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練の流れ

練の流れ・流し歌~囃唄
鯨船 磯津2

鯨船の囃唄は、「ウタアゲ(唄上げ)」という役の2、3人が先に囃し、それに続いて他の若い衆が囃す、という形態をとります。
たとえば、「つつじ椿は山坂照らす 鰯しゃ磯津の浜照らす」という唄の場合、ウタアゲが「つつじ椿は山坂照らす」と囃せば、若い衆が「あー鰯しゃ(いわしゃ)磯津の浜照らす」といった具合です。

鯨船の練りは、「流し歌」という唄からはじまります。
ウタアゲが
「へぇーぇ えーえぇぇ へーいぇーえぇぇいえ へぇぇーえぇい」と唄い、若い衆が
「えーっさ さぁよーぃ さぁよーぃ せい」と囃します。
前半の唄は「へい(前)へ、へい(前)へ」や、「伊勢へ、伊勢へ」という意味があるといわれていて、それに対して後半は「よっしゃ!まかしとけ!」と答える歌詞のようです。
この流し唄は必ず唄われ、囃唄と交互に唄われます。

囃唄には、先ほど例に挙げた「つつじ椿は・・・」や、
唄)伊勢の瀬には二つ瀬がある
若)あぁ~思い切る瀬戸 切らぬ瀬と ヤッサ! 
 おぉさぁーまのみよやーとせい
などあります(唄:ウタアゲ、若:若い衆)。

「おぉさぁーまのみよやーとせー」は縁起のよいことをあらわす決まり言葉で、南納屋では「治まる御代ヤトーセ」、楠では「王様の御代ヤトーセ」としているようです(北勢鯨船行事調査報告書による)。

練を始める合図はウタアゲの「沖のカモメにセミはと問えば・・・」の唄で、踊り子は扇を広げ、鯨を見つける格好をします。

若い衆の「・・・おー目出度や!」で太鼓の拍子が変わり、磯津独特の「トモを上げてはたたきつけ、上げてはたたきつけ・・・」の練りに入ります。
太鼓の「デン・コン・デン」のリズムに合わせて、囃唄を「雑唱」します。

囃唄の一例を挙げます。
・立派なもんじゃ 立派なもんじゃ 大正丸は立派なもんじゃ
・おおいは西風 捲いた穂は処女にか
など、一部卑猥な言葉など出てきますが、浜の男たちの気質を表しているのではないかと思います。

何度も囃唄が唄われ、練った後で一人のものが合図をし、また太鼓の拍子が変わって、船が後退します(鯨の反撃)。

また太鼓の拍子が変わり、船と鯨のより激しい練になります。
このときはひたすら、「エジャ エジャ!」という囃言葉を繰り返します。
太鼓の拍子が連打に変わると練をやめ、踊り子が銛(モリ)を手に持ち、鯨をしとめます。

その後は「突き唄」という鯨をついたときの唄と祝唄を唄い、最後に「船の前方から鯨(福)を引き入れるために船が傾く」という意味を込めて、大きくトモを上げる「トモ上げ」を行って一くくりの練が終わります。


最後に整理してみましょう。

流し歌
 ↓
「沖のカモメに・・・」
 ↓
「デン・コン・デン」の練~船の後退(鯨の反撃)
 ↓
船と鯨の激しい攻防~鯨をしとめる
 ↓
突き唄・祝唄
 ↓
トモ上げ
 ↓
流し歌
 ・
(以後くり返し) 

このような感じです。

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