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自分が声を掛けようとすると、機先を制してその女性が口を動かす。「荷物は届いているわ。一緒に事務室へ来てくれる?」
よっしゃー! 盗難とか、所在不明とか、想定していたいくつかの最悪事態が消え、今後の旅に明るい光が差してきた。
バックパックには「急送荷物 至急」と書かれた札。渡された書類を見ると、この荷物の発送地がシドニーとなっている! そうか、成田からケアンズ空港に到着したとき、日本人が大挙して搭乗ゲートに移動していた、あのシドニー行きの便に荷物を入れてしまった、ということなのか。自分が行ったこともないシドニーに、バックパックだけが一人旅をしてきたわけだな。この10年来のバックパックが急に愛おしく感じてきた。
こうなったら、この先の旅程を組み直し、新たにチケットを取らなければならない。そのスタッフの女性に「今後のスケジュールをインターネットで探したいんだけれども」と言うと、「インターネットはそこにあるから探してみて」と言って、空港に設置された有料のインターネット接続用PCを指差した。自分としては、そちらの会社がこれだけ迷惑かけているのだし、その先の旅程作成やチケット入手ぐらい手伝ってくれるのだろう、という期待も込めて話したのだが、「自分で金を払って探してね。」というその態度に、怒るというより呆れた。
空港の有料PCは、マウスがなくて非常に使いづらく、使用料もどんどんかさむので、市内に出てインターネットカフェを探すことにし、まずは安宿にチェックイン。荷物を置き、ようやく手許に届いた充電機でバッテリーの切れた携帯電話を復活させながら、街に出た。
昼に歩いたとき見つけた旅行会社に寄ると、既に営業時間終了。望みを捨てず、インターネットカフェへ。安く使いやすいPCでQantas航空のサイトからフライトを調べると・・・明日中に西オーストラリア州・ピルバラ地域のポート・ヘッドランドに到着するフライトがあった。若干ルート変更が必要だが、なんとか予定のコースに復帰することができる!
そのサイトから即予約し、クレジットカードで支払いを済ませ、Eチケットによる発券まですることができた。つくづく今の時代は便利だと思う。言葉の壁に苦労しながら旅行会社でチケットを取るという手間も省け、インターネットカフェで発券できてしまうのだから。これでようやく、オーストラリアの旅が、始まった。
その夜は、他民族が集まるダーウィンらしく、インド料理屋でカレー。やはりオーストラリア、ラム肉が美味しい! 旅のエンジンが、掛かってきた。明朝は、因縁のダーウィン空港を後に、オーストラリア大陸の真ん中、アリススプリングスへ向けて出発だ。
<つづく>
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