テレビ・新聞が報じないお役に立つ話

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2021.05.06
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2019年1月の「ミス日本コンテスト」でミス日本「海の日」に輝いた東京大学理科三類1年生の高橋梨子さん(20)。1学年3000人あまりいる東大生の中でも医学部医学科に進学を約束されている理三は国内最難関。100人程度しかおらず、別格的な存在だ。テレビもほとんど見ず、ゲームもやらない。文武両道にまい進し、医師を目指す高橋さんはなぜミス日本に挑んだのか。
理三合格でも「どんなにがんばっても届かないことがある」
「どれだけがんばっても届かないことがある」。高橋さんはとにかく活発なスポーツ少女だったという。幼稚園のころから負けず嫌いで、努力を積み重ねて長距離大会では、年少で3位、年中で2位、そして年長で1位と着実に順位を上げた。しかし、小さな挫折を体験した。小学生の時に最も力を入れてきた新体操の選抜テストで、「骨格が新体操に向いていない」と不合格になった。
ミス日本「海の日」に選ばれた高橋梨子さん
「骨格といわれても」と、どんなに努力しても越えられない壁があると悟った。ただ、勉強は違った。努力した分すぐその成果が反映された。小学校4年生から塾に通い始め、成績は常にトップクラス。スポーツ施設も充実している地元千葉県の渋谷教育学園幕張中学・高校に進学しようと思ったが、日本一の女子進学校と呼ばれる都内の桜蔭中学・高校に受かった。
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将来は医師になりたいと考えたのは小学生のころ。弟が病院にかかったときに世話になった医師たちの姿に憧れたが、本格的に医学部志望になったのは高校生になってからだ。中学に入学してバレーボール部に入り、再びスポーツにのめりこんだが、高校1年生のころから東大受験指導専門塾「鉄緑会」に通い始めた。東京と関西にしか教室がないが、「東大理三の合格者の3人に2人は鉄緑の出身です」(冨田賢太郎会長)といわれ、東大や京都大学などの医学部志望者が集まる進学塾として知られる。
鉄緑会の大半の生徒は中学に合格してすぐに通い始める。「私の場合は高1から入ったので最初はすごく焦った」という。桜蔭では優秀な成績をキープしていたが、鉄緑会では筑波大学付属駒場高校や開成高校、麻布高校など国内トップ級の進学校の生徒とも机を並べる。だがコツコツ努力を重ね、鉄緑会でも成績トップのクラスに入った。このクラスの仲間は理三志望ばかり。桜蔭でも1学年約240人のうちの3~4割は医学部志望だ。「やはり医者になりたいという友人が多かった。理系が得意だったし、解剖なども苦手ではない。社会貢献にもつながるし、医師になろうと決意した」。母親は「医師は責任の重い仕事」と心配したが、医学部志望になるのは自然の流れだった。
しかし、暗転した。東大入試では、わずか5点差で理三に不合格になった。鉄緑会の成績では現役合格は間違いなしだったが、「ケアレスミスを連発した」という。受験での挫折は初めて、ショックだった。浪人時代はミスを究極までなくす努力を徹底した。東大志望の模試では全国6位に入ったが、上には全国トップの女子生徒がいた。「いま、彼女とは同じく理三の同級生だが、本当に頭がいい。やっぱりどんなにがんばっても届かない、上には上がいる」と痛感した。
秀才集団のコミュニティー「このままでは視野が狭くなる」
東大の場合、入学した全学生は原則、駒場キャンパスで過ごして教養を軸に学ぶ。理三生も同じで医学を学ぶのは2年生の後期からだ。高校時代までは受験を前提に勉強中心の毎日だった。友人たちも同じタイプだった。理三に入っても、周囲は鉄緑会時代の知り合いばかり。理三に受かった鉄緑会の生徒はそのまま講師として残るケースが多く、高橋さんもバイト講師をやっている。「鉄緑会の強みは中高6年間、生徒として通い、理三に進学した先輩が次は講師として教えること」(冨田会長)。まさに「鉄の輪」ともいえる国内屈指の秀才集団のコミュニティーにいるわけだが、どうしてもバックグラウンドが似かよい、価値観も同質な人が集まる。
「このままでは視野が狭くなる」。大学でダンスの部活に入ったが、もっと別の外の世界にあえて挑戦をしたいと思うようになった。そんなころ、インターネットをのぞいていた母親から「ミス日本は面白そうね」と勧められた。ミス日本といえば、女優の山本富士子や藤原紀香などの芸能人を輩出したミス・コンテストとして知られる。
しかし、「あまりテレビを見ませんし、芸能界にも全然関心はなかった」という。興味をくすぐられたのはミス日本の勉強会の内容だった。ファイナリストに選ばれると、30あまりの講座を無料で受講できるのだ。

受験勉強はインプット中心だったが、ミス日本の講座ではダンスやお茶、お花などアウトプット型の体験ができ、教養も磨ける。ミス日本コンテスト大会委員長の和田優子氏は「ミス日本というのは外見と内面、そして行動の3つの美を追求する人を理想としており、教養など様々な分野の国内トップクラスの講師が直接指導している。この勉強会が人気となり、高学歴の女性の応募が増えた」と話す。実は19年のミス日本グランプリになった度會亜衣子さんも東大理三の在学生だ。
高橋さんは、「受験勉強とは違う、すごく貴重で刺激的な体験ができた。世界的なダンスアーティストの上野隆博先生から直接ダンスを指導してもらった。一番面白かったのは牧野健太郎先生(日本ユネスコ協会連盟評議員)の浮世絵の解説。一枚の浮世絵から江戸時代の生活が透けて見えたりする。日本神話に根付いた中村麻美先生の道徳の講義も楽しかった」。化粧やプレゼンテーションのやり方などすべてが新鮮だった。
ただ、目標はあくまで医師になることだ。「まだ外科医になろうとか、内科医と決めているわけではないが、患者さんに寄り添う臨床医を目指したい」という。
医学の道を進むが、外の世界に向けた挑戦も続く。「ミス日本『海の日』に選ばれたので、小型船舶2級の免許を取得します。まだ自動車の運転免許もないので、生まれて初めて国家資格の挑戦になる」という。これまでほとんどテレビを見なかったが、全国放送のバラエティー番組にも出演した。「個性的な方が多くて圧倒されて、あんまりしゃべれなかった。でも、なんでも挑戦しようと思っていたのでいい体験でした」と笑う。時には限界を感じながら、努力を惜しまなかった高橋さん。グッドドクターになるため、様々な体験に挑みたいという。
■チャレンジャー 高橋さんへの質問
Q 10年前の自分にアドバイスしたいことは?
A 興味を持ったものにどんどん挑戦すること、好きなことはしっかり頑張ることを伝えたいです。ただ自分が好きなことをやれるのはそれを支えてくれる家族や周りの人がいるからだということを同時に伝えたいです

Q 10年後の自分に約束したいことは?
A 視野と関心を広く持とうとする姿勢と向上心を持ち続ける姿勢は必ず保っていたいと思います。また、今よりもっと周りの方への配慮や心配りのできる人間になっていたいと思います

(代慶達也)





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最終更新日  2021.05.06 13:30:04
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