花より、、、

花より、、、

伸ばした手 -序章-



仕事から帰宅しベットに沈む。
何となく時計を見ると AM3:00過ぎ。

この時間の帰宅はざらで もうなれちまった。

身体は睡眠を欲しているだろうが
俺はこの時間が嫌いだ。

目を閉じるとあいつの笑顔が浮かぶんだ。


「 道明寺…  道明寺… 」


あいつの声がする。

この手に抱きしめて離したくないと思う。


「行かないでくれ!!」 

思わず手を伸ばすと
あいつは消え

“お前は独りきりなのだ”

何処からともなく聞こえる悪魔の声
一瞬のうちに現実に引き戻される。

物凄い勢いでベットから上半身を起こし
頭を抱えてる自分に気が付くと…
孤独の波に飲み込まれていく。


「 牧野 」


今どうしてる? お前は。。。幸せか?
なぁ…牧野。


約束の4年はとうに過ぎ 俺はもう28になっちまった。
副社長に就任し 仕事は慣れて来たが
とてつもなく強大な 【道明寺財閥】 に縛られ
あいつを迎えに行ってやれなかった。
4年間で 牧野の全てを守れる程の力なんて…

あいつとは 連絡さえ取れなくなって。

牧野…まだ俺の事を待っていてくれてるか?
約束の日 迎えに行ってやれず
連絡さえ途絶えてしまったこの俺を 恨んでいるか?


何をやってるんだ俺は。


「畜生!!!」

このやるせない想いから短時間でも逃れられるなら
洗い流せればと シャワーを浴びに 向かった。


今日もまた眠れずに朝を迎える。




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終電に滑り込むようにして駆け込み 少し荒い息を整えながらイスに座る。
何気なく携帯を手に取り確認する。
着信履歴もメ-ルも無い。
開いた携帯を閉じると同時に 深い溜息を吐く。

“私は何を期待しているのだろう?”

アナウンスが目的の駅を告げるとハッと我に返る。

改札を通過して
夜空を見上げると 満月が浮かんでいて
あんまり綺麗だから見惚れながら歩き出す。

「私の事…忘れちゃったよね?」 

月に向かってつぶやくと 言い様の無い寂しさが襲う。

“言わなきゃ良かった。何で言っちゃったんだろ?
      満月から元気を注いで貰っていたのに 私って馬鹿だわ”

今晩は やり過せる気がしたんだけどな。
夜は大嫌い。今更ながら 独りだと言う事を思い知らされる。
あいつの事を思い出す。

「道明寺…今何してるの?幸せなの?」

満月に尋ねれば その返事が聞ける様な気がした。

「待ってるのに。ずっと…ずっと待ってるよ。ずっと。」

アパ-トまでは目と鼻の先。
なのに一歩を踏み出せないでいる。
祈り続ければ 願いが叶う! そんな気がして
その場を中々離れられずにいた。



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無謀にも
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