な性格が直りますよう。」と。
雲母は、「ミーミー(不明)。」と。
そして、希望と夢が「人間になりますよう。」と。
そして、次の瞬間、希望の赤い髪が赤みがかった黒に変わり、夢の青い髪が青っぽい黒に変わり、2人共、牙が消え、爪が短くなった。
「やったー。」
「犬夜叉はなんねぇのか?」
「俺は、四魂の玉で妖怪になるんだ。」
「へー、ムダなことやってんな。」
「四魂の玉で妖怪になってなんになんのさ。」
「強くなるんだよ。」
「強くなるのなら半妖のままでもいいじゃないの。」
「半妖は妖怪に劣るわけでもねぇだろ。」
「それに、噂で聞いたけど、四魂の玉の力で妖怪になった者は、心を失うんだって。」
「誰かを守るために力を欲するのなら、努力すればいい。妖怪だから強いというわけでもない。」
「ま、まぁ、いいじゃねぇか。」
「希望君、夢ちゃん、また来てくださいよ。」
「うん。」
「あぁ。」
「じゃぁ、さよならだ。」
「一応君たちがいたところに戻すよ。」
「ありがとう、光花。いや、菖蒲。」
「君達もがんばれよ。」
「では、また会える日を楽しみにしている。」
そして、皆、元の場所に戻った・・・と、思いきや、希望と夢がいない。
「あれ?希望君と夢ちゃんは?」
「さぁ、光花が違うとこへ出したんじゃねぇか。」
「でも、希望君達もここから行ったんでしょ。」
「まぁ、いいじゃねぇの。」
「そうかしら?・・・あっ、犬夜叉、今日はテストがあるから帰らせてくれない?」
「はぁ?お前また・・・」
「いいんじゃない、別に。」
「そうですね。」
「はぁ、お前らなぁー。」
「カップラーメン持ってくるから。」
「しょうがねぇなぁ。」
「じゃ、珊瑚ちゃん雲母かして。」
「うん、いいよ。」
「じゃ、すぐ戻ってくるから。」
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
「ねぇ、ねぇ、かごめ。」
「何、あゆみ?」
「今日は、1年に転校生が2人来たんだって。」
「ふーん。それが?」
「男の子と女の子なんだけど、男の子はかっこいいし、女の子はかわいいのよ。」
「えーと、たしか名前は、赤井 希望(アカイ ノゾミ)って男の子と青野 夢(アオノ ユメ)って女の子。」
(希望?夢?うーん・・・)
「もう1回見に行こうと思うんだけど、かごめも行く?」
「うん。」
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
「ほら、あの子達。」
「えー、どの子?」
「ほら、あそこ。」
「えーと・・・え!?」
「希望君!!夢ちゃん!!」
「あー、かごめ!!」
そう言って、希望と夢がかごめの方へ手を振りながら走っていく。
「かごめの知り合い?」
「うん。」
「かごめ、奇遇だね。何でこの中学にいるの?」
「私、ここの生徒なんだけど。」
「あっ、そうなんだ。」
「希望君達こそなんでここにいるの?」
「うーんとねー。」
「あ、ちょっと待って。ここでその話はダメだと思うから屋上に行こう。」
「うん。」
「ごめん、あゆみ。先に教室もどってて。」
「うん、わかった。」
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
「えーと、何でここにいるの?」
「光花が俺達をこの時代に出してくれたんだ。」
「光花さんが?」
「あぁ。周りが光ったあと、光花が出てきて、『君達は平和な場所で生きてくれ。』って言って気付いたら、日暮神社の御神木の前にいたんだ。」
「ふーん。でも、戦国時代と大分違うけど、大丈夫?」
「大丈夫、大丈夫。なるようになるって。」
「それと、ハイ。」
そう言って希望と夢がかごめにある物を渡した。
「え!?何で四魂のかけらと弥勒様と珊瑚ちゃんの財布持ってるの!?」
「いやー、スリの癖がぬけなくて。願い叶え終わった後、なんとなく、癖でやってしまった。」
「今、出会ってなかったら、四魂のかけら盗まれたままじゃない。」
「かごめたちはスキがありすぎる。」
「あのねぇー。」
「こうしてまた会えたし、いいじゃねぇか。」
「まぁ、よかったんだけどさー。」
すると、希望と夢がとびっきりの笑顔でかごめに言った。
「「希望の光は、どんな時でもすぐ目の前にあるものさっ!」」
―完―
「願い叶える花」
「四魂のかけらがあるなんて、あのじいさん言ってたけどよー、ガセネタじゃねぇのか?」
銀髪の犬耳がある少年が言う。
その少年の名は、『犬夜叉』。
「そうでしょうねぇ。あの、おじいさんボケてそうでしたし。」
黒髪の法師が言う。
法師の名は、『弥勒』。
「ねぇ、かごめちゃん。四魂のかけらの気配は?」
長い黒髪の女子(おなご)が言う。
女子の名は、『珊瑚』。
「全然ないわ。どうやらハズレね。」
長い黒髪の奇妙な衣を着た女子が言う。
女子の名は、『日暮 かごめ』。
「少し休憩しますか。あの、茶店はどうですか?」
弥勒が茶店の方を指しながら言うが、明らかに視線は茶店の娘だ。
そして、珊瑚の方から弥勒にキツイ視線が向けられる。
「それにしても、ここらは人が少ねぇな。」
「そう?目の前にいるじゃない。」
かごめの言った通り、目の前には、12、3ぐらいの子供が2人。
男の子と女の子の。
そして、一行とすれ違う時に、ぶつかってから「ごめんなさい。」と言って走って立ち去って行った。
「何だったんだい?今の。」
「さぁ。」
そして、弥勒が茶店の前で財布を探しているのだが。
「無いっ!財布が無いっ。」
「はぁ?ちゃんと、探したのかよ?」
「探したよ。」
「もしかして、さっきの子達スリだったんじゃない?」
「他に盗られてる物ねぇかっ?」
「えーと・・・」
「無い。四魂のかけらが無い。」
「な、何ーっっ!?」
「さっきのガキ共追いかけるぞっ!!」
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
「あんまり金入ってねぇな。この財布。」
子供が言う。
「こっちのキレイなかけら何だろう?」
「これって妖怪の宝って言われてる、四魂の玉のかけらじゃねぇのか。」
「ふーん。妖怪の宝じゃ私たちには関係ないね。」
「あぁ、なんせ俺達は」
「お前ら、四魂のかけら返しやがれっっ!!」
((ビクゥッ))
「私の財布も。」
「ハ、ハイ。」
子供がかけらと財布をかごめと弥勒に返した。
「ねぇ、何でこんな事したの?それとあなた達の名前は?」
かごめが子供に聞く。
「俺の名前は、希望(ノゾミ)。」
赤い肩ぐらいまである髪の少年が言った。
「私の名前は、夢(ユメ)。」
青い腰ぐらいまである髪の少女が言った。
「金が無いからやったんだ。あんまり入ってなかったけど。」
「失礼な。」
「あぁ、そういえば、アンタ、四魂のかけらを持ってたよな?」
「うん。持ってるわよ。」
「じゃぁ、願叶花(ガンキョウカ)って知ってるか?」
「願叶花?何それ?」
「何だ。知らねぇのか。」
その時、犬夜叉の肩の方から。
「願叶花?あの、なんでも願いを叶えてくれる花のことですかね?」
ノミの老妖怪が言う。
妖怪の名は、『冥加』。
「知ってるのか!?お前。」
「知ってるというか、あれはただの伝説じゃし。」
「伝説じゃねぇよ。俺は、1度本物を見たことあるんだ。」
「それは、ともかく、お前ら人間じゃねぇだろ。」
「ちょっと犬夜叉なんて失礼な。」
「間違ってたらどうすんのよ。」
「アタリ。」
「へ。」
「さすがは犬。鼻がいいね。」
「はぁー、せっかく妖気消すために、がんばったのにね。」
「修行が足りなかったな。もう、ちょっとがんばらねぇとな。」
「お前らからかすかだが、狼の匂いがするんだが。」
犬夜叉が目をつりあがらせながら言う。
「失礼ながらお2人は半妖でしょう。」
「そうだけど。見たところその赤い服の人も半妖だろう。犬の。」
「お前ら半妖なのかー。狼ってとこは気にいらねぇが。」
「え、狼嫌いなの?」
「いや、ある痩せ狼を思い出す。」
「鋼牙君のことね。」
「鋼牙?鋼牙兄ちゃんのこと!?」
「知ってるの、夢ちゃん?」
「うん。昔ね、妖怪に襲われそうになった私達を鋼牙兄ちゃんが助けてくれたんだ。」
「へー。いいとこあるじゃない、鋼牙君。」
「それはともかく、アンタ達の名前まだ聞いてないんだけど。」
「あぁ、そうだったわね。私は、かごめ。」
「俺は、犬夜叉だ。」
「私は、弥勒です。」
「私は、珊瑚。」
「この子は、雲母。」
珊瑚が自分の肩の上にいる猫妖怪を指しながら言う。
「ワシは、冥加じゃ。」
「おらは、七宝じゃ。」
小型の狐妖怪が言う。
「わー、君、コンパクトでかわいいねーvv」
「何気に失礼だぞ。夢。」
「そうかなー。希望もかわいいと思わない?」
「あのなぁー、男の俺に聞くなよ。」
「じゃぁ、かごめちゃんとか珊瑚ちゃんは?」
「はぁ?」
「何でだよ?」
「ねぇ、どっち?」
「お、俺は、ゆっ・・・なんでもねぇ!」
「なんでもねぇって何~?」
「じゃれあってるのはいいんですが、その、願叶花の話をくわしく聞かせてもらえますか?」
「おう。」
「その花は、桜によく似た花でうすい紫色で夜になると光りだすんだ。そして、どんな願いをも叶える。って、言われてる。」
「いわば、四魂の玉の花バージョンって感じですね。」
「あ、でも、力が欲しいとかいう願いは受け付けないそうです。」
「へー。」
「そういえば、希望君その願叶花を見たことがあるってさっき言ってたけど、どこで見たの?」
「どこで見たと言うより、親父が持ってきたんだよ。」
「お父さんが?」
「その時、おふくろが重い病にかかってて、親父が願叶花を家に持って帰ってきて、『明(メイ)の病が治りますよう。』って願ったんだ。あぁ、明は、俺のおふくろの名前。」
「それで、おふくろの病は治ったんだ。」
「へー。」
「じゃぁ、今もお母さんは元気なの?」
「死んだよ。」
「え。」
「病が治って1ヵ月後、妖怪に襲われたんだ。」
「その時、親父も死んだ。」
「そいて、ちょうどその時、私が希望のところへ遊びに行ってて、その妖怪が次に私たちに向かってきたの。鋼牙兄ちゃんが助けてくれたのはその時。」
「じゃぁ、夢ちゃんのお父さんとお母さんは?」
「どっちも死んだ。」
「母さんの方は寿命。父さんは、妖怪にやられた。」
「それで、願叶花には、何をお願いするの?」
「「人間になりますよう。」」
「別に半妖でいたっていい事無いし。」
「人間にも劣るわけでもないし、妖怪にも劣るわけでもないけど、中途半端な半妖よりもちゃんとした人間になろうって思ったの。」
「何で妖怪じゃなくて人間なんだよ?」
「願叶花は、悪しき願いは聞いてくれないんだ。」
「誰かを殺したり、生き返らせたり、あと、恋の願いとかは聞いてくれない。」
「それに、わざわざ親を殺した妖怪になるより、人間になったほうがいいと思ったの。」
「利口ですね。」
「どこかのバカとは大違いだよ。」
「ホントじゃ。」
「それは俺のことを言ってるのか、おめぇーら!?」
「「「さぁねぇ。」」」
「昔、親父に話してもらった昔話に『願い叶える花』って題名の話があったんだ。」
「『願い叶える花』?願叶花のこと?」
「そう。」
「あ、それなら私も知ってるよ。」
「有名な話だからな。」
「どんな話なの?」
「えーと・・・」
―――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――
昔々、あるところに、桜(サクラ)という名の娘と紅葉(クレハ)という名の少年がいました。
桜は、人間で、紅葉は、半妖でした。
2人はとても仲が良く、まるで兄弟のようでした。
ある日、2人の耳に『願叶花』と言う不思議な花の噂が入ってきました。
その、願叶花という花は、とても美しく、そして、どんな願いをも叶える花と言われていました。
そして、桜は、死んだ両親を生き返らせるため、紅葉は、力を欲するため、2人で願叶花を探す旅に出ました。
―――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――
「なんか、紅葉って犬夜叉みたいねぇ。」
「じゃぁ、桜がかごめ様ですね?」
「それじゃぁ、願叶花は四魂のかけらかい?」
「続きを話すぞ。」
―――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――
なんでも、願叶花は、『月夜の谷(ツクヨノタニ)』というところに咲いていて、火花(カカ)と水花(スイカ)という名の妖怪に守られているそうだ。
その、妖怪たちは、花を使える者を選び、その者が花を使える者であれば、花を守るための結界を解き、使う事ができない者であれば、その土地の一
切の事を忘れる術を使いそこから追い出すのだそうだ。
だが、誰1人として月夜の谷の場所を知る者はいなかった。
2人は手当たり次第に聞いたが、知る者はいなかった。
探し始めてちょうど1年が経った頃に2人は―、1人の男に出会った。
その男の名は、菖蒲(ショウブ)。
そして、その男は、月夜の谷を知るものだった。
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「へー、で、どうなったの?」
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その男は、かつて半妖だった男。
そう、かつて。
今は、人間だった。
願叶花の力で人間になったのだ。
菖蒲は、2人を月夜の谷に案内するため共に旅をするようになった。
菖蒲と出会ってから、桜も紅葉もかわった。
菖蒲は不思議な男だった。
人の心を癒し、安らぎというものをくれた。
そして、2人の願いがかわった。
桜は、両親を生きかえらせることをやめ、紅葉は、力を欲し、妖怪になることをやめた。
新たな紅葉の願いは、菖蒲と同じように人間になることだ。
菖蒲と出会ってから3ヶ月が経ち、3人は月夜の谷を見つけた。
そして、噂通り谷には、2匹の妖怪がいた。
火花と水花が。
その妖怪たちが3人に向かって言った言葉は、驚きのものだった。
その言葉とは、「お待ちしておりました。」。
そして、次の言葉が、「桜様、紅葉様。・・・光花様。」。
村で聞いたもう1つの噂。
守る妖怪が2匹。
そして、導く者が1人。
その導く者は、光花(コウカ)という名で、願叶花を探す者を月夜の谷まで導く者。
そして、その選んだ者の心を癒し、清める。
光花は、願叶花を探す者のところへ気まぐれに行き、気に入った者ならば、道案内をするというものだった。
「おいおい、光花はやめてくれよ。今の私の名は、菖蒲だ。」
菖蒲が言った。
「まぁ、名前はどうでもよいのです。しかし、菖蒲様。導く者としてちゃんと仕事をしてもらわなければ。年に8人では少なすぎます。」
火花が荒っぽい口調で言った。
「仕方ないだろう。遠いのだから。」
菖蒲がうんざりしたように言う。
「まぁ、いいです。さぁ、お行きなさい。願叶花があるのは、奥です。菖蒲様も付いて行っておあげなさい。」
桜達は言われるがままに奥へと進んでいった。
置くには、うす紫色の桜のような花の木が何本もあった。
ちょうどその時は、夜だったので、願叶花が光っていた。
「願叶花は、妖花なんだ。」
菖蒲が言った。
「妖花というのは、妖力を秘めた花のことで、願叶花は妖力が高いから夜になると光りだすんだ。」
「はぁ。」
「あの、光花さんは、」
桜が言うと、菖蒲が、
「菖蒲だよ。」
「あ、えと、菖蒲は何で私達を選んだの?」
と、桜が聞くと、
「気まぐれだよ。いつも、気まぐれだ選ぶから。」
「アンタ本当に導く者か?」
「月夜の谷まで道案内するからそれでいいんだよ。」
「そうゆうものか?」
「そうゆうものさ。」
そして、菖蒲が願叶花の花の枝を2本取り、桜と紅葉につきだし、
「さぁ、願いを。」
と言った。
2人は枝を手に取り、心の中で、念じた。
紅葉は、「人間になりますよう。」と。
桜は、「きっと、また、菖蒲と会えますよう。」と。
すると、願叶花がより一層、光だし、2人を包んだ。
次の瞬間、夕日のような赤の紅葉の髪が赤みがかかった黒に変わり、牙が消え、爪が短くなった。
人間になったのだ。
そして、菖蒲が紅葉に、うす紫の透明な玉のついた首飾りを渡した。
「この首飾りは、私の宝なんだ。君達がもう1度、私に会えたなら、それを私に返してくれ。君達じゃなくてもいい。君達の子孫でもいい。必ず、会いに来てくれ。それと、桜にはこれを渡そう。」
そう言って菖蒲が桜に髪どめ渡した。
「これは、願叶花の木が100年に1度咲かせる願叶花の中の最も妖力が高い夢見花(ユメミバナ)で作ったものなんだ。桜も、もう1度私に会えたならそれを私に返してくれ。」
「「わかった。」」
「それと最後に1つ。火花や水花や私は、妖怪なんかじゃない。私達は、精霊だ。願叶花を悪しきものから守る精霊だ。でわ、また、会える日を楽しみにしている。」
そう言って菖蒲は、消えた。
と、言うより周り全部が消え、桜達の家へと景色がかわった。
そして、願叶花矢菖蒲の事を忘れず、幸せに過ごしました。
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「て、いうお話だった。」
「でも、あの話は作り話だろ。」
「違うんだ。あの、桜と紅葉は、実在する人物で、俺の先祖。そして、菖蒲の宝と夢見花の髪どめはこれの事。」
そう言って希望が自分の髪を結んでいた髪どめと首から小さな玉のついた首飾りを取り出した。
「わぁ、きれい。」
「俺が願叶花を探すのは、人間なるためでもあるし、その光花だか菖蒲にこれを渡さなきゃなんねーんだ。」
「?・・・あの、その首飾りをちょっとかしてくれませんか?」
「いいけど。」
「ふむ。」
弥勒が紐のついている横のところをおさえると、玉は上手い具合に開きました。
「弥勒様が壊した!?」
「違いますよ。ほら、地図が入ってましたよ。」
「何の地図ですか?」
「これは、月夜の谷への地図だ!!」
「やったー、これでやっと。」
「へー、これが。」
「我々がいるのはこの辺りで願叶花がある月夜の谷はこれですかね。」
そう言って弥勒が地図上の月と桜のマークのところに指を置いた。
すると、周りすべてが消え、景色がかわった。
「な、な、何だこれは!?」
「あれじゃないか、話の最後の方で、突然景色がかわるやつ。」
「じゃぁ、ここは、月夜の谷?」
「そうみたいだな。あいつらがいるし。」
紅葉がそう言って2つの人影を指した。
「ようこそ、月夜の谷へ。」
人影が言った。
「私の名は、火花。」
「私は、水花。」
その人影は守る者、火花と水花だった。
「犬夜叉様、かごめ様、弥勒様、珊瑚様、七宝様、冥加様、雲母様、希望様、夢様ですね。」
「はぁ。」
「光花様は御一緒ですか?」
「いや、一緒じゃねぇけど。」
「おかしいですね。光花様か私達でないとここへ来る事はできないはずですのに。」
「ん?希望様、夢様、1度ここへ来たことがありますか?」
「いや、ねぇけど。」
「あなた達は、昔来られた方によく似てらっしゃる。名は、桜と紅葉。」
「その2人は俺の先祖だよ。それと、光花って奴今どこにいるんだ?」
「光花様は、また気まぐれに外の世界へと行きました。」
「呼び戻せるか?」
「はい。では、やってみましょう。」
そう言って、どこからか黄色のまが玉を出して、「光花様、お客様が参っています。」と言い、まが玉をしまった。
そして、次の瞬間、犬夜叉たちの目の前に若い男が現れた。
「客というのは、君達の事か。私何か用かな?」
「これを。」
紅葉がそう言い、髪どめと首飾りを出した。
「先祖がお前と約束したものを持ってきた。」
「ありがとう。約束守ってくれて。」
「やっぱり、桜と紅葉は、来れなかったね。」
「でも、よく似た子達がかわりに来てくれたよ。希望君、夢ちゃん。」
「さぁ、君達は願叶花に用があるんだろう。」
「はい。」
「案内しよう。」
「そこの犬耳の君達も来るかい?」
「どうする?犬夜叉。」
「んー、そうだなー。」
「行きましょう。願叶花があることですし。」
「法師様、悪しき願いは叶えてくれないんだよ。」
「う゛。」
「おらは行きたいぞ。」
「ワシもじゃ。」
「ミー。」
「じゃぁ、行きましょうか。」
「それでは、ついてきなさい。」
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「「「うわー、きれぃー。」」」
「「すっげぇな。」」
「さぁ。」
そう言って、光花が願叶花の花の枝を9本取り、皆に渡した。
「さぁ、願いを。」
皆、願叶花を手に取り、願いを心の中で念じた。
犬夜叉は、「奈落を早く倒せますよう。」と。
かごめも、「奈落を早く倒し、1日も早く平和な日が訪れますよう。」と。
弥勒も「奈落を早く倒し、風穴が1日も早くなくなるよう。」と。
珊瑚も、「奈落を早く倒し、琥珀を取り戻せますよう。」と。
七宝も、「奈落を早く倒せるよう。」と。
冥加は、「犬夜叉様の乱暴な性格が直りますよう。」と。
雲母は、「ミーミー(不明)。」と。
そして、希望と夢が「人間になりますよう。」と。
そして、次の瞬間、希望の赤い髪が赤みがかった黒に変わり、夢の青い髪が青っぽい黒に変わり、2人共、牙が消え、爪が短くなった。
「やったー。」
「犬夜叉はなんねぇのか?」
「俺は、四魂の玉で妖怪になるんだ。」
「へー、ムダなことやってんな。」
「四魂の玉で妖怪になってなんになんのさ。」
「強くなるんだよ。」
「強くなるのなら半妖のままでもいいじゃないの。」
「半妖は妖怪に劣るわけでもねぇだろ。」
「それに、噂で聞いたけど、四魂の玉の力で妖怪になった者は、心を失うんだって。」
「誰かを守るために力を欲するのなら、努力すればいい。妖怪だから強いというわけでもない。」
「ま、まぁ、いいじゃねぇか。」
「希望君、夢ちゃん、また来てくださいよ。」
「うん。」
「あぁ。」
「じゃぁ、さよならだ。」
「一応君たちがいたところに戻すよ。」
「ありがとう、光花。いや、菖蒲。」
「君達もがんばれよ。」
「では、また会える日を楽しみにしている。」
そして、皆、元の場所に戻った・・・と、思いきや、希望と夢がいない。
「あれ?希望君と夢ちゃんは?」
「さぁ、光花が違うとこへ出したんじゃねぇか。」
「でも、希望君達もここから行ったんでしょ。」
「まぁ、いいじゃねぇの。」
「そうかしら?・・・あっ、犬夜叉、今日はテストがあるから帰らせてくれない?」
「はぁ?お前また・・・」
「いいんじゃない、別に。」
「そうですね。」
「はぁ、お前らなぁー。」
「カップラーメン持ってくるから。」
「しょうがねぇなぁ。」
「じゃ、珊瑚ちゃん雲母かして。」
「うん、いいよ。」
「じゃ、すぐ戻ってくるから。」
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
「ねぇ、ねぇ、かごめ。」
「何、あゆみ?」
「今日は、1年に転校生が2人来たんだって。」
「ふーん。それが?」
「男の子と女の子なんだけど、男の子はかっこいいし、女の子はかわいいのよ。」
「えーと、たしか名前は、赤井 希望(アカイ ノゾミ)って男の子と青野 夢(アオノ ユメ)って女の子。」
(希望?夢?うーん・・・)
「もう1回見に行こうと思うんだけど、かごめも行く?」
「うん。」
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
「ほら、あの子達。」
「えー、どの子?」
「ほら、あそこ。」
「えーと・・・え!?」
「希望君!!夢ちゃん!!」
「あー、かごめ!!」
そう言って、希望と夢がかごめの方へ手を振りながら走っていく。
「かごめの知り合い?」
「うん。」
「かごめ、奇遇だね。何でこの中学にいるの?」
「私、ここの生徒なんだけど。」
「あっ、そうなんだ。」
「希望君達こそなんでここにいるの?」
「うーんとねー。」
「あ、ちょっと待って。ここでその話はダメだと思うから屋上に行こう。」
「うん。」
「ごめん、あゆみ。先に教室もどってて。」
「うん、わかった。」
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
「えーと、何でここにいるの?」
「光花が俺達をこの時代に出してくれたんだ。」
「光花さんが?」
「あぁ。周りが光ったあと、光花が出てきて、『君達は平和な場所で生きてくれ。』って言って気付いたら、日暮神社の御神木の前にいたんだ。」
「ふーん。でも、戦国時代と大分違うけど、大丈夫?」
「大丈夫、大丈夫。なるようになるって。」
「それと、ハイ。」
そう言って希望と夢がかごめにある物を渡した。
「え!?何で四魂のかけらと弥勒様と珊瑚ちゃんの財布持ってるの!?」
「いやー、スリの癖がぬけなくて。願い叶え終わった後、なんとなく、癖でやってしまった。」
「今、出会ってなかったら、四魂のかけら盗まれたままじゃない。」
「かごめたちはスキがありすぎる。」
「あのねぇー。」
「こうしてまた会えたし、いいじゃねぇか。」
「まぁ、よかったんだけどさー。」
すると、希望と夢がとびっきりの笑顔でかごめに言った。
「「希望の光は、どんな時でもすぐ目の前にあるものさっ!」」
―完―
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