花より、、、

花より、、、

Act 3


オフィスの大画面に道明寺が映し出され挨拶が始まった。

懐かしい声 

(凄い。こんな立派な挨拶するんだ…別人みたい)

「婚約者の方もご一緒にいらしてるそうよ!」

どこからか そんな声が聞こえた。

無表情で淡々と話す道明寺を見つめ 軽い吐き気とめまいを覚える。

どうにかその場を耐え 各々の仕事に戻る。

「牧野さんどうしたの!? 顔が真っ青よ! 医務室に行ってらっしゃいよ。」

同僚に促され

「有難う。大丈夫よ! 残業が続いたから軽い貧血かな? 外回りだから空気をすって気分転換してくるわ」

「気を付けてね」

ダンボ-ルに試作品を入れ 抱えてその場を後にした。

地下駐車場へ続くエレベ-タ-は奥まった場所にある為 人気は少ない。

呼吸を整える様に歩いて行くと
横から小走りの不意に出てきた男性とぶつかり ダンボ-ルを落としてしまった。

「あっ 大変致しました失礼致しました。申し訳ございません。」

「あ~あ~あ~ 邪魔だよ邪魔、早く片ずけてどきたまえ(怒)」

幸い試作品は数点しかこぼれ落ちておらず
慌ててしゃがんで片ずける。
モタモタした訳ではないのに 思いっきり脇へ突き飛ばされ

「きゃー痛ッ」 

壁にぶつかりしゃがみこんでしまった。

黒服の男性がゾロゾロと続くので
驚いて見上げると その中ひときは目立つ人と目が合う。

見間違うはずもない 彼も 一瞬驚いた表情を見せたが
手を伸ばし私の左肘を掴んで立ちあがらせてくれた。

「何をしてるんだね!! 君は!! ほらほら 道明寺様申し訳。。。」

私と彼に割って入り

「ウチの社員が。。。」

と謝罪の言葉を述べようとする上司を長い腕で遮り

「大丈夫か?」

匂い立つ懐かしいコロンの香

「..............あっ、はっはい」

匂いとその綺麗な顔に見惚れてしまい
金縛りにあったみたい。

声を出すのもやっとだった。


(道明寺。。。)

急激なまでにカラカラに乾いた喉を
振り絞り
お礼を述べようとすると 既に歩き出してしまった。


捕まれた腕に残る感覚が消えず 自身でも撫でながらボ-っと見送っていた。



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挨拶を終え 社を後にする。
へらへらとニヤつきながら俺にゴマをするハゲオヤジは
後ろにいた奴とぶつかりそいつを怒っている。

特に興味はないが横目でチラリと見る。

ハゲ頭が邪魔で顔は見えないが
しゃがみこんだ 細く白い手足から 女だとわかった。

俺は無表情で前方へ目をうつそうとした瞬間

驚き見開かれた大きく黒目がちの瞳

見間違うはずもないそれに釘付けになる。

(まっ…牧野。つくし…か?)

艶やかな長い黒髪が胸元で乱れ
それが艶かしくもあり吸い付く様になぞるよに見惚れてしまう。

ネ-ムプレ-トには やはり ≪牧野つくし≫ の文字。

とっさに腕を伸ばし起こしてやる。

華奢な身体スグに持ち上がる。
この瞳は変わらない。長い漆黒の髪も。

「大丈夫か?」

ただ薄く嫌味のないメイクを施し
いくらか 胸や腰、丸みをおびた身体に
ほのかな女性らしい匂いに身体中がしびれ抱きしめそうになる。

「何をしてるんだね!! 君は!! ほらほら 道明寺様申し訳。。。」

ハゲが割って入り 

「ウチの社員が。。。」

腕で遮り威圧する。


「..............あっ、はっはい」


(動揺しているのは、同じ様だな。。。)


会話にならない会話をかわす。

夢にまでみた あいつがここにいる。
離れていた数年で驚く程に綺麗になっていた。 

(でも…なんでここに!?)

昔の俺ならスグに抱きしめて問いただしていただろう。

何事もなかった様に先を歩く。

手に残ったあいつの腕の感覚が消えず握り締める。

いつまでもこの感覚を独占していたいかの様に。




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無謀にも
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