超重神山さんDESTINY

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第2話 出会い



アトランティスから出撃したエーギルガンダムのコクピット内でマグナは操縦桿を操作しつつ周囲の確認をしていた。

いまんとこ何にも無し・・・敵もみえないしソナーにも反応無し・・・か・・なら、今のうちに操作になれとくか」

マグナは操縦桿を握りしめてエーギルガンダムの背中。バックパックのスクリューエンジンを全開にし水中を駆ける。そのスピードは彼が今まで乗っていたディープワングとは比べものにならないものだった。

「なんつぅ、機動力だよ・・・純粋な戦闘用だけにってか?」

アトランティス自衛軍が使用している空戦用MSガルーダと水中用MSディープワングは元々、作業用に造られた物を戦闘用に改造した物であり、純粋な戦闘用MSではない。
だから、純粋な戦闘用には若干性能が劣るのだ。

「いつのまにこんなの作ったんだか・・・ファーレス代表って好戦的だったっけか?・・ん?」

エーギルのソナーが何かを捉える。数は3つ。

「この反応は・・・・・MSか?一つは味方か襲われてるのか?見て見ぬふりって手もあるが・・・見殺しは後味悪いし・・・やるしかないな!」



「きゃあああっ!!」

ネプチューンの体当たりがヴァハガンダムを吹き飛ばす。

「このままじゃ・・・っ!!」

背中の全身の補助スラスターを使い浮上しようとするが敵はそれを許さない。

「逃がさんよっ!!」

ネプチューンのパイロットが両肩の魚雷の狙いをヴァハに付け一斉に発射する。

「なっ・・・!」

魚雷がヴァハに迫る。現在の装備は機動性を重視した空戦装備だが水中では半分以下の機動性すら出ない。

「やられる・・・・・・っ!」

魚雷が爆発する。

「やったか?」

魚雷の爆発で発生した泡などで敵機は見えないが3発の魚雷の直撃を基本的に装甲が薄い空戦MSが受けたのだ無事であるはずがない。
ネプチューンのパイロットは念のために撃破の確認をおこなおうと敵機に近づく。

「なっ!!」

一瞬だった。
一機のネプチューンが近づいてきた所を狙って爆発で発生した泡の中から2発の魚雷が放たれたのだ。回避する間もなく直撃、さらに追い打ちをかけるように伸びてきた一本の刃がネプチューンの胸部を貫き破壊した。

「MSが・・・もう一機・・・だと・・・」

ネプチューンのパイロットは最後の瞬間に泡の向こうにいた青い水中用MSの姿を認めそのまま、機体ごと海底に沈んでいった。

「このMSは・・・・・」

ヴァハのコクピット内でサリアは見た。魚雷が直撃する瞬間に自分の目の前に現れ両肩に装着されているシールドアーマーで魚雷を防いぎ、そのまま敵機を撃墜した青いMSを。

「エーギル・・・・ガンダム・・・・・」

ネプチューンに突き立てていた刃、ツイントライデントを構え直し肩に担ぐように構える。エーギルガンダムの二つのアイカメラが残ったネプチューンを睨みつける。

「もう一機!?新型か!!」

ネプチューンのパイロットは一瞬、動揺したがすぐに冷静さを取り戻しエーギルガンダムにトライデントを構え襲いかかる。

「仲間の仇だ!!」

トライデントを突き出す、それをエーギルはツイントライデントで受け止め防ぐ。
エーギルは突然、トライデントから手を離しネプチューンの頭部を殴り飛ばす。

「ぐあっ!!」

吹き飛ばされる機体、さらにもう一発、反対側の手で殴る。
そして殴ると同時に腕に内蔵されているアンカーを射出。ネプチューンのゴーグル型のアイカメラを貫き破壊。

「悪いな」

エーギルガンダムのコクピットでマグナが呟く。
エーギルの胸部に装備された2門の音波兵器フォトンメーサー砲が放たれネプチューンは胸部から吹き飛び大破する。
アンカーを巻き戻し、目の前で底に沈んでいくツイントライデントを手に取り再びパックバックのハードポイントへと戻す。

「さてと・・・・おい、生きてるか?」

マグナは敵を倒したのを確認してからヴァハへと通信をいれる。

『え・・ええ・・・・』

通信用のモニターに出た空戦MSのパイロットの顔をみて少し驚いた。

「空戦MSで水中戦なんてする無謀なパイロットは誰かと思ったら・・・・女の子?」

『なっ・・・好きで水中にいるわけじゃ無い!それに女がMSで戦ってたらいけないってわけ!?』

「そこまでは言ってねぇよ」

『って、それよりアナタ誰なの!?見たところ・・・自衛軍の人間じゃないみたいだし・・・』

「ああ・・・・・っと、アンタはとっとと海から出た方がいいかもよ?こっちのソナーが敵機の反応見つけた、数は・・・3つか」

『敵がまだ来るの!?』

「みたいだな・・・空戦MSじゃ水中戦は無理だろ?とっとと空へ帰りな」

『・・・・そうね、そうするわ・・・後で詳しい話、聞かせてもらうわよ』

そう言ってヴァハは海から飛び出し空中へと戻った。
それを見届けてマグナはエーギルを敵の来る方向へと向ける。パックバックのツイントライデントを抜き構える。
やがて、彼の目の前に3機のネプチューンが現れた。

「ネプチューンが3機・・・・真ん中のはカスタムされてるな・・・・隊長機って
ヤツか?おいおい・・・冗談じゃねぇよったく・・・・」

通常、隊長機というのは色で区別されるのだが、多大な戦績をあげたものは自分の機体を好きにカスタマイズ出来ると聞いた事がある。早い話が敵のエースパイロットと鉢合わせた事になる。

「これは・・・・サース達がやられたのか・・・・」

カスタムされたネプチューンのパイロット、オルト・ガーフィルは海底に沈んでいくネプチューンの残骸を見た。海での戦闘でMSを撃破されたのだ、生存は絶望的である。
自分の丁度正面には部下を倒したらしいMSがツイントライデントを構えこちらを警戒している。

「ヤツがやったのか・・・どうやら新型らしいな」

「隊長!」

部下が通信を開き指示を請う。やる事は一つしかない。

「全機散開、敵の新型を撃破する!」

3機のネプチューンが散開し一斉にエーギルへと襲いかかる。

「くそっ!!なるようにしかならない・・ってか!!」

エーギルもツイントライデントを構え直し迎え撃つ。



海から飛び出し空へと戻ったヴァハガンダムとサリアは一度アトランティスの格納庫へと戻っていた。水中でやられたダメージは酷く、戦闘は無理だったので一度戻ったのだ。

「余ってるディープワングありますか!?」

コクピットからでてヴァハの足下のメカニックに聞く。

「ああ、一機残ってるぞタイプSが!」

「わかりました、それでもう一度出ます!」

「でるって戻ったばかりだろ!?」

「平気ですよ!」

そう言ってディープワングのコクピットに入り込み起動させる。

「アイツ・・・」

さっき自分を助けてくれたエーギルを動かしていた少年。彼の事が心配だった。
腕は確かなようだが3機も同時に相手にできるのか。

「どいてください、出ます!!」

メカニックをどかせて水中へと再び戻った。



「ぐうっ!!」

エーギルの右肩をトライデントがかすめる。

「野郎っ!!」

お返しとばかりにツイントライデントを振るう。それは簡単に受け止められ弾かれる。

「なんて、ヤツだ・・カスタム機は伊達じゃないってわけね」

「いい動きだな・・・ヤツもエースか?」

オルトが呟く、敵はこちらの攻撃を絶妙のタイミングで回避し確実に攻撃を決めてきている。並のパイロットではないのは確かだ。

「だが・・少しぎこちないな、機体に慣れていないと見た!!」

両肩の魚雷を放つ。スクリューが泡の起動を描いてエーギルにむかい突き進む。

「魚雷か!!んなろっ!!」

左肩のシールドアーマーで魚雷を防ぐ。魚雷の爆発で後方へと吹き飛ばされる。

「っ!!魚雷の威力もちがってやがる!!」

マグナはパネルを操作し、エーギルのパックバックを肩に担ぐような形に持ち上げる。

「これでもくらえってんだ!!」

パックバックに装備された八門の魚雷と胸部のフォトンメーサー砲が一斉に放たれる。

「むぅっ!!」

その攻撃をこちらも魚雷とフォトンメーサーを放って相殺し防ぐ。が4発の魚雷を撃ち漏らしこちらにむかってくる。

「チィッ!!」

機体を操作、無理矢理、機体をひねらせて2発回避する。残り2発が回避が間に合わず直撃こそしなかったがダメージを受ける。

「くっ、当たったか!」

「隊長!!」

部下のネプチューンがトライデントを構えエーギルに突撃していく。

「っ!!まだいやがった!!」

マグナはそのトライデントをギリギリで回避しそのままネプチューンへ両腕のアンカーを射出し機体同士を固定する。

「なにっ!!」

「おおおおおっ!!」

そのまま頭突きをお見舞いする。
そして至近距離からのフォトンメーサーで破壊する。アンカーを切り離し離脱。

「やられたか・・・・むっ?」

オルトのネプチューンのソナーが一機のMSの反応を捉える。この識別は敵だ。

「応援か・・・・・そろそろ魚雷もきれてきたな、撤退する。空のフェルにもそう
伝えろ」

「はっ!」

部下に指示し2機のネプチューンはその場から撤退していった。

「引き上げてった?」

マグナは引き上げた敵を見ながら「ふぅ」とため息をついた。
そこに一機のディープワングSがエーギルの近くまで来る。

『ちょっと、無事なの?』

通信機から聞こえてくる声。さっきの少女だ。

「その声・・・さっきの・・」



エーギルとディープワングはそのまま自衛軍の格納庫へと戻ってきていた。
コクピットからマグナは外に出る。同じタイミングでディープワングからもサリアが降りてくる。

「さて、話・・聞かせてもらえる?」

サリアが疲れているのかその場に座り込んでいるマグナの元に歩み寄り言う。

「ん?ああ・・わかったよ」

マグナは少しだるそうに立ち上がりサリアの後について歩いていく。

「そういえば・・・名前、なんて言うの?」

振り向きサリアが聞いてきた。

「マグナだ、マグナ・ルーヴィル」

「私はサリア・ファーレス・・よろしくね」

「ああ、短いつきあいになるだろうけど一応よろしくな」


これが少年と少女の最初の出会いだった。


続く


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